物価の上昇が続いており、年金だけで老後生活を過ごすことは難しい傾向にあります。

2025年7月4日に厚生労働省が「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を公表しました。

調査結果によると、高齢者世帯の55.8%は「生活状況が苦しい」と回答しています。

年金の加入状況や現役時代の収入などにより、老後受給できる公的年金(国民年金・厚生年金)の受給額には個人差が生じます。

また、年金制度は複雑な傾向にあるため、ご自身やご家族が「老後どれくらい年金を受給できるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、国民年金・厚生年金「60歳~90歳以上」平均受給額は月額いくらなのか【年金一覧表】をもとにわかりやすく解説します。

また、記事の後半では《年金制度改正の全体像》についてご紹介します。

老後の計画を立てる際に、ぜひ参考にしてください。

1. 【厚生年金と国民年金の仕組み】2025年度の公的年金は前年度と比べ1.9%増えた

まずは、公的年金のしくみの基本をおさらいしましょう。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 国民年金(基礎年金):1階部分

  • 加入対象:原則として、国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
  • 年金保険料:全員一律
  • 老後の受給額:保険料を全期間(480カ月)納めれば満額

1.2 厚生年金:2階部分

  • 加入対象:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
  • 年金保険料:収入に応じて決まる(上限あり)
  • 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差が大きい

日本の年金制度はしばしば「2階建て」と例えられます。1階部分は「国民年金」で、原則として国内に住む20歳以上60歳未満の全員が加入し、年金保険料は全員一律です。

2階部分の「厚生年金」には、会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入します。現役時代に支払う年金保険料は、収入に応じて決まります。

このように、国民年金と厚生年金は、加入対象者と保険料の決まり方に大きな違いがあるのです。

1.3 【2025年度の公的年金】前年度と比べ1.9%増額された

また、公的年金の年金額は賃金や物価の動きを踏まえて年度ごとに改定されるルールがあります。

2025年度の年金額例は、前年度より1.9%引き上げられており、国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万9308円(1人分)です。

厚生年金は会社員の夫と国民年金の妻をモデルとして、月額23万2784円(夫婦2人分)です。

ただし実際に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって一人ひとり違います。