7. 試用期間中に解雇を告げられたら何を確かめる?労働基準法第22条の解雇理由の証明書と、総合労働相談コーナー

解雇予告手当の額や、解雇の理由を確かめるときに手がかりになるのが、労働基準法第22条の証明書です。

  • 【第22条第1項】退職の場合に、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)について請求すれば、使用者は遅滞なく交付しなければならない
  • 【第22条第2項】解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、解雇の理由について請求すれば、使用者は遅滞なく交付しなければならない

あわせて、次の点を手元の書類で確かめることができます。

  • 【入社日と賃金締切日】雇用契約書や給与明細で、計算の期間が何日になるか
  • 【試用期間の定め】就業規則や雇用契約書で、試用期間が何か月とされているか
  • 【予告の日】解雇を告げられた日と解雇の日が何日離れているか

厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」によると、総合労働相談コーナーは各都道府県労働局と全国の労働基準監督署内などの378か所にあり、解雇を含むあらゆる分野の労働問題を対象に、予約不要・無料で相談を受け付けています。

8. 【元厚生労働省担当記者の視点】検証:試用期間中の解雇予告手当が「14日」と「平均賃金の30日分」で決まるのは、手続きと解雇の理由を切り分けた制度設計の結果

試用期間中の解雇でまず押さえておきたいのは、手続きの決まりと、解雇が認められるかどうかの決まりが、別々の法律に置かれていることです。労働基準法は予告と解雇予告手当という手続きを、労働契約法は解雇の理由を定めています。予告や手当があれば解雇が有効になるわけでも、なければ手続きが済んだことになるわけでもありません。

14日という線引きも、細かく見えて恣意的なものではないと考えられます。採用直後のごく短い期間は、即時の解雇を予告の決まりから外す一方、それを超えて働き続けている人には、試用期間かどうかにかかわらず30日分の備えを確保する、という考え方だと捉えると理解しやすいでしょう。

計算の側にも設計の意図が見えます。平均賃金は試用期間を計算の期間から除くのが原則ですが、試用期間中に解雇を告げられた人については、試用期間中の賃金で計算します。試用期間の賃金は本採用後と異なることがあるため、試用期間中とそれ以外とで扱いを分けた結果だと考えられます。

数字で見ると、9月1日入社・61日の計算なら、月給20万円で約19.7万円、30万円で約29.5万円で、どれも月給の約98%です。計算の期間に2月が入ると、月給25万円で約1.2万円多くなります。日割りの計算は、暦日で割るか働いた日で割るかで結果が変わりますが、平均賃金はその割り方を条文が暦日と決めています。

会社から示された解雇予告手当の額が正しいかは、入社日・賃金締切日・月給の3つが分かれば、自分の手で計算の道筋を追うことができます。一方で、解雇の理由が認められるかどうかは、試用期間中の経緯しだいで、条文だけでは決まりません。額の確認と理由の確認を分けて進めることが、実務的には有効だと思います。

9. まとめ

試用期間中の解雇でも、労働基準法第21条で予告が要らないとされるのは14日を超えて使われる前までです。それを超えていれば、第20条により30日前の予告か、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当が必要です。解雇そのものが認められるかは、労働契約法第16条で別に問われます。

9月1日入社・月末締めで11月に解雇を告げられた場合の解雇予告手当は、月給20万円なら約19.7万円、25万円なら約24.6万円、30万円なら約29.5万円です。解雇の理由は第22条の証明書で書面にしてもらうことができ、総合労働相談コーナーなどで確かめることもできます。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。法律の内容は記事作成時点のもので、解雇予告手当の額は賃金の締切日や手当の有無などで変わり、解雇が認められるかどうかは個々の経緯によって判断されます。実際の取り扱いは、勤務先や労働基準監督署、都道府県労働局などでご確認ください。

参考資料

齊藤 慧