私の経験上、多くの中小企業の共通課題に対応してくれるDX活用サービスとしては、資金繰りの自動化、クラウド会計サービス、企業価値算定の自動化、企業リサーチの自動化、金融取引サービスの低コスト化・高速化等があります。
また、長期的な視点からは、よくわからないまま世の中にある無数のDX製品を追いかけるより、信頼できるデジタルプラットフォームに飛び込むことも一案です。
特に、将来DXを活用してグローバル戦略をアップグレードしようという意識をお持ちの中小企業経営者の皆さんには、日本語専用の限定的な海外ビジネスマッチングプラットフォームなどよりは、海外発デジタルプラットフォームに直接参加するのがおすすめです(例:Open Business Council)。
この場合、英語が共通言語になりますが、真にグローバルなデジタル環境で自社のプレゼンスを示すことにより、思わぬビジネスマッチングの機会を得られる可能性があります。
また、デジタルのトラフィックデータの分析・活用、海外営業の強化、世界最先端のデジタル製品・サービスの活用等も可能となるでしょう。
今年、東京オリンピック後の景気後退といった日本の厳しいビジネス環境を考えると、景気後退や慢性的な人手不足が直撃しやすい中小企業だからこそ、会社の競争力や働き方を抜本的に変えるようなDX戦略に取り組むことが必要になってきそうです。
大場 由幸
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。