5. 成年後見人を監督する人の報酬は?家族が成年後見人になっても、監督人が付けば報酬がかかる
家庭裁判所は、成年後見人を監督する成年後見監督人を選ぶことがあります。長野家庭裁判所の資料では、監督人の報酬のめやすは次のとおりです(横浜家庭裁判所や新潟家庭裁判所のめやすでは、管理する財産が5000万円以下の場合は月1万〜2万円)。
- 【管理する財産が5000万円以下】月5000円〜2万円程度(約12年で約72万〜288万円)
- 【管理する財産が5000万円超】月2万5000円〜3万円程度(約12年で約360万〜432万円)
判断能力があるうちに準備する方法としては、本人が元気なうちに後見人になる人を自分で決めておく任意後見や、家族に財産の管理を託す家族信託があります。家族信託には公的な統計がなく、費用は契約の内容で変わります。どの方法にも手間や費用がかかるため、目的に合わせて比べることになります。
6. 【検証】試算から見えること:認知症の親の財産と成年後見の報酬は、期間で大きく変わる
試算では、管理する財産が1000万円超5000万円以下の場合、成年後見人の報酬は約12年で約432万〜576万円でした。二人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄の中央値1777万円(世帯全体の額)と比べると、約24〜32%にあたります。
ただし、この割合は報酬が約12年続いた場合の数字です。後見が始まる年齢がもっと高ければ期間は短くなり、男性の80歳の平均余命(9.10年)で計算すると、総額は約24%少なくなります。
また、報酬は成年後見人などが申し立てたときに、裁判官が審判で決めるものです。親族が成年後見人になる場合でも、監督人が選ばれれば、監督人の報酬は本人の財産から支払われます。
改正法の施行後は、預金の解約や施設の契約など、必要な手続きのために補助人を付け、終われば利用をやめるという使い方ができるようになります。報酬が続く期間を決めるのは「判断能力が戻るまで」から「必要がなくなるまで」に変わります。
親の財産について考えるときは、管理する財産の額と、何の手続きのために使うのかを先に整理しておくと、成年後見を含めてどの方法が合うかを比べやすくなります。
7. まとめ
認知症で判断能力が下がると、家族でも親の財産を代わりに動かすことは原則としてできず、成年後見の申立ての9割超は預貯金の管理・解約が動機です。成年後見人に親族が選ばれるのは約16.4%で、8割超は司法書士・弁護士などの専門職です。
専門職の報酬は、管理する財産の額に応じて月1万〜6万円がめやすで、続く期間によって総額が大きく変わります。2026年6月に公布された改正法が施行されれば、必要がなくなったときに利用を終えられるようになります。
※本記事は、裁判所・法務省などの公表資料をもとに、成年後見制度の概要を一般的に解説したものです。個別の事案について法的な判断や助言をするものではありません。試算は、家庭裁判所が示す報酬のめやすと平均余命をもとにした概算で、実際の報酬は家庭裁判所が事務の内容や財産の状況を考えて決めます。改正法の施行日や具体的な運用は今後定められます。成年後見の申立てや報酬、改正法の取扱いについては、家庭裁判所や弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。