5. 公務員の退職金に税金はいくらかかる?国家公務員の定年退職の平均2160.1万円・勤続38年なら、所得税と住民税で約7.6万円
国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」によると、退職金は、退職所得控除を差し引いた額の2分の1が課税の対象になります。勤続20年を超える場合の退職所得控除は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」で、1年未満の端数は1年に切り上げます。
国家公務員の定年退職の平均支給額2160.1万円と、平均勤続年数37年1か月(控除の計算では38年)で試算すると、次のとおりです。
- 【退職所得控除】800万円+70万円×18年=2060万円
- 【退職所得の金額】(2160.1万円−2060万円)×2分の1=約50.0万円
- 【所得税(復興特別所得税を含む)】約2.6万円
- 【住民税】約5.0万円
- 【合計】約7.6万円(受け取る額は約2152.5万円)
同じ2160.1万円でも、仮に勤続35年なら退職所得控除は1850万円になり、所得税と住民税の合計は約23.4万円です。退職金の税金は、支給額だけでなく勤続年数で変わります。
※試算の前提:「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、ほかに同じ年の退職金はないものとします。所得税は国税庁「No.2260 所得税の税率」の5%に復興特別所得税(2.1%)を加え、住民税は江東区「退職所得に対する住民税」の区民税6%・都民税4%で計算しました。
6. 【証券会社出身の視点】検証:公務員の退職金と民間の差は、比べる条件しだいで「約801.7万円少ない」から「約814.7万円多い」まで動く
この記事では、国家公務員と地方公務員(警察官を含む)の退職金の平均を退職理由・勤続年数別に整理し、勤続35年以上の定年退職で民間と比べた差と、税金の試算をご紹介しました。
同じ統計から、条件を変えて「公務員と民間の差」を出し直すと、次のようになります。
- 【国家公務員の全体の平均と、民間の大学・大学院卒の定年退職(勤続20年以上かつ45歳以上)】1094.3万円と1896万円で、公務員が約801.7万円少ない
- 【国家公務員の定年退職の平均と、民間の大学・大学院卒の定年退職(勤続20年以上かつ45歳以上)】2160.1万円と1896万円で、公務員が約264.1万円多い
- 【どちらも勤続35年以上の定年退職】約2285.7万円と2037万円で、公務員が約248.7万円多い
- 【勤続35年以上の定年退職を、民間の高校卒(管理・事務・技術職)と比べた場合】約2285.7万円と1909万円で、公務員が約376.7万円多い
- 【勤続35年以上の定年退職を、民間の高校卒(現業職)と比べた場合】約2285.7万円と1471万円で、公務員が約814.7万円多い
退職金の額は、何年勤めて、どんな理由で退職したときの額なのかで大きく変わります。平均どうしを並べるだけでは、差が逆向きに見えることもあります。
注意していただきたいのは、勤続35年以上でそろえても、学歴の違いは残るという点です。また、民間の数字には企業年金の分が含まれる一方、国家公務員の退職手当には年金払い退職給付が含まれません。内閣人事局は、退職手当と年金払い退職給付を合わせた「退職給付」で官民の均衡を図るとしています。
ご自身の退職金の見込み額は、勤続年数と退職する理由が決まると、勤め先の規程にあてはめて確かめることができます。見込み額と税金の目安が分かると、受け取ったあとに生活費として手元に置く分と、それ以外の資金をどこに置くかも決めやすくなります。
7. まとめ
国家公務員の定年退職の平均は2160.1万円で、勤続35年以上に限ると約2285.7万円です。地方公務員では、勤続25年以上の定年退職で警察官が約2221.0万円、一般職員が約2141.6万円でした。民間の大学・大学院卒の勤続35年以上の定年退職は2037万円で、条件をそろえた差は約248.7万円です。
ただし、公務員の統計には学歴の区分がなく、民間の数字は退職給付制度がある会社だけの平均です。退職金の税金は勤続年数で変わり、国家公務員の定年退職の平均支給額と平均勤続年数で試算すると約7.6万円でした。最新の制度の内容は、国税庁や勤め先の人事担当の案内で確かめることができます。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。退職金(退職手当)の額は、勤め先の規程(国家公務員は国家公務員退職手当法、地方公務員は各団体の条例)、勤続年数、退職理由、退職時の給与などによって変わります。最新の情報は、内閣人事局・総務省・厚生労働省のホームページでご確認ください。
参考資料
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 調査の概要」
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 江東区「退職所得に対する住民税」
安達 さやか