失業保険(雇用保険の基本手当)を受けている間にも、アルバイトやパートで働くことはできます。ただし、働き方によっては、基本手当が出ない日になったり、減額されたり、そもそも受給できなくなったりします。「どこまでなら大丈夫か」の線は、1本ではありません。

厚生労働省とハローワークの案内では、線は3本あります。1日4時間(4時間以上は「就職・就労」、4時間未満は「内職・手伝い」)、週20時間(継続的な仕事は「就職」扱い)、そして認定日の申告(収入がなくても、働いた日は申告)です。

2026年8月1日から、基本手当日額の上限が引き上げられました。30歳未満は7450円、30歳以上45歳未満は8270円、45歳以上60歳未満は9110円、60歳以上65歳未満は7830円です。減額を決める「控除額」も、毎年8月以降に見直される仕組みで、働いた収入との関係は、毎年少しずつ変わります。

この記事では、厚生労働省、ハローワーク、e-Gov法令検索(雇用保険法)の公表資料(2026年10月時点)をもとに、就職に当たる働き方と、減額の仕組みを整理します。就職に当たるかどうかは、各ハローワークが判断します。迷ったときは、管轄のハローワークに確認してください。

1. もらいながら働けるのか:就職に当たる働き方は、受給できない

厚生労働省のQ&Aは、「アルバイトをしているが、基本手当を受給できるか」という質問に、次のように答えています。受給資格が決まる時点で、「就職」している期間に当たる場合は、実際に仕事をしていない日も含めて、基本手当を受給できません。

就職に当たるのは、2つの場合です。1つは、雇用保険の被保険者となっている期間です。原則として、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある働き方が当たります。

もう1つは、契約期間が7日以上の雇用契約で、週の所定労働時間が20時間以上、かつ週の就労日が4日以上の場合です。この契約に基づいて、就労が続いている期間は、就職している期間とされます。

就職の状態でなければ、受給の手続きはできます。ただし、仕事をした日は基本手当の支給対象にならなかったり、収入によって減額されたりする場合があります。就職の状態かどうかは、各ハローワークが確認と判断をします。

1.1 【失業保険をもらいながらの働き方はどう扱われる?アルバイトなど受給中の働き方ごとの基本手当の扱いを早見表で確認】

前提条件:厚生労働省Q&A Q24と、ハローワーク新宿のQ&A Q4。パート・アルバイト・派遣・試用期間・研修期間などの名称を問わない1/2

前提条件:厚生労働省Q&A Q24と、ハローワーク新宿のQ&A Q4。パート・アルバイト・派遣・試用期間・研修期間などの名称を問わない

出所:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」、ハローワーク新宿「失業保険のQ&A」を基にLIMO編集部作成

1日の労働時間による区分

  • 1日の労働時間が4時間未満:扱いは「内職・手伝い」で、収入額により基本手当が減額される場合があります。
  • 1日の労働時間が4時間以上:扱いは「就職・就労」で、働いた日の分の基本手当は支給されず、繰り越しになります。

週の労働時間・契約期間による区分

  • 原則週20時間以上、31日以上の雇用見込み:扱いは「就職(雇用保険の被保険者)」で、基本手当は受給できません。
  • 契約7日以上、週20時間以上、週の就労日4日以上:扱いは「就職(契約に基づく期間)」で、基本手当は受給できません。

2. 4時間の線:1日4時間以上は「就職・就労」、4時間未満は「内職・手伝い」

ハローワーク新宿のQ&Aは、受給中にアルバイトをした場合の扱いを、1日の労働時間で分けています。原則として、1日の労働時間が4時間以上の場合は「就職・就労」、4時間未満の場合は「内職・手伝い」として扱います。

この区分は、パートやアルバイトという名前では決まりません。派遣就業、見習い・試用期間、研修期間、臨時雇用、日々雇用など、名称を問わず、認定日に申告が必要です。

「就職・就労」の日は、働いた日の基本手当は支給されず、繰り越しになります。支給されなくなるわけではなく、後ろにずれる扱いです。ただし、パートやアルバイトという名称でも、週20時間以上の継続的な仕事に就いた場合は、「就職」扱いになります。

「内職・手伝い」の日は、収入があった直後の認定日に、収入があった日、収入額、何日分の収入かを申告します。収入の額によって、働いた日数分の基本手当が減額されることがあります。減額の具体的な金額は、窓口で確認するよう案内されています。

3. 減額の仕組み:収入の1日分から控除額を引いて、基本手当日額と足したときの判定

4時間未満の収入で、基本手当がどう減るのかは、雇用保険法19条に書かれています。判定の基本は、「収入の1日分から控除額を引いた額」と「基本手当の日額」を足した合計額が、賃金日額の80%を超えるかどうかです。

収入の1日分は、収入の総額を、収入の基礎になった日数で割った額です。合計額が賃金日額の80%以下なら、減額はなく、基本手当の日額に日数をかけた額が支給されます。

合計額が賃金日額の80%を超える場合は、その超えた額を、基本手当の日額から引いた残りの額が、1日分として支給されます。超えた額が基本手当の日額以上になると、その日数分の基本手当は支給されません。

控除額は、条文では1282円とされています。ただし、年度の平均給与額の変動に応じて、翌年度の8月1日以後に変更される決まりです。そのため、現在の控除額は、条文の額とは違います。いまの額は、ハローワークの窓口で確認します。

この判定を、基本手当日額の計算式に当てはめて、「減額なしで稼げる余地」を試算しました。令和8年8月1日以降の計算式は、賃金日額が5480円以上1万3490円以下の場合、基本手当日額は、賃金日額の80%から、賃金日額に応じた調整額を引いた額で、1円未満は切り捨てです。

賃金日額の80%と、基本手当日額の差が、収入の1日分から控除額を引いた額の、減額なしの限度です。つまり、「この差に、控除額を足した額まで」は、収入があっても、基本手当は全額支給されます。この差は、賃金日額が高いほど大きくなります。

3.1 【バイトの収入はいくらまで減額されない?賃金日額の80%と基本手当日額の差から、収入を得られる余地を確認】

前提条件:令和8年8月1日以降の計算式(賃金日額5480円以上1万3490円以下)。月給の目安は賃金日額×30。控除額は含まない編集部試算2/2

前提条件:令和8年8月1日以降の計算式(賃金日額5480円以上1万3490円以下)。月給の目安は賃金日額×30。控除額は含まない編集部試算

出所:e-Gov法令検索「雇用保険法」19条、厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日~)」を基にLIMO編集部試算

賃金日額が6000円・8000円の場合

  • 賃金日額6000円(月給18万円の目安):基本手当日額は4683円、判定の上限額は4800円で、差は117円です。
  • 賃金日額8000円(月給24万円の目安):基本手当日額は5644円、判定の上限額は6400円で、差は756円です。

賃金日額が1万円の場合

  • 賃金日額1万円(月給30万円の目安):基本手当日額は6307円、判定の上限額は8000円で、差は1693円です。

この表は、控除額を含みません。実際に減額されない限度は、この「差」に、いまの控除額を足した額です。たとえば賃金日額8000円の人は、差の756円に控除額を足した額までが、収入の1日分として、基本手当が全額支給される目安です。額は、あくまで目安で、実際の判定はハローワークが行います。

4. 【編集者の視点】

表を見て、意外に思う方もいるかもしれません。働いても、減額されない余地は、賃金日額が低い人ほど小さいのです。月給18万円の目安の人は、差が117円しかありません。時給で考えても、4時間未満の仕事でも、収入が積み重なると、減額や不支給になる可能性があります。

「少しだけ働くつもり」が、基本手当の減額につながる場合があります。働く前に、収入の見込みと、自分の基本手当日額を、受給資格者証で見比べておくのが現実的です。減額の判定は、ハローワークが行うため、迷ったら窓口に確認してください。

基本手当は、再就職までの生活を支える制度です。働くことで収入が増えること自体は、望ましいことです。ただ、申告を誤ると、後述する不正受給になりえます。正しく申告して、制度を安心して使うことが、結果として、いちばん手堅い使い方になります。

5. まとめ

「失業保険をもらいながら、どこまで働けるか」は、1つの数字では決まりません。1日4時間、週20時間、そして認定日の申告という3本の線を、順番に確認します。

就職に当たるかどうか、減額の額、扶養への影響は、個別の状況で変わります。判断に迷う場合は、管轄のハローワークや、加入している健康保険の保険者に確認してください。

6. 認定日の申告:収入がなくても、働いた日は失業認定申告書に書く

受給中に働いた場合は、必ず、失業認定申告書に書いて申告します。厚生労働省のQ&Aは、仕事をした日は基本手当の支給対象にならなかったり、収入額により減額されたりする場合があるため、必ず記載して申告するよう求めています。

これは、自己都合で退職して、給付制限期間がある人も同じです。給付制限期間中にアルバイトやパートをした場合も、申告が必要です。初回認定日と、給付制限があけた最初の認定日に出す失業認定申告書に、収入の有無にかかわらず、働いた日などを正確に申告します。

給付制限期間中でも、雇用保険の被保険者となる条件(原則、週の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みあり)で働く場合は、就職の手続きが必要です。自己都合退職の給付制限や、基本手当日額の考え方は、【雇用保険の基本手当】離職前6か月の賃金の5〜8割が90日から360日分。自己都合の給付制限は2025年4月から1か月に短縮されたで扱っています。

7. 就職が決まったら:週20時間以上の仕事は就職扱い、再就職手当の対象になることも

週20時間以上の継続的な仕事は、就職扱いです。再就職先が決まったときは、就職日と次の認定日の前後関係で、申告の仕方が変わります。就職日が次の認定日より後なら、指定されている次の認定日に、ハローワークで就職が決まったことを申告します。

就職日が次の認定日より前の場合は、原則として、就職日の前日に来所して、就職の申告をします。給付制限期間中に採用される場合は、就職日の前日でなくてもかまいません。就職日の前日が土日祝日なら、その前の開庁日です。

申告のときは、就職先に採用証明書の記入を頼み、持参します。採用証明書は、あとから郵送などで出すこともできます。

早く再就職すると、再就職手当を受けられる可能性があります。厚生労働省のQ&Aによると、基本手当の所定給付日数の3分の1以上を残して、安定した職業に就き、要件をすべて満たした場合に支給されます。要件には、1年を超えて勤務することが確実であること、待期満了後の就職であること、離職前の事業主に再び雇用されたのではないことなどがあります。

再就職手当の計算に使う日額上限は、令和8年8月改定で変わりました。くわしくは、【令和8年8月改定】再就職手当の計算に使う日額上限は6745円に。支給残日数別に「もらえる額」を試算で扱っています。

8. 扶養:受給中は扶養に入れない場合がある、基準は保険者ごとに確認

配偶者などの扶養に入っている人も、受給要件を満たせば、基本手当を受け取れます。厚生労働省のQ&Aは、そう答えています。ただし、基本手当を受けていると、扶養家族になれない場合があるため、配偶者などが加入する健康保険組合や、勤務先の福利厚生の担当者に確認するよう案内しています。

扶養の認定は、健康保険の保険者が行います。昭和52年の通知では、被扶養者の認定の目安として、認定を受ける人の年間収入が130万円未満(60歳以上などは180万円未満)で、同じ世帯なら被保険者の年間収入の2分の1未満であることなどが示されています。この通知は、保険者による判定の差をなくす目的で出されたものです。

基本手当を、この基準に当てはめて考えるために、編集部で年130万円を、日額に直しました。130万円を360日で割ると、約3611円です。基本手当日額が、これを上回る場合は、扶養に入れなくなるかどうかを、保険者に確認する必要があります。

この日額の換算は、編集部の目安です。基本手当を年間収入にどう含めるか、日額で見るか、受給期間全体で見るかは、保険者ごとに異なる場合があります。扶養に入ったまま受給するつもりでも、手続きの前に、必ず、加入先に確認してください。

9. 税金の扱い:基本手当は非課税、アルバイトの給料は別に考える

基本手当は、全額が非課税です。厚生労働省のQ&Aは、雇用保険(基本手当)の給付は全て非課税のため、確定申告の必要はないと答えています。受給したことだけを理由に、確定申告をする必要はありません。

一方で、アルバイトでもらった給料は、基本手当とは別の収入です。源泉徴収や、年末調整、確定申告が必要かどうかは、勤務先や税務署で確認します。基本手当が非課税であることと、アルバイトの給料の税金の扱いは、切り離して考えます。

10. 求職活動の実績:認定日までに原則2回以上、実績になる活動とならない活動

基本手当を受けるには、認定日までに、一定回数の求職活動の実績が必要です。厚生労働省のQ&Aによると、原則として、前回の認定日から今回の認定日の前日までに、2回以上です。

3か月の給付制限がかかる人は、待期満了後から、給付制限経過後の最初の認定日の前日までに、3回以上です。給付制限が2か月の場合は、2回以上になります。それ以外の人は、待期満了後から最初の認定日の前日までに、1回以上です。

求職活動の実績になるのは、求人への応募、ハローワークなどが行う職業相談や職業紹介、許可・届出のある民間機関が行う職業相談や職業紹介、公的機関などが行う各種講習やセミナー、個別相談ができる企業説明会、再就職に資する各種国家試験や検定などの資格試験の受験などです。

単なる職業紹介機関への登録、知人への紹介の依頼、ハローワークや新聞、インターネットなどでの求人情報の閲覧だけでは、実績に当たりません。アルバイトをしたこと自体は、求職活動の実績にはなりません。

10.1 【求職活動の実績になる活動・ならない活動は?認定日に認められる内容を一覧で確認】

実績に該当する活動

  • 求人への応募:実績に該当します。応募した事実が分かるものを残します。
  • ハローワーク等の職業相談・職業紹介:実績に該当します。認定日の前日までに受けます。
  • 許可・届出のある民間機関の職業相談・職業紹介:実績に該当します。無許可の機関は対象外です。
  • 公的機関等の講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会:実績に該当します。受講が実績になります。
  • 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験:実績に該当します。受験が実績になります。

実績に該当しない活動

  • 職業紹介機関への登録だけ、知人への紹介の依頼、求人情報の閲覧だけ:実績に該当しません。相談や応募につながらないものです。

11. 不正受給:働いたことを申告しないと、3倍返しになりえる

働いたことを申告せずに基本手当を受けると、不正受給になります。厚生労働省のQ&Aは、以降の基本手当が止まり、不正に受けた額の3倍の額の納付を命じられる場合があると、説明しています。

ハローワークは、不正受給の典型例を挙げています。実際には行っていない求職活動を、実績として失業認定申告書に書くこと。パートタイマー、アルバイト、派遣、試用期間、研修期間、日雇などで働いたのに、その事実を書かないこと。

自営や請負で事業を始めたのに、その事実を書かないこと。内職や手伝いをした事実と、その収入を書かないこと。会社の役員になったのに、名義だけの場合も含めて書かないこと。これらが挙げられています。

不正があった場合、その日以降の基本手当は、支給されません。雇用保険法34条が定めています。さらに、同法10条の4により、不正に受けた分の返還を命じられ、あわせて、支給を受けた額の2倍以下の額の納付も命じられます。返還の1倍と、2倍以下の納付をあわせて、「3倍返し」と呼ばれています。

「少額だから申告しなくてよい」という決まりは、ありません。ハローワークは、公共職業安定所に出す書類には、事実をありのままに書くよう求めています。収入が少額でも、働いた日があれば、申告します。

※本記事は、編集部が厚生労働省の公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

12. 【編集者の視点】

受給中のアルバイトで、いちばん大事なのは、働く前に、自分の働き方がどの線に当たるのかを確認することです。1日4時間、週20時間、7日以上の契約、週4日以上。数字がたくさん出てきますが、1つでも当てはまると、扱いが変わります。

次に大事なのが、申告です。収入がなくても、働いた日は申告します。申告をしていれば、結果が繰り越しや減額であっても、制度の範囲内です。申告しなかった場合の負担のほうが、はるかに大きくなります。

扶養や税金の話は、保険者や勤務先、税務署で確認することが必要になります。インターネットで調べた一般論と、ご自身の状況は、違う場合があります。窓口に聞くことを、ためらわないでください。

13. よくある質問

13.1 Q. 失業保険をもらいながら、アルバイトはできますか?

A. できます。ただし、就職に当たる働き方(原則週20時間以上で31日以上の雇用見込みなど)の場合は、受給できません。1日4時間以上の日は基本手当が支給されず、4時間未満の日は収入により減額される場合があります。

13.2 Q. 1日何時間まで働いてもよいですか?

A. 原則として、1日の労働時間が4時間未満なら「内職・手伝い」、4時間以上なら「就職・就労」として扱われます。4時間未満でも、収入額によって基本手当が減額される場合があります。

13.3 Q. 収入がなくても、申告は必要ですか?

A. 必要です。パートやアルバイトなどで働いた日は、収入の有無にかかわらず、失業認定申告書に正確に書いて申告します。給付制限期間中も同じです。

13.4 Q. 働くと、基本手当はいくら減りますか?

A. 収入の1日分から控除額を引いた額と基本手当日額の合計が、賃金日額の80%を超えると、超えた分が減額されます。実際の額は、収入と控除額で変わるため、窓口で確認してください。

13.5 Q. 失業保険を受けていると、扶養に入れませんか?

A. 入れない場合があります。配偶者などの扶養家族でも、基本手当を受けられますが、扶養の認定は保険者が行います。年間収入の目安は、130万円未満(60歳以上などは180万円未満)です。加入先に確認してください。

13.6 Q. 失業保険は、税金の申告が必要ですか?

A. 必要ありません。雇用保険の基本手当の給付は、全て非課税です。アルバイトの給料は別の収入のため、税の扱いは、勤務先や税務署で確認します。

13.7 Q. 求職活動は、何回必要ですか?

A. 原則として、前回の認定日から今回の認定日の前日までに、2回以上です。3か月の給付制限がかかる人などは、回数が変わります。求人情報の閲覧だけでは、実績になりません。

13.8 Q. 働いたことを申告しなかったら、どうなりますか?

A. 不正受給になります。以降の基本手当は止まり、不正に受けた額の返還と、その2倍以下の額の納付を命じられる場合があります。いわゆる「3倍返し」です。収入が少額でも、働いた日は申告します。

参考資料

齊藤 慧