試用期間中に、会社から「本採用は難しい」「今月で終わりにしてほしい」と告げられる。試用期間なら会社はいつでも解雇できるのか、解雇予告手当は出るのか、出るならいくらなのか、すぐには分からない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、労働基準法と労働契約法の条文から、試用期間中の解雇で何が必要になるのかを順に見ていきます。

あわせて、解雇予告手当のもとになる平均賃金を、条文と厚生労働省の解説どおりに計算しました。月給が20万円・25万円・30万円の3つの場合で、解雇予告手当がいくらになるかを示します。

※月給20万円・25万円・30万円は、計算の流れを示すための仮の額です。計算は労働基準法第12条・労働基準法施行規則第3条と、神奈川労働局「平均賃金について」の端数の扱いによっています。

1. 試用期間中の解雇でも解雇予告は必要?予告が要らないのは14日以内まで、14日を超えたら30日前の予告か30日分以上の解雇予告手当

試用期間中の解雇で最初に関わるのが、労働基準法第20条と第21条です。第20条は解雇の手続きを定め、第21条は第20条を当てはめない人を定めています。

  • 【第20条(解雇の予告)】使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告しなければならず、30日前に予告しない使用者は30日分以上の平均賃金を支払わなければならない
  • 【第20条第2項】予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合、その日数だけ短くできる
  • 【第21条第4号】「試の使用期間中の者」(条文の表記どおり)には第20条を適用しない。ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、この限りでない

つまり、試用期間中の人に第20条の予告の決まりが当てはまらないのは、14日を超えて使われる前までです。就業規則で試用期間を3か月や6か月と定めていても、14日を超えて働いていれば、30日前の予告か解雇予告手当が必要になります。

第21条は、日日雇い入れられる人(1か月を超えるまで)、2か月以内の期間を定めて使われる人と季節的業務に4か月以内の期間を定めて使われる人(それぞれ所定の期間を超えるまで)も、同じように定めています。

また、天災事変などで事業の継続ができなくなった場合や、労働者の責めに帰すべき事由で解雇する場合は、第20条ただし書きで予告が要らないとされています。厚生労働省「確かめよう労働条件」によると、この場合は所轄の労働基準監督署長の「解雇予告除外認定」を受ける必要があります。

2. 試用期間中の解雇は自由にできる?解雇予告手当とは別に、労働契約法第16条の「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当」が問われる

解雇予告と解雇予告手当は、解雇するときの手続きの決まりです。解雇そのものが認められるかどうかは、別の法律で定められています。労働契約法第16条は、次のように定めています。

  • 【労働契約法第16条(解雇)】解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする

厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」でも、この2つを分けて説明しています。解雇予告手当を払ったかどうかと、解雇に合理的な理由があるかどうかは、別々に問われる仕組みです。

試用期間については、厚生労働省「確かめよう労働条件」の裁判例のページで、次のように整理されています。

  • 【試用期間の性質】適性を評価・判断するための期間は、特段の事情がない限り、解約権が留保された試用期間とみなされる
  • 【解約権の行使】通常の解雇より広い範囲で認められるが、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当とされる場合に限られる
  • 【試用期間の長さ】適性の判断に必要な合理的な期間を超える長い試用期間は、公序良俗に反する部分が無効とされる

試用期間中の解雇が認められるかどうかは、解雇の理由や試用期間中の経緯によって判断されます。この記事では、その判断ではなく、手続きとして必要になる解雇予告手当の額を見ていきます。