株式市場の振り返り-連日の薄商いの中、17,000円を目前に失速。新興市場は小幅に3日続落。
2016年5月26日(木)の東京株式市場はほぼ横這いに終わりました。日経平均株価は前日比+0.0%の僅かな上昇、逆にTOPIXは▲0.0%の僅かな下落で引けています。一方、東証マザーズ総合指数は▲0.9%下落して3日続落となりました。
日経平均株価は、NY市場の大幅続伸等を受けて前日比+170円高で寄り付き、その後間もなく+200円高となる場面が見られました。しかし、前場の半ばから円高が進み始めたことなどから、上値が重くなり、徐々に上げ幅を縮小していきます。そして、後場の終盤には一時▲14円安のマイナス転換となりますが、最後は辛うじて+15円高の16,772円で引けました。
東証1部で上昇したのは930銘柄、値下がり844銘柄、変わらず179銘柄でした。東証1部の出来高は17億6,943万株、売買代金は1兆8,343億円(概算)となっています。相変わらずの薄商いでした。売買代金は6日連続で2兆円割れとなり、先週から数えて9営業日中で2兆円超えは僅か1日だけです。手数料収入が減り続ける証券会社の収益悪化が懸念され、今回の夏季ボーナスは激減が見込まれます。これでは、住宅ローンや教育ローンを抱えた中高年の証券マンは、安い居酒屋にも行くことが出来ず、コンビニのイートイン・コーナーで発泡酒を呑みながら管を巻くしかありません。
セクター動向と主要銘柄の動き-17業種が上昇、16業種が下落。医薬品セクターが反発。
東証1部で上昇したのは17業種、下落したのは16業種でした。上昇率上位は、鉱業+2.5%、医薬品+1.1%、輸送用機器+1.0%、陸運+1.0%、水産・農林+1.0%などでした。一方、下落率が大きかったのは、海運▲2.3%、証券・商品▲2.2%、情報・通信▲2.1%、鉄鋼▲1.2%、パルプ・紙▲0.8%などでした。医薬品セクターの反発と、通信セクターの不振が特徴です。
個別銘柄では、通信株の下落が目立ち、とりわけ、ソフトバンクグループ(9984)の大幅下落が際立ちました。また、ここ数日上昇が続いた半導体製造装置メーカーは、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)が年初来高値を更新後に下落に転じ、終値も値を下げました。また、電子部品株では、村田製作所(6981)とアルプス電気(6770)が大幅下落となっています。なお、昨日大幅高となったソニー(6758)は、値動きの粗い展開となり、終値は前日と変わらずという結果でした。一方、上昇した主力株は、ファーストリティリング(9983)、アステラス製薬(4503)、塩野義製薬(4507)などでした。小売株では、しまむら(8227)やニトリホールディングス(9843)が大きく値を上げています。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-安倍首相が消費増税延期への布石を打った?内需関連に再注目。
26日(木)の日経平均株価は、約1ヶ月ぶりの17,000円が目前に迫りながら、結局は失速して終わりました。終値こそ僅かなプラスとなりましたが、失望感が漂ったことは否めません。ただ、幸か不幸か、依然として薄商いであり、まだ本格的な買いは入っていない模様です。17,000円目前まで買い上げられたのは、短期筋の売り仕掛けだった可能性があります。
ご存知の通り、G7伊勢志摩サミットが始まりました。何も大きなニュースがないと思っていたら、安倍首相が本会議で世界経済が脆弱になっているとの認識と同時に各国への財政出動などの政策の実施を促すという様相です。これは、消費増税延期への布石でしょうか。
一方、26日は場中に為替相場が円高に振れ始めるなど不安定さも見られました。こうした点も踏まえ、27日は再び内需関連銘柄に注目です。安倍首相の発言を聞く限り、伊勢志摩サミット終了後に、大きな景気対策が打ち出される可能性が高まってきました。建設、不動産、医薬品、トイレタリー等で割安感があるものを拾っておくことを勧めたいと思います。
青山 諭志