過去の「IT化」の失敗とその後遺症

しかし、DXと言われても、過去の「IT化」との違いが分かりにくいため、IT化時代の苦い失敗を思い出す中小企業経営者の方も多いのではないでしょうか。

たとえば、人事評価にITを導入して個人の業績や勤務態度などに基づいて評価するシステムの構築。必要な業績や勤怠データを手作業で入力しなければならず、かえって人事担当の作業を増やす結果となりました。

せっかくITを導入したのに誰も効率化の恩恵を実感できなかったという事例です。皆さんも、似たような悲しい経験をされ、モチベーションが下がったことがあるかもしれません。

現時点で中小企業のITシステムを見ると、10年以上も前に導入したパッケージソフトをいまだにそのまま利用していたり、IT系の仕事が得意な社員が市販の表計算ソフトを駆使して業務を遂行しているケースも多いかもしれません。

いわゆる、「レガシーシステム」なるものが中小企業にも存在しているようです。

余分な資金が必要なのでシステム変更もできず、また、このレガシーシステムを活用するために社員が日々実施している手作業が介在しているケースも多いようです。中小企業は人手不足なのに、あいかわらず煩雑な手作業を強いられているわけです。