ストレスなのか性格なのか、世の中には自分以外の人間に威圧的な「言いがかり」をつけたがる人たちがいます。さらに場合によっては、暴力沙汰や恐喝などに発展するケースもあり、注意が必要です。
そこで今回は、筆者の周囲で起きた「言いがかりをつけられたが何とか乗りきった」話を紹介し、無事に収拾をつけることができた理由についても考えてみたいと思います。
ファーストフードの列で「図々しい、オバハンが!」
いつもはドライブスルーで済ますファーストフードでしたが、その日は数年ぶりに店内で食べてみたいと思い立ち、A子は1人でフラリと入店。
店内はお昼どきということもあって大混雑。前にいるお客の2人に「並んでいますか?」と声をかけたところ、「あ、違います」と番号が書かれたレシートを見せられ、商品待ちだということがわかりました。そのためA子は、レジから離れたところにいる人たちはみんな商品待ちで、レジの前に一列に並ぶタイプの店舗だと思い込んでしまったのです。
そのまま近くにいた女性の後ろから前に出ると、レジから伸びていた列の最後尾に並んだA子の耳に、「図々しい、オバハンが!」「並んどるのに、何しとるんや」と、激しい怒鳴り声が聞こえました。反射的に声の聞こえた後方に目を向けると、さっき近くにいた女性の横で、アロハのようなシャツにサンダルの男性が興奮気味にこちらを指さし怒鳴り散らしています。
まさか自分のことを言われているとは思わず、正面に向き直ろうとしたその瞬間、「お前や! お前に言うとんのや。このオバハンが!」「皆、並んどんねん!」後ろから激しく怒鳴られました。そしてやっとA子は自分が怒鳴られていることを把握したわけですが、どうして怒鳴られているのか、しばらくわかりませんでした。
しかし男性の怒鳴っている内容を冷静に整理してみると、レジの前にできている列に並びきらない場合は、出入り口付近の商品待ちのお客たちと見分けのつかない場所で待つべきだったということがわかってきたのです。
店内のお客はもちろん、スタッフも男性の怒鳴り声に気づいていたものの、制止する人はいません。気づかなかったとは言え、男性からすれば「追い抜かれた」と感じ気分が悪かっただろうと、A子はツカツカと男性の前に歩み寄り「レジの前に並ぶのだと思っていたので、すみません」と頭を下げたそうです。
男性は気まずそうに、「誰も、あんたとは言ってないだろ! それとも何か? 自分でもわかってて割り込んできたんか?」と言い放ったそうですが、さすがに周囲からの強い視線と、隣にいた連れの彼女から「…もうやめて。ごめんね」というフォローがあり沈黙したそうです。