そんなAちゃんに筆者は「どうしていつもそんなに本を読むの?」と質問したことがありました。するとAちゃんは、「親が『本はたくさん読んだ方がいい』って言うから」と一言。

当時、私たちは小学校3年生でした。勉強よりもマンガやアニメ、ファッションやメイク、恋愛などを楽しむ女の子が増えてきていた中で、Aちゃんは当たり前のように親の助言を実行していたのでした。

テレビやネットといった誘惑が山ほどある現代、親が「読書は大事。本を読みなさい」と言って「はい、わかりました」と素直に聞く子どもの方がもはや少ないでしょう。

しかし当時のAちゃんが親の教えを守っていたことの背景には、上記のさん付けや名前のように「なぜこれが大切なのか」といった教育がしっかりなされていたからではないかと思うのです。

気になるAちゃんのその後ですが、地元の県立大学を卒業後、地元で小学校の先生になりました。今ではすっかり会う機会はなくなりましたが、Aちゃんの言動や親御さんの教育方針は筆者の心に今でも刻まれています。

あの時「Aちゃんって変な子だな」と思っていたことも、自分が子育てをする今ではとても参考にしたいことばかりです。

秋山 悠紀