新入社員が部署に配属されると、その教育に頭を悩ませるのが毎年の恒例行事、という人も多いのではないでしょうか。新人とはもはや世代が違って、どう言えば伝わるのか、どう言ったら彼らの心に届くのだろうかと悩むこともありますよね。そこで今回は、新人教育係を経験したアラサー4人に聞いた成功例と失敗例について紹介します。
「作業」しかさせてくれないと会社をやめてしまった
とある広告代理店で働くAさん。Aさんの部署に配属された新人は、自分よりも高学歴ではるかに優秀そうな新卒だったと言います。最初は新人もAさんについて回って、OJTで仕事を覚えることに。
基本的な日報やクライアントに見せるレポートの数字を見ることから教えようと思ったAさん。しかし、あまりに忙しくゆっくり教える時間もなかったため、マニュアルを渡してとりあえず日報とクライアント提出用のレポート作成の方法を簡単に説明。「あとはマニュアルを見て作って」と、前年の新入社員が作ってくれたマニュアルを渡したのだそう。
2~3週間経った頃、マニュアル通りに日報やレポートの作成が一通りできるようになった新人と話をしていたときのこと。Aさんは新人から「このくらいの作業ならできます」と言われてなんとなく違和感を覚えたのだそう。
しかし、忙しくて分析ツールの使い方もマニュアル、各種手続きの申請方法もマニュアル、とりあえずマニュアルを見てと言っていたAさん。結果として、新人はそれぞれのやり方は覚えても「その作業の意味」を考えておらず、半年経つ頃にも作業はできるけれどやっていることや言葉の意味を理解していなかったことが判明。
そして1年経っても、できることがルーティン業務しかなく、自発的な行動がなかったのだと言います。営業であれば、数字を取るために様々な戦略を練るのですが、新人は「今月は数字が厳しいです」と報告するだけで、具体的に何の進捗が悪いのか、その状態から脱するために何をするのかを考えておらず、挙句の果てには「Aさんが作業しかやらせてくれないから辞める」とAさんに対する不満をあらわにして会社を去ったと言います。
Aさん曰く、「マニュアルを見せて、数字が出てくれば自分で色々と考えるだろうと思っていたのが間違いだった。数字の見方や意味からきちんと教えるべきだった」と反省していました。
厳しい指導で新人の心が折れてしまった
金融機関勤務のBさんの部署にも新人がやってきました。彼は非常に聡明で愛嬌もあり、Bさんは心から期待していたと言います。
Bさんは極力新人に多くのことを経験させようと積極的に仕事を振っていました。「自分でやらないとわからない」と思い、事務仕事から営業まで色々とやらせ、詳しく諸業務を教え、期待しているからこそ厳しく叱り、時には褒めつつうまくやっていたつもりだったと言います。
しかし、新人は会社から去ってしまいました。理由は明言しなかったものの、新人の同期社員が言うには「いつもBさんの文句を言っていた。何をしても叱られるし仕事が楽しくない」とのこと。Bさんは、期待しているからといって厳しくしすぎるのがダメだった、時々は褒めているつもりだったがそれが伝わっていなかったと嘆いていました。
モチベーションを刺激して自発的に動く力をつける
一方、IT企業に勤めるCさんは、部署の新人のモチベーションを刺激することを意識したと言います。Cさんの部署に入ってきた新人は、一見のんびり屋のようでCさんは少し心配していました。