5. 相続した株を値上がり後に売ったら?相続税とは別に、値上がり分を含む利益に20.315%の税がかかる
相続した株を値上がり後に売ると、相続税とは別に、売ったときの利益に税がかかります。国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」によると、上場株式の売却益の税率は所得税15%と住民税5%で、所得税額の2.1%の復興特別所得税を合わせると20.315%です。
このとき、相続税の評価額(試算では約2620万円)は、売却益を計算するときの取得費にはなりません。国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」によると、相続した株の取得費は、亡くなった人の取得費を引き継ぎます(NISA口座で持っていた株は、亡くなった日の終値に相当する額が取得費になります)。
- 【相続税】亡くなった日までの4つの価格のうち最も低い価格で評価
- 【売ったときの税】売った金額から、亡くなった人が買ったときの取得費などを引いた利益に20.315%
相続税がかかった人が、申告期限の翌日以後3年以内に相続財産を売った場合は、相続税の一部を取得費に加える特例もあります(国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」)。
6. 【検証】試算から見えること:相続した株の評価額は、値上がりの途中で亡くなると低くなりやすい
2つの試算を並べると、評価額を決めるのは亡くなったあとの株価ではなく、亡くなる前の3か月ほどの値動きだと分かります。3月末は株価が下がった直後で、終値がそのまま評価額になりました。5月末は上がっている途中で、3月の月平均まで評価額が下がりました。
4つの価格から選ぶ仕組みは、評価額を亡くなった日の終値より高くすることはありません。短い期間の値動きで、評価額が高くなりすぎないようにするためのものと読めます。
ただし、亡くなったあとの値動きが評価額に入らないのは、値下がりのときも同じです。亡くなったあとに株価が下がっても、相続税の評価額は下がりません。
また、相続税の評価額と、売ったときの税の計算に使う取得費は別のものです。評価額が低く決まっても、売るときは亡くなった人の取得費から利益を計算します。
株の評価額は、亡くなった日と、その前の月平均を調べれば計算できます。相続税の申告が要るかどうかは、ほかの財産と合わせて基礎控除額と比べてから判断することになります。
7. まとめ
相続した株の相続税の評価額は、亡くなった日の終値と3か月の月平均のうち、最も低い価格で決まります。亡くなったあとに値上がりしても値下がりしても、評価額は変わりません。
相続税の申告が必要か、売ったときの税がいくらになるかは、ほかの財産や取得費によって変わります。迷ったときは、税務署の相談窓口や税理士に確かめておくと安心です。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の評価額や税額は、銘柄の値動きやほかの財産などによって異なります。詳しくは国税庁のホームページや税務署、税理士でご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.4632 上場株式の評価」
- 国税庁「No.4152 相続税の計算」
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
- 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」
- 日本経済新聞社「日経平均プロフィル」ヒストリカルデータ
安達 さやか