資産形成は低コスト投資信託で十分! ”安かろう悪かろう”じゃありません

世の中の自然な流れなのか、フィンテックによる技術革新なのか理由は後世が決めると思いますが、金融商品の価格破壊がどんどん進んでいます。筆者が長く関わっている資産運用業界、特に一般向けの金融商品である投資信託は価格破壊が進んでいる最たるものです。

投資信託の手数料をおさらい

投資信託を購入する際には、2種類の手数料がかかります。1つ目は投資信託を購入する際の購入手数料。2つ目はその投資信託を運用する手数料である運用管理費用(信託報酬)です。

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前者は販売会社である銀行・証券会社などの販売金融機関に支払うもの、後者はその投資信託を運用している資産運用会社に毎年払うものです。

購入手数料・信託報酬ともに幅があり、購入手数料は最高3.5%程度から0%(手数料なし)、信託報酬は最高4%超から0%までとなっています。

後者の信託報酬率が0%というのは現金に近い運用をする投資信託ですから例外と言えますが、ある程度のリターンを狙っていく投資信託の最低信託報酬率は米国S&P500指数に連動する投資信託の年0.09%となります(執筆時、筆者調べ。マネープール等除く)。

手数料が高いのは優れた投資信託?

つまり、今の世の中、投資信託というコモディティ化された金融商品を購入する際は、ほとんど手数料を払わずに済むということなのです。しかし、投資される方にも勘違いされている方がいらっしゃいます。

たとえば、「購入手数料がない投資信託はアドバイスが受けられないのではないか」、「購入手数料がなかったり信託報酬が低かったりする投資信託は“安モノ”ではないか」といったものです。これらは、大きな誤解です。

また、投資信託の販売担当者にも、「手数料が高い投資信託は優れた投資信託である」という誤解があります。もちろん、手数料収入という観点で考えれば金融機関にとって優れた商品ではありますが、投資信託の運用成績(リターン)と手数料水準の高さに相関はありません。

図表は信託報酬の高い順、低い順にそれぞれ3本ずつ抽出し、それらのリターンを比べてみたものです。一見してお分かりになると思いますが、信託報酬が高いからと言ってリターンが高いわけではなく、むしろその逆です。

もちろん、カテゴリーが異なる投資信託を信託報酬という切り口で比べるのは異論があるのは承知しています。しかしながら、信託報酬が高ければ高いほどリターンも高いというのは誤解であることがお分かりになるでしょう。

価格破壊が進む今、低コスト商品を選ぶのが賢明

筆者は投資信託業務に長く携わっていますから、こうしたコストの変遷に気づくことができますが、一般の方にはそうしたトレンドになっていることがなかなか伝わっていないと思います。

参考記事

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。