3. 認知症の親の財産から払う成年後見人の報酬はいくら?管理する財産の額で月1万〜6万円がめやす。約12年続くと約144万〜864万円
成年後見人の報酬は、家庭裁判所が審判で決め、本人の財産から支払われます(民法862条)。長野家庭裁判所「成年後見人等の報酬額について」は、これまでの傾向として次のめやすを示しています。
- 【通常の場合】月1万〜2万円程度
- 【管理する財産が1000万円超5000万円以下】月3万〜4万円程度
- 【管理する財産が5000万円超】月5万〜6万円程度
なお、報酬のめやすの示し方は家庭裁判所によって異なります。たとえば横浜家庭裁判所や新潟家庭裁判所のめやすでは、通常の場合の基本報酬を月2万円としています。
この報酬が、80歳から平均余命の約12年(144か月)続いた場合の総額を試算すると次のとおりです。
- 【管理する財産が1000万円以下】約144万〜288万円
- 【管理する財産が1000万円超5000万円以下】約432万〜576万円
- 【管理する財産が5000万円超】約720万〜864万円
二人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄の中央値(1777万円)と平均(2564万円)は、いずれも「1000万円超5000万円以下」の区分にあたります。ただし、これは夫婦などの世帯全体の貯蓄で、成年後見で管理する本人1人分の財産とは一致しません。あくまで目安としての比較です。
※試算の前提:報酬のめやすの下限と上限に144か月をかけた額。期間は厚生労働省「令和7年簡易生命表」の80歳女性の平均余命(11.95年)を約12年としたものです。管理する財産は、預貯金や有価証券などの合計額です。
報酬は、専門職などが成年後見人になり、報酬を求める申立てをした場合に、裁判官が後見の事務の内容などを考えて決めます。身上保護に特に困難な事情がある場合などは増額されることもあります。
例)80歳から約12年続いた場合 成年後見人の報酬のめやすと総額(管理する財産の額別)1/1
出所:長野家庭裁判所「成年後見人等の報酬額について」、厚生労働省「令和7年簡易生命表」、総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2025年」、最高裁判所「成年後見関係事件の概況-令和7年1月~12月-」をもとにLIMO編集部作成
4. 認知症の親の成年後見は途中でやめられる?いまは原則やめられないが、2026年6月公布の改正法で終えられる仕組みに
現在の制度では、後見と保佐は、本人の判断能力が回復しない限り利用をやめることができません。預金の解約など、申し立てたきっかけの手続きが終わっても、成年後見人の事務と報酬は続きます。
法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)」によると、2026年6月24日に公布された改正法では、後見と保佐を廃止して補助の制度に一元化し、本人に必要な範囲で使えるようにします。
- 【やめられる】判断能力が回復していなくても、利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば終了できる
- 【交代できる】本人の利益のため特に必要があるときに、補助人を解任できる
- 【施行】公布の日から2年6月を超えない範囲で政令で定める日
いま後見・保佐を利用している人は、基本的には現行の内容で利用を続けられます。新しい制度へ移ることや、後見・保佐開始の審判の取消しを申し立てて利用を終えることもできるとされています。