このようなことからジョブズ氏は「connecting the dots(点と点を結ぶ)」という格言で知られている伝説のスピーチを披露しました。つまり「未来の予測なんてできないから、今自分が心をひかれることをすべきだ」ということです。
子どもへのアドバイスや自分で今後の人生設計をするときに「失敗したらどうしよう」と考えてしまうときも、「結局、やってみないと分からない!」と割り切り、今に集中するように意識してみましょう。
現在はそれが将来どうつながってくるかはわからなかったとしても、将来何かにつながるはずだと信じれば、のちに仕事や家庭など人生の中で「点と点がつながって」くるのです。
誰にもある「現状維持バイアス」とは?
上述したスティーブ・ジョブズ氏の言葉は、たとえ新しく挑戦しようとすることが「今までやってきたこととつながらない」ことや「仕事で使えない」ことでも、心がひかれるのであればやってみてもいいのではないかというものでした。
子育てにたとえると、子どもが小学校で勉強を頑張ってきたから、中学校でさらに頑張る環境を整えるために私立中学への進学を勧めてみたところ、もし子どもから「今度は運動を頑張ってみたい」と言われてしまうと、親としては今までの頑張りを思い、何だかもったいない気持ちになってしまうものです。
しかし、それを反対するのではなく、運動も勉強も両立できるような中学校へ進学を一緒に考えてみるのも良いかもしれません。
今、そのことが将来どのようにつながるのかは分かりませんが、子ども自身が「自分のやりたいことを諦めずに頑張ること」や「チームワーク」、「コミュニケーション」について学んで、社会に出たときに大いに役立つ可能性もあります。
しかし、そうは分かっていても多くの場合、大人になればなるほど現状からかけ離れたことに挑戦する際は躊躇(ちゅうちょ)してしまうのです。