アベノミクスで円安になっても景気の押し上げ効果が薄かった理由

アベノミクスによる円安は、景気を押し上げる効果をほとんど持ちませんでした。その理由について久留米大学商学部の塚崎公義教授が解説します。

「円安が輸出企業の利益を増やす」には要注意

「円安になると、輸出企業の利益が増えるから、景気にプラスだ」といった発言を時々耳にしますが、これはミスリーディングですから、注意が必要です。円安で輸出企業の利益が増えるのには「円安で輸出数量が増えるから」「円安で、輸出代金のドルが高く売れるから」という二つの理由がありますが、後者は景気にプラスには働きません。

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日本は輸出と輸入が大体同じ金額なので、輸出企業が持ち帰った輸出代金を高く売れる分だけ、輸入企業が輸入代金のドルを高く買わされることになり、プラスマイナスはゼロだからです。というよりも、むしろマイナスかもしれません。

マイナスだと考える理由の第一は、円建ての輸出があるので、輸出企業が売るドルよりも輸入企業が買うドルの方が多いだろう、ということです。

マイナスだと考える理由の第二は、輸入企業は費用の増加の一部を売値に転嫁するので、消費に悪影響を与える、ということです。一方の輸出企業が儲けを設備投資や賃上げなどに使ってくれれば良いのですが、そうではなく内部留保や配当に使う場合が多いようです。

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
なんだ、そうなのか! 経済入門
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(雑誌寄稿等)
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