3. AI副業の税金で見落としやすい注意点は4つあります
AI副業ならではの論点も含めて、見落としやすい点を4つにまとめました。
3.1 1つ目:所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要
所得税では、給与以外の所得が20万円以下なら確定申告が不要とされる場合があります。
一方、市区町村の案内では、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要とされている場合があります。たとえば鹿児島市は、個人住民税は所得税と異なり、所得の多少にかかわらず申告が必要と案内しています。「20万円以下だから何もしなくてよい」とは限らない点に注意が必要です。申告の方法や期限は、お住まいの市区町村の住民税担当窓口で確認してください。
3.2 2つ目:20万円以下でも、医療費控除などで確定申告するなら副業の所得も含める
国税庁は、医療費控除を受けるための還付申告などをする場合は、20万円以下の所得もあわせて申告する必要があると説明しています。
20万円の基準は、あくまで「確定申告をしなくてよいか」を判断するためのものです。申告をする以上は、所得をすべて記載するのが原則です。また、報酬から所得税が源泉徴収されている場合は、確定申告で精算すると還付される場合もあります。
3.3 3つ目:海外のプラットフォームから外貨で受け取った収入は円に換算する
海外の販売サイトから米ドルなどの外貨で売上を受け取る人もいるでしょう。
所得税基本通達57の3-2では、外貨建取引の円換算は、原則として取引日の対顧客直物電信売相場と電信買相場の仲値(TTM)によるとされています。ただし、雑所得を生ずべき業務などでは、継続して使うことを条件に、売上を取引日の電信買相場(TTB)で換算することもできるとされています。入金時の為替レートや換算の方法を記録しておくと、申告の際に慌てずに済みます。具体的な換算方法は、税務署や税理士に確認しておくと確実です。
3.4 4つ目:インボイス登録をすると消費税の申告が必要になる
基準期間の課税売上高が1000万円以下の個人は、原則として消費税の納税義務が免除される免税事業者です。
ただし、取引先の求めなどでインボイス発行事業者に登録すると、課税事業者として消費税の申告が必要になります。国税庁によると、免税事業者から登録した場合の負担軽減措置である「2割特例」は、個人事業者の場合は令和8年分までが対象です。令和9年分・令和10年分は、納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」を適用できるとされています。登録するかどうかは、取引先の状況も踏まえて慎重に検討したいところです。
4. 税金以外にも確認したい3つのルール 規約・著作権・勤務先の副業規定
AI副業では、税金のほかにも事前に確認しておきたいルールがあります。
4.1 販売プラットフォームの利用規約
販売サイトによっては、AIで生成したコンテンツの出品に条件を設けている場合があります。
AI生成物であることの表示が求められるケースもあるため、出品前に各プラットフォームの利用規約やガイドラインを確認しておくと安心です。
4.2 生成物と著作権
文化審議会著作権分科会法制度小委員会は2024年3月15日、「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめました。
AIの開発・学習段階と、生成・利用段階を分けて考え方を整理した資料です。同資料では、既存の著作物との類似性と依拠性の両方が認められる場合に、著作権侵害となるとされています。個別の判断が必要な場合は、専門家に相談するのが確実でしょう。
4.3 勤務先の副業規定
会社員の場合、勤務先の就業規則で副業が制限されていたり、届出が必要とされていたりすることがあります。
副業を始める前に、勤務先の就業規則や人事担当部署の案内を確認しておきましょう。
5. まとめにかえて|AI副業を始めたら「所得」と「記録」をセットで管理
AI副業の確定申告が必要かどうかは、売上ではなく、経費を差し引いた所得で判断します。
会社員で給与を1か所から受けている場合は、給与以外の所得が20万円を超えるかどうかがひとつの目安です。
- 売上と経費を記録する:AIツールの利用料や販売手数料も、領収書や明細を残しておく
- 20万円以下でも住民税の申告を確認する:お住まいの市区町村の案内を確かめる
- 外貨収入やインボイス登録の有無を整理する:換算方法や消費税の扱いを早めに確認する
税制は毎年のように見直しがあり、申告する年分によって控除額や手続きが変わることもあります。
最新の取り扱いは国税庁や市区町村の案内で確認し、判断に迷うときは税務署や税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 株式会社lotsful「20~40代の副業実施率46.7%、前回比7.4pt増 副業月収30万円以上は約3年ぶり19%超、副業市場に“量から質”へ変化の兆し」(2026年9月29日)
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 確定申告を要しない場合の意義」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.1500 雑所得」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2070 青色申告制度」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」(令和4年10月7日)
- 国税庁「法第57条の3《外貨建取引の換算》関係」
- 国税庁「No.6501 納税義務の免除」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「2割特例 特設ページ」
- 国税庁「個人事業者の方へ インボイス制度に関するお知らせ(令和8年度税制改正特集)」(令和8年9月)
- 鹿児島市「【個人住民税(市民税・県民税)申告】給与所得以外に収入がある場合、申告は必要ですか。」
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)
池上 翠