3. 確定申告で得か損かは、配当の額で変わる

同じ年金200万円の単身者で、課税口座の配当が30万円・50万円・100万円の場合を比べると、確定申告したときの負担の増減は次のようになります。

  • 配当30万円:所得税が4万5945円戻るが、住民税が6600円、国民健康保険料が4万5074円増え、差し引き年5729円の負担増
  • 配当50万円:所得税が7万6575円戻るが、住民税が1万1000円、国民健康保険料が6万7654円増え、差し引き年2079円の負担増
  • 配当100万円:所得税が15万3150円戻り、住民税が2万2000円、国民健康保険料が12万4104円増え、差し引き年7046円の負担減

配当が少ない場合は、均等割の軽減から外れる影響が大きく、確定申告をすると損になりやすくなります。配当が多くなると所得税の戻りが大きくなりますが、それでも得になる額はわずかです。

ここでは介護保険料を含めていません。65歳以上の介護保険料は所得に応じて段階が決まるため、確定申告で所得が増えると、介護保険料も上がる場合があります。確定申告をするかどうかは、税金だけでなく保険料も含めて判断することが大切です。

4. 75歳以上は、2029年8月から申告しなくても反映される見込み

2026年5月に成立した健康保険法等の改正法により、75歳以上の後期高齢者医療では、上場株式の配当などを、確定申告をしなくても保険料や窓口負担の判定に反映する仕組みが導入されます。厚生労働省のスケジュール(案)では、2029年8月からの反映が予定されています。

厚生労働省の資料では、非課税のNISAは対象外とされています。75歳以降も配当を受け取る予定なら、NISAで受け取るかどうかで、保険料の差はさらに大きくなります。なお、今回の改正で金融所得の反映が決まったのは後期高齢者医療です。国民健康保険や介護保険での反映については、国会審議で「検討すべき」と指摘されている段階です。

5. 配当を受け取るなら、NISAで受け取る設定も確認する

NISAの成長投資枠で国内株式を持っている場合、配当金の受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておかないと、NISA口座の株でも配当に税金がかかります。証券会社で受け取り方の設定を確認しておきましょう。

また、保険料や窓口負担の判定は、世帯の状況や自治体によって異なります。実際の影響は、住んでいる市区町村の窓口で確認してください。

6. まとめ

NISAで受け取る配当や売却益は、保険料の計算に入りません。一方、課税口座の配当を確定申告すると、所得税は戻っても国民健康保険料と住民税が増え、年金200万円・配当50万円の例では差し引きで年2079円の負担増になりました。

さらに、75歳以上の後期高齢者医療では、2029年8月から、確定申告をしなくても課税口座の配当が保険料と窓口負担の判定に反映される見込みです。NISAはこの対象外です。

配当を受け取っている方は、まず、配当をどの口座で受け取っているかと、確定申告をしているかを確かめてみましょう。そのうえで、これから配当を受け取る株や投資信託は、NISAの枠で持つことを検討すると、保険料の面でも安心です。

参考資料

和田 直子