キュレーターから読者に伝えたいポイント
2016年3月期決算がほぼ出そろいました。毎年のことですが、一部の例外を除くと、新年度予想が増益の企業は買われ、減益の企業は売られています。たとえ減益要因が為替変動による一過性の要因だけであったとしても、です。
こうした株価の動きは、長期投資を目指す個人投資家にとっては“迷惑”以外の何ものでもありませんが、これが現実であることを踏まえて右往左往しないことが重要です。そのためにも、今後、為替がどのように推移していく可能性があるかを、以下の記事からおさらいしておきましょう。
為替連動相場が続く
この記事にあるように、相変わらず為替動向に一喜一憂する相場が続いています。とはいえ、株式市場は、為替だけではなく時には石油等の資源価格の動向、海外株式市場の動向、紛争等の地政学リスクに関するニュースフローなどにも左右されます。
どこかのタイミングで為替離れが起り、別の要因が株価を大きく左右する可能性にも注意したいところです。
円安で日経平均が反発 為替連動相場が続く
出所:楽天証券
為替介入が実施されるための条件は?
なかなか円安方向への転換が進まない理由としては、米国の景気回復に今一つ強さが見られないこと、日本の追加金融緩和策がさらに進むかが不透明であること、そして、為替介入期待が盛り上がらないこと、などが考えられます。
このうち、為替介入期待が後退した理由については、この記事に詳細が述べられています。要点は、米財務省が、中国やドイツなどとともに日本を不公正な為替政策(為替介入)を行う可能性がある「監視リスト」に入れたことが背景にあります。
とはいえ、監視国リスト入りした国は、介入が完全に禁止されているということではないことには注意が必要です。景気刺激策を実行するなど、米国に対する配慮を示せば実施できる可能性が残っているからです。このため、今後は、日本政府による景気対策の可能性への注目度が一段と高まると考えられます。
円高対策、為替介入で気になる点―今後の展開は?
出所:投信1
今後の注目イベントはG7伊勢志摩サミットと参議院選挙
DIAMでは、毎月、月初にマンスリーレポートを発行しています。そのレポートでは、今月も今後3か月の日本株見通しは横ばい、2017年3月期の日経平均の予想レンジも14,500~20,500円で据え置かれていました。
今回の決算シーズンでは製造業を中心に厳しい業績見通しが示され、株価の下押し要因となりましたが、これも冷静に考えれば想定の範囲内と言えます。
5月末にはG7伊勢志摩サミット、7月には参議院選挙が予定されているため、財政政策や成長戦略の議論が再び活発化することは十分に想定されます。また、日銀の追加金融緩和策への期待も完全に消失したわけではありません。そして、為替介入の可能性もまだ残っています。
このため、今後3か月の日本株見通しを極端に悲観的に見ることは、むしろリスクを取り過ぎなのかもしれません。こうしたことを念頭に置き、売られ過ぎた時に買う準備を怠らないようにしたいと思います。
マンスリーレポート(世界の投資環境)
出所:DIAM
LIMO編集部