4. 上限額と比べるときに注意したいこと3つ

月の上限額は、利用料の支払い額すべてと比べるわけではありません。見落としやすい点を3つ紹介します。

4.1 1.食費・居住費などは、合計額に入らない

厚生労働省の解説ページでは、福祉用具購入費や食費・居住費などの一部は、上限と比べる合計額から除かれるとしています。横浜市の案内では、介護保険外のサービス、施設の食費・部屋代・日常生活費、福祉用具購入費、住宅改修費が対象外です。

施設を使っている親の毎月の支払いの中に、上限の判定に入らない部分が含まれている場合があります。

4.2 2.要介護度ごとの利用限度額を超えた分は、対象外

横浜市の案内によると、対象になるのは、要介護度ごとの利用限度額の範囲内で自己負担した分です。限度額を超えて利用した分の全額自己負担は、高額介護サービス費の対象になりません。

要介護度ごとの利用限度額を超えてサービスを使うと、その分は戻らない点に注意が必要です。

4.3 3.判定は世帯単位。親が非課税でも、同じ世帯に課税者がいれば区分が変わる

非課税世帯の区分は、世帯全員が住民税非課税の場合が対象です。同じ世帯に住民税の課税者がいれば、親本人が非課税でも、課税世帯の区分で判定されます。

課税所得380万円未満の課税世帯の上限は4万4400円で、非課税世帯の2万4600円との差は月1万9800円です。子と同じ世帯(住民票上の世帯)かどうかが、上限の区分に影響する可能性があります。世帯の考え方は市区町村で確認してください。

5. 夫婦でサービスを使うと、上限は世帯合算になる

5.1 夫婦で利用した場合、払い戻しはいくら?

例)夫婦で利用し世帯の負担が合計5万5000円の場合の払い戻し額3/3

例)夫婦で利用し世帯の負担が合計5万5000円の場合の払い戻し額

出所:厚生労働省「介護サービス情報公表システム サービスにかかる利用料」をもとにLIMO編集部試算

同じ世帯に介護サービスを使う人が2人以上いる場合、江東区の案内は、利用者負担額を人数分合算して上限額との差額を支給する扱いです。

たとえば、父が2万5000円、母が3万円を負担し、世帯の合計が5万5000円になったとします。同じ世帯の65歳以上の人の課税所得が380万円未満なら、上限4万4400円を引いた1万600円が支給の対象です。世帯全員が住民税非課税の場合は、2万4600円を引いた3万400円になります。

父も母も、1人ずつの負担は4万4400円を下回っていますが、世帯で合算すると上限を超えます。なお、江東区の案内には、1万5000円(個人)の区分の人がいる世帯でも、2人以上が利用する場合は世帯の上限額で見る旨の記載があります。年金収入等と所得の合計が82万6500円以下の区分の世帯の上限は、2万4600円と示されています。計算方法の詳細は案内に載っていないため、夫婦で利用している場合は、どの上限で計算されるかを市区町村に確認しておくと確実でしょう。

5.2 2026年8月に見直されたのは、どの部分?

文京区の案内によると、令和8年8月利用分から、1万5000円(個人)の区分を分ける「課税年金収入額と合計所得金額の合計」の基準が、80万9000円以下から82万6500円以下に変わりました。江東区の案内や厚生労働省の解説ページでも、82万6500円(82.65万円)以下が基準として示されています。

同じ非課税世帯でも、この基準を超えるかどうかで、月の上限が1万5000円(個人)か2万4600円(世帯)かに分かれます。各自治体の案内や厚生労働省のページが示す上限額は、14万100円・9万3000円・4万4400円・2万4600円・1万5000円です。親がどちらの区分に入るかは、市区町村から届く通知などで確認してください。

6. まとめにかえて|上限額と申請先を、親の住む市区町村で確かめておく

高額介護サービス費は、1か月の介護サービスの利用者負担が所得区分ごとの上限を超えたとき、超えた分が戻る制度です。月の上限は1万5000円から14万100円で、世帯単位の区分と個人単位の区分が用意されています。

国の通知は申請を初回のみで足りるようにすることを求めており、初回のみで済む旨を案内する自治体もある一方、案内が届く時期や手続きは市区町村ごとに違いがあります。支給を受ける権利には、文京区や横浜市の案内で2年の時効が示されているため、親の介護費用の領収書や通知は、手元に残しておくと役立つでしょう。

上限額や区分の判定、申請の流れは制度にかかわる内容です。詳しくは、親が住んでいる市区町村の介護保険の担当窓口に問い合わせてください。

参考資料