新卒1年目で金融機関勤務のCさんは、「副業の解禁をしないことで会社に引き止めている気になるのは、もはや自信がないだけ」と嘆きます。

「副業を解禁して、社員が2枚目、3枚目の名刺を持つようになって人材流出につながるのが怖いのだろう。機密情報の流出だけは厳禁だけれど、安月給、劣悪な環境で働かせている社員が外の世界を見て『こんなに快適に働ける環境があるんだ』と気付いて会社から去っていくのが怖いようにしか見えない」と腹立たしげに語ってくれました。

さらに「正直、1か所からお金をもらっているだけじゃ不安だし、会社に何かあって倒産したりリストラされたりしたら、経営層が悪いのに自分たちは真っ先に放り出される。就業時間内に副業するのは確かにNGだけど、就業時間外のことを会社にとやかく言われたくない」と続けます。

彼の言う通り、就業時間内の副業が御法度なのは当然ですが、就業時間外のことまで口出しされたくないという気持ちは理解できますよね。

「何を言うか」より「誰が言うか」が重視される謎

電子機器メーカーの2年目Dさんは、社内の雰囲気や風潮に違和感があると言います。「最近感じるのは、『何を言うか』よりも『誰が言うか』が尊重される雰囲気。同じことを言っても、偉い人の発言には強大な力がある。それがどんなに理にかなってないことでも」とため息をつきます。

さんざん話し合って決めたプロジェクトの方向性を大きく揺るがすようなことを、役員が気軽に発言するのだそう。それに対してどんなに論理立てて反論しようとも、役員がなんとなく言った一言のほうが尊重されるのだと言います。

「利用するお客さんのことより、その役員の何気ない一言が尊重されるのは意味がわからない」とDさん。さらにタチが悪いのは、その役員は次の会議のときには自分の発言を忘れていることも多く、「なんでそんな仕様に?」と言ってくることもしばしば。それでプロジェクトの進捗が遅延することも多いのだそうです。こういう会社、日本には少なくないのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。若者たちが感じている違和感の中には、私たちが当たり前のようにやっていることが混じっているかもしれません。しかしその一方で、効率を重視する姿勢や、発言者の立場に惑わされずにお客さんのことを第一に考えるマインドなど、彼らが彼らなりに仕事で大事にしていることがわかるインタビューとなりました。「若者が言うことはよくわからない」と無視するのではなく、彼らの話に耳を傾けてみるのもいいのではないでしょうか。

大塚 ちえ