たとえば、国立大学に自宅外から通学する場合に1カ月あたり5万1,000円の支援を受けると、4年間の貸与総額は244万8,000円です。これを、毎月1万3,600円ずつ返済すると完済までに15年かかります。

卒業後の月収が18万円で、税金や社会保険料を差し引いた手取り額が14~15万円だという人にとって、1万3,600円の奨学金返済は非常に重い負担だと言わざるを得ないでしょう。

事実、「就職はできたが十分な給与がもらえない」「非正規雇用なので年収が上がらない」などの理由で、返済がとどこおってしまう滞ってしまう人は後を絶ちません。中途退学者ではさらに事態は深刻です。大卒という学歴はなくなっても、借金はなくなりません。奨学金が原因で自己破産に追い込まれる人が急増して、大きな社会問題となっています。

高等教育の無償化がスタート

政府は2020年4月から、授業料等免除と給与型奨学金を柱とした高等教育の修学支援新制度をスタートさせます。この制度を活用すれば、奨学金に頼らずに大学で学べる学生が増えるでしょう。