同調査では、「撮影モラルが低下する場面」についても言及しています。以下の調査結果をご覧ください。
どのような場面で撮影モラルの低下を感じた?
・観光地(65.9%)
・公共交通機関(55.7%)
・事故および事件現場(50.4%)
・被災現場(46.7%)
・レストラン(36.5%)
・ライブ会場およびイベント会場(31.4%)
・レジャー施設(30.6%)
・保育園(幼稚園)および学校(20.0%)
・ホテル(16.7%)
・撮影モラルの低下を感じたことがない(6.0%)
・その他(4.4%)
注目すべきは、「撮影モラルの低下を感じたことがない」と答えた人が6.0%に留まったこと。場面こそ違えど、回答者の9割近くが撮影モラルの低下を感じていることがわかります。
最も回答が多かった「観光地」では
モラルの低下を最も感じた「観光地」では、以下のようなコメントが寄せられています。
・立ち入り禁止区域に入って撮影している。看板も大きくある。物事は意味があって立ち入り禁止と記載しているのに。特に多いのは絶滅保存植物区域です。山・川・湖近隣。(60代・男性)
・たくさん人がいるのに、水族館でいい写真が撮れるまで場所をゆずらない。小さい水槽では特に迷惑。(40代・女性)
・観光地で落書きをしている友人の写真動画を撮っていた。注意をしたら逆に叱られた。(50代・女性)
私有地や禁止区域への侵入を筆頭に、「石碑に自分の名前を彫って撮影していた」「慰霊塔でピースサイン」など、その地における歴史的背景やリスペクトに欠ける行動が目撃されています。
事故および事件現場では
「事故および事件現場」においても、さまざまなコメントが寄せられました。
・同じマンションの方が飛び降り自殺をしたが、その現場を上の階からスマホで撮影されているのをこの目で見た時には大ショックを受けました。(60代・女性)
・人身事故現場・火事の消火中に救命などをしている人や通行人の邪魔になっているのに動画を撮っている人が多くびっくりする。(30代・女性)
まとめ
こういった場合は、「好奇心がモラルを上回る」のかもしれません。先述した観光地のケースとは異なり、撮影者の大半がモラル違反を自覚しているのがポイントです。また“赤信号みんなで渡れば怖くない”とは良くいったもので、「周りが撮っているから自分も許されるだろう」と考える人も、一定数いるはず。人混みの中でこそ、適切な判断が求められるでしょう。
撮影モラル低下の一端を、SNSの普及が担っているのは確かです。よって、大人は情報モラルの再構築およびSNS運用の見直しを。子どもには、情報モラル教育を徹底すべきではないでしょうか。それが撮影モラルの向上、ひいては日本人全体のモラル向上に繋がると考えられます。
高橋 一磨