気をつけなければならないのは、進学や就職といった将来のステップアップの段階で、子供本人が学校に行けなかったことを引け目に感じてしまうことです。そうなると、なかなか次のステップに進めず、長期のひきこもりに発展してしまうこともありえます。

筆者の経験からは、いま通っている小・中学校の名前で卒業証書が出る適応学級や、不登校の子供でも通えるような通信制の高校がいいのではないかと思います。

未来への希望が持てない

子供はネットやテレビ、そして親や周囲の大人たちから情報を得ることが多いため、ネガティブな情報ばかりを受け取ってしまうと、将来への希望が持てず悲観的になるおそれもあります。

いろいろな社会問題や景気の変化で困難なことがあるということは認めつつも、さまざまな扉や道があることを示し、なるべく明るい方向へ話を持っていくと子供の気持ちもやわらぎます。

たとえば、「お前たちの世代は年金ももらえないだろうな」というような突き放した言い方をされると、子供は不安になります。

「〇〇の世代は年金が十分にもらえない可能性があるかもしれないから、民間の個人年金やiDeCo(イデコ)なんかで補っておくと安心が高められるわね」など、不安はあるけれど、不安をやわらげる方法があることも教えてもらえると嬉しいし、希望が持てるものです。

おわりに

思春期は、誰にも悩みを相談できずに抱え込んでしまう傾向があります。ただ、「どうしたの?」「何かあった?」などと頻繁に声をかけられると、逆に言いづらくなってしまうこともあるため、普段から変わった様子がないか常に観察してもらえるのがありがたいと感じます。

そして、変化があったときには、よいタイミングで声をかけてもらえると、こちらも相談しやすくなり、自分の中での限界までの幅が少し広がる感じがするのです。ここまで書いてきたように、助言を押しつけるのではなく、子供の意見も尊重し、子供の力も信じてもらいたいです。

また、親が煮詰まっているとどうしても子供に伝わってしまうので、親自身も悩みを抱え込まずに祖父母や友人、周囲の人たちと連携して子供の悩みを解決してあげてください。

1人でも多くの未成年者が、自殺を考えずにのびのびと生きられる社会になれば嬉しいと思います。

山内 琉夢