親の介護でサービスの利用料がかさみ、月ごとの支払いが気になっている方もいるのではないでしょうか。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」の「サービスにかかる利用料」のページによると、1か月の利用者負担の合計が所得に応じた上限額を超えた場合、超えた分が介護保険から支給されます。
上限額は世帯の所得区分に応じて月1万5000円から14万100円までで、受け取るには市区町村への申請が必要です。本記事では、上限額と申請のしかた、世帯単位と個人単位の違いを整理します。
1. そもそも高額介護サービス費とは?
介護保険のサービスを利用すると、費用の一部を利用者が負担します。高額介護サービス費は、この月々の利用者負担の合計が所得区分ごとの上限額を超えたとき、超えた分があとから支給される制度です。
同ページによると、福祉用具購入費や食費・居住費などの一部は、合計額の計算に含まれません。支給を受けるには、市区町村への申請が必要とされています。
2. 月の上限額はいくら?所得区分ごとの早見表
同ページが示す月の上限額を区分ごとにまとめると、次のとおりです。
- 課税所得690万円(年収約1160万円)以上の65歳以上の人がいる世帯:14万100円(世帯)
- 課税所得380万円(年収約770万円)以上690万円未満:9万3000円(世帯)
- 課税所得380万円未満の課税世帯:4万4400円(世帯)
- 世帯全員が住民税非課税(下の区分以外):2万4600円(世帯)
- 非課税で公的年金等収入と所得の合計が82万6500円以下の人、老齢福祉年金の受給者:1万5000円(個人)。文京区の案内では、82万6500円の基準は令和8年8月利用分からで、それまでは80万9000円以下でした
- 生活保護の受給者など:1万5000円(個人)
課税所得380万円未満の課税世帯の上限は、月4万4400円です。どの区分に入るかは、市区町村が判定します。
2.1 世帯単位と個人単位は何が違う?
同ページの説明では、「世帯」の上限は介護サービスを利用した人全員の負担の合計に対する上限を指します。「個人」の上限は、利用者本人の負担に対する上限のことです。
課税世帯の3区分は、同じ世帯にいる65歳以上の人の課税所得で判定されます。親本人の所得だけで決まるわけではない点は、押さえておきたいところです。
2.2 月の利用者負担が6万円だと、いくら戻る?
たとえば、親の1か月の利用者負担が6万円で、同じ世帯の65歳以上の人の課税所得が380万円未満の場合を考えます。上限の4万4400円を引いた1万5600円が、支給の対象です。
この6万円は、計算のしかたを見やすくするための仮の金額です。実際に月6万円になるかどうかは、サービスの利用量や、同じ世帯で利用する人の人数によって変わります。ここでは、利用者が1人で、6万円が食費・居住費などの対象外の費用を含まず、要介護度ごとの利用限度額の範囲内で自己負担した額だったと仮定してLIMO編集部が試算すると、払い戻し額は次のようになります。
- 課税所得380万円未満の課税世帯:1万5600円
- 世帯全員が住民税非課税(1万5000円の個人区分以外):3万5400円
- 1万5000円(個人)の区分:4万5000円
- 課税所得380万円以上の課税世帯:0円(上限の9万3000円・14万100円を下回るため)
この仮の例では、同じ6万円の負担でも、世帯の所得区分によって、戻る額は0円から4万5000円まで開きます。
3. 申請は毎回必要?初回のみで済む自治体もある
厚生労働省老健局介護保険課長が各都道府県に宛てた通知(平成17年9月8日付、老介発第0908001号)には、申請は初回のみで足りるようにすることを市町村に求める内容が含まれています。このほか、初回の申請時に指定した口座へ振り込むことや、申請時に利用者負担額の申告と領収書の添付を求めないことも、同じ通知で示された運用の柱です。
今回確認できた自治体の案内では、船橋市は一度申請すれば以後の申請は不要とし、江東区と文京区は2回目以降、初回に指定した口座へ自動的に振り込む運用です。
申請書が届く時期は、自治体によって異なります。船橋市はサービス利用月のおおむね2か月後、江東区は約3か月後、横浜市は約4か月後が目安です。ただし、横浜市のように、案内に「初回のみ」の記載が見当たらない自治体もあります。
支給を受ける権利には時効があります。文京区の案内では、利用者負担額を支払った日の翌日から2年(勧奨通知が届いた場合は、通知が到着した日の翌日から)で時効となり、申請できなくなる扱いです。横浜市の案内にも、2年で時効となるとの記載があります。申請書が届かない場合は、市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせてください。
自治体によっては申請は初回のみで済みますが、毎回かどうかや案内の時期は市区町村で異なります。親が住む市区町村の最新の案内を確認しておくと安心です。
次のページでは、上限額と比べるときに注意したい3つのことと、夫婦でサービスを使う場合の払い戻しの計算を解説します。