「彼女とは高校時代からの親友でした。思春期のころのモヤモヤとした悩みから、初めて出来た彼のこと、そして就職して結婚・出産、そしてママになるまで。本当にさまざまな悩みと喜びを共有し、彼女こそ『心友(しんゆう)』だと思っていました。

その様子が変わってきたのは、出産後に私が会社に復帰してからです。私が出産した少し後に、彼女の子どもが産まれました。子どもが小さい時の苦労は、私も分かっているつもりです。ですが、その時期に彼女から送られてくるLINEには、なぜか最後に必ず『働いている人には分からないだろうけど』というニュアンスの言葉が投げかけられたのでした。

『今日は久しぶりに公園に遊びにきたよ。砂場で遊んで、ウチの子も楽しそう。こんな風に子どもとゆったりした時間を過ごすのって、大切だよね。仕事してたら、こういう貴重な時間も取れないだろうけど。』

『寝る前に読む絵本を図書館で借りて来たの。子どもも楽しみにして、読んで読んでって催促されて大変。でも子どもに本を読むって、情操教育的にも大事だよね。あなたは仕事してるから絵本を借りに行く時間も無いかな。』

彼女の言葉にトゲを感じた私は、だんだんと彼女から連絡が来るたびに気持ちが重くなっていきました。ある日、とうとう我慢できずに『なんで、仕事しているとこんなことできないでしょう…みたいな言い回しをしてくるの?今は、あなたと話していても楽しくないし、話したいと思えなくなってきた』と訴えたのです。

彼女はそんなつもりは無かったと返信して来ましたが、すぐに『私にとってあなたは親友だったけど、あなたにとっては私は、単なる顔見知りになってしまったんだね…』という返事が返ってきたのです。その悲劇のヒロイン気取りの文面に愕然としてしまった私は、その後、彼女との縁を完全に切ったのでした。」