中国企業もマイクロLEDの開発加速

事業化へ大型投資や合弁展開

康佳の4KマイクロLEDテレビ

 次世代ディスプレー技術として世界中の企業が開発しているマイクロLED。日本でも先ごろジャパンディスプレイや京セラが開発成果を発表するなど、参入メーカーが増加している。テレビやディスプレー市場で高いシェアを持つ中国勢も同様で、大手メーカーが事業化に向けて体制を整えつつある。

コンカが大型投資で実用化を加速

 中国のテレビ6大メーカーの1社である康佳(コンカ)グループは、マイクロLEDの研究開発に15億元(2億1500万ドル)を投資する。また、重慶市の投資会社「重慶良山工業投資有限公司(Chongqing Liangshan Industrial Investment)」とオプトエレクトロニクスを研究する合弁会社を設立する。

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 一連の投資額は25.5億元(3億6500万ドル)にのぼる。合弁会社の登録資本金は20億元で、コンカが15億元、重慶良山が5億元を拠出する。主にマイクロLED関連機械・機器の購入、研究開発、マイクロLED関連製品の生産・販売拡大に充てる。

ブランド立ち上げ8Kを商品化

 コンカは2019年10月にマイクロLEDディスプレー製品のブランド「APHAEA」を立ち上げ、モジュールタイリング方式のマイクロLEDテレビ「Smart Wall」を発売すると発表した。4Kの118インチ、5Kの147インチ、6Kの177インチ、7Kの206インチ、8Kの236インチをラインアップし、価格は4Kの118インチが168万元(約24万ドル)、8Kの236インチが880万元(約126万ドル)という。

 Smart WallのLED画素ピッチは0.68mm。これは韓国サムスン電子の「The Wall」の0.83mm、ソニーの「Crystal LED Display System」の1.26mmよりも狭い。輝度は2000ニット、コントラスト比は1000万対1、色域はDCI-P3で147%。

 コンカは20年に北米の家電市場に本格参入することを表明しており、マイクロLEDへの投資でテレビ市場のリーダーを目指す。セールス&マーケティング担当上級副社長のスコット・ラミレス氏は「マイクロLED開発への投資は、技術に対する当社のコミットメントと、マイクロLEDが超高品質民生用テレビの最先端技術になるという当社の信念を示している」とコメントしている。

BOEはロヒニとの合弁会社を始動

 中国FPD最大手のBOE(京東方科技)とLEDベンチャーの米ロヒニは、19年1月に設立を発表していた合弁会社「BOE Pixey」の活動を本格的に開始したと発表した。2年以上の開発期間を経て、米国で開催される国際家電見本市「CES 2020」で最初の製品事例を紹介する予定にしており、両社の技術を融合し、20年後半にミニ/マイクロLEDディスプレー機器を市場投入する。

 合弁会社では、ロヒニのLED実装技術とBOEのディスプレー技術を組み合わせて、高性能テレビ、ビデオウォール、その他の大型製品向けに、液晶ディスプレーバックライト、LEDディスプレー、ディスプレー関連センサーなどを設計・開発する。

 BOE Pixey会長のドン・シェー氏は「BOE Pixeyを活用すると、家電開発者はユニークで最先端の最終製品を設計する機会を増やすことができる。OEMが次世代デバイスでBOE Pixeyの技術をどう使用するか楽しみだ」と述べた。

ロヒニはBOE以外と他分野で協業

 ロヒニは、Lumosと呼ぶLEDチップの高速実装技術を持ち、LEDをフレキシブルなフィルム上に実装したミニ&マイクロLEDシート「PiXey」を商品化している。これまでフレキシブルなバックライトやキーボードの部品として展開しており、台湾のキーボードスイッチメーカーKOJAと16年12月に合弁会社luumii(ルーミー)を設立している。

 ロヒニは「各分野のトップ企業と連携し、自らのLED技術を各分野で普及させていく」という戦略を展開している。KOJAとBOE以外では、LED実装装置の開発ではボンディング装置の世界的大手であるシンガポールのキューリック・アンド・ソファ・インダストリーズ、自動車へのLEDの応用についてはカナダのティア1であるマグナ・インターナショナルとそれぞれ協業している。

天馬やCSOTも開発中

 中国のFPDメーカーでは、中小型専業の天馬微電子と大型液晶に強い華星光電(CSOT)もマイクロLEDディスプレーを開発中だ。両社とも19年5月に米カリフォルニア州サンノゼで開催されたディスプレーの国際学会「SID」に開発品を展示したことがある。

 天馬微電子は、得意の低温ポリシリコン(LTPS)TFTをバックプレーンに用いた7.56インチを出展した。720×480(114ppi)画素を有し、60%を超える透過率を実現した。額縁が0.8mm未満と狭く、有機ELに比べて長寿命で安定性が高いため、用途として自動車用のヘッドアップディスプレーや窓用アプリケーションを想定している。

 CSOTは、バックプレーンに酸化物(IGZO)TFTを用いた3.3インチを披露した。高色域、高コントラスト、高輝度に加えて、IGZOバックプレーンは高い光透過率と大画面化に有利だと考えている。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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津村 明宏(電子デバイス産業新聞)

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長