相続した株が、亡くなったあとに値上がりすることがあります。そのとき相続税は値上がりした今の株価で計算されるのか、気になる人もいるでしょう。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、相続した株の相続税は、亡くなったあとの値動きとは切り分けて、どの日の価格で決まるのかを早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、国税庁の財産評価のルールにもとづき、相続した株(上場株式)の相続税の評価額が、どの日の価格で決まるのかを確かめます。

そのうえで、相続税の申告での有価証券の1人あたりの平均額約2620万円を、日経平均株価の2026年の実際の値動きに当てはめて試算します。亡くなった日が3月末の場合と5月末の場合で、評価額がどう変わるかを比べます。

※約2620万円は、国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」の相続財産のうち有価証券の金額(4兆3676億円)を、相続税額のある申告の被相続人数(16万6730人)で割ったものです。

1. 相続した株の相続税は、どの日の株価で決まる?亡くなった日の終値と3か月の月平均、4つのうち最も低い価格

国税庁「No.4632 上場株式の評価」によると、相続した株(上場株式)の相続税の評価は、亡くなった日に取引所が公表する終値によるのが原則です。ただし、亡くなった月・前月・前々月の3つの月平均のうち最も低いものが終値より低いときは、その最も低い価格で評価します。つまり、次の4つのうち最も低い価格が評価額になります。

  • 【1】亡くなった日の終値
  • 【2】亡くなった月の、毎日の終値の月平均
  • 【3】亡くなった月の前月の、毎日の終値の月平均
  • 【4】亡くなった月の前々月の、毎日の終値の月平均

4つの価格は、どれも亡くなった日までの株価から決まります。亡くなったあとの株価は入りません。なお、亡くなった日に終値がない場合や権利落ちなどがある場合は、一定の修正をします。

相続税の申告では、有価証券は相続財産の2割近く(約17.8%)を占めています。国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」による相続財産の金額(相続税額のある申告)は次のとおりです。

  • 【現金・預貯金等】8兆5602億円(約34.9%)
  • 【土地】7兆4074億円(約30.2%)
  • 【有価証券】4兆3676億円(約17.8%)
  • 【相続財産の合計】24兆5415億円

※有価証券の金額には、上場株式のほかの有価証券も含まれます。

2. 相続した株が亡くなったあとに値上がりしたら、相続税は?半年で約31%上がっても、評価額は約2620万円のまま

相続した株が亡くなったあとに値上がりしても、相続税の評価額は変わりません。仮に、亡くなった日(2026年3月31日)の時価が約2620万円の上場株式が、日経平均株価と同じように動いたとして試算します。

  • 【亡くなった日の終値】5万1063.72円(3月31日)
  • 【亡くなった月の月平均】5万3964.90円(3月)
  • 【前月の月平均】5万6480.85円(2月)
  • 【前々月の月平均】5万3077.27円(1月)
  • 【相続税の評価額】約2620万円(4つのうち最も低いのは亡くなった日の終値)
  • 【半年後の時価】約3425万円(9月30日の終値6万6753.72円。亡くなった日から約31%の値上がり)

半年で約805万円値上がりしても、相続税の評価額は約2620万円のままです。値上がりした分は、相続税の計算には入りません。

※試算の前提:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」の日経平均株価の日々の終値(2026年1〜9月)をもとに、月平均は各月の営業日の終値を平均した値です。株式の時価は、亡くなった日を約2620万円として、日経平均株価と同じ割合で動くものとしました。個別の銘柄の値動きは日経平均株価と異なります。