5. 実家を賃貸に出す前に確かめたいことは?確定申告と、空き家のままの固定資産税

給与を受け取る人で、給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。実家を賃貸に出して不動産所得が出れば、毎年の申告が要ります。

一方、賃貸にも売却にもせず空き家のまま置いておくと、管理の状態によっては市区町村から勧告を受け、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がることがあります。売却の期限と空き家の管理は、あわせて確かめておきたいところです。

6. 【証券会社出身の視点】検証:表面利回り約5.1%と手取りの約2.8%は、何に対する利回りか

試算では、実家の賃貸の表面利回りは約5.1%、手取りで見ると約2.8%でした。どちらも「実家を売却したらいくらになるか」を分母にしています。

相続した実家は買ったものではないので、利回りの分母がはっきりしません。分母を「いま売却すれば手にできる額」に置く考え方は、知っておきたい点です。売却せずに持ち続けることは、その額を実家に置いたままにすることでもあるからです。

もう1つは、分子に入れる額です。家賃の額面ではなく、空室・管理費・固定資産税・税を引いた手取りで見ると、利回りはほぼ半分になりました。修繕費や、賃貸に出すことで使えなくなる空き家の3000万円控除の税も、いわば賃貸を始めるための費用です。

試算では、この2つを手取りで埋めるのに約10.8年かかりました。土地の値段が上がれば差は縮み、下がれば広がります。家賃や空室も、実家のある地域や家の状態で変わります。

実家を賃貸に出すか売却するかは、家への思いや家族の事情も含めて決めることです。数字の面では、額面ではなく手元に残る額で、特例の期限と並べて比べてみていただきたいと思います。

7. まとめ

実家の賃貸は、一戸建ての民営借家の平均家賃 月約6.2万円でも、空室・管理費・固定資産税・税を引いた手取りは年約40.7万円でした。賃貸に出すと空き家の3000万円控除が使えなくなり、取得費が分からない場合のこの試算では、売却のときの税が約271.4万円になります。

特例が使えるかどうか、不動産所得の申告は、お住まいの地域の税務署(確定申告の相談)や税理士に確かめられます。賃貸や売却の相手を探すときは、お住まいの市区町村の空き家の担当窓口(空き家バンクなど)にも相談してみてください。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。家賃・空室・管理費・土地の値段は地域や物件で異なり、税の扱いは個々の状況で変わります。特例の要件や税額は、税務署や税理士でご確認ください。

参考資料

安達 さやか