5. 新NISAで月10万円を積み立てる場合、16年目以降を課税口座で積み立てると税金はいくら?年4.62%なら20年後に全部売っても約14.6万円
課税口座で値上がりした分には、売るときに税金がかかります。国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」によると、上場株式等の譲渡益の税率は20%(所得税15%・住民税5%)で、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わり、合計20.315%です。
- 【年3%】課税口座の分は元本600万円が約646万円に。増えた約46万円にかかる税金は約9.3万円
- 【年4.62%】課税口座の分は元本600万円が約672万円に。増えた約72万円にかかる税金は約14.6万円
年4.62%の場合、NISAで積み立てた元本1800万円の分は20年後に約3220万円となり、増えた約1420万円は非課税です。課税口座の分は積み立てる期間が最後の5年と短いため、増えた分も小さく、20年全体で増えた約1492万円のうち課税される分は約5%です。
※試算の前提:20年後にまとめて売却した場合。課税口座の分も年4.62%(または年3%)で増えたと仮定し、配当などの途中の課税は含みません。
6. 【検証】試算から見えること:新NISAの想定利回りは「誰が、どの資産で、どの期間に」出した数字かで読む
今回使った2つの想定利回りは、性質が違います。年3%は、金融庁のつみたてシミュレーターの入力欄に最初から入っている値で、運用の実績ではありません。年4.62%は、年金積立金が2001年度から2025年度までの25年間に実際に上げた運用利回りの年平均です。
年4.62%は、株式と債券を組み合わせ、運用手数料などを引いたあとの数字です。新NISAで投資信託を積み立てる場合は、信託報酬などのコストがかかり、外国の資産に投資するなら為替の動きでも結果が変わります。同じ年4.62%を置いても、中身が同じ運用になるわけではありません。
また、同法人の資料では、同じ期間の賃金上昇率の平均は0.28%で、名目の運用利回りから差し引いた実質的な運用利回りは+4.33%とされています。年金積立金の運用目標は「賃金上昇率+1.9%」で、物価や賃金の動きと合わせて見る考え方がとられています。
年平均の数字は、毎年同じ率で増えたという意味ではありません。今回の試算はどれも「毎年同じ率で増え続けた」と仮定した計算で、実際の積み立てでは、途中で値下がりする年も含めて結果が決まります。
想定利回りを選ぶときは、その数字を誰が、どの資産で、いつからいつまでの期間で出したのかを確かめると、試算の結果を読みやすくなります。あわせて、月10万円のように積み立て額が大きい場合は、期間を20年と置くと生涯の非課税保有限度額に先に届く点も、計算に入れておく必要があります。
7. まとめ
新NISAで月3万円を20年積み立てると、金融庁のつみたてシミュレーターの初期値の年3%なら約981万円、年金積立金の運用実績の年4.62%なら約1168万円という試算でした。月5万円なら約1634万円と約1946万円で、差は約312万円です。
想定利回りの差は、期間が長いほど大きく開きます。月10万円の場合は15年で生涯の非課税保有限度額1800万円に届くため、20年続けるなら残りの5年分はNISAの外で積み立てることになります。想定利回りの出どころと非課税保有限度額の両方を確かめておくと、20年後の見通しを立てやすくなります。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算で、将来の運用成果を示すものではありません。特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。NISAの制度は変更される場合があるため、最新の内容は金融庁のNISA特設ウェブサイトなどでご確認ください。
参考資料
和田 直子