株式会社lotsfulが2026年9月に公表した「副業に関する定点調査」では、20〜40代の会社員のうち、この半年に副業をした人は46.7%で、前回を7.4ポイント上回りました。
生成AIで作ったプロンプトや画像の販売も副業のひとつですが、国税庁の案内では、給与を1か所から受けている会社員は、給与以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要とされています。
ここでいう20万円は売上ではなく、経費を差し引いた「所得」の金額です。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別に求められる点は見落とされがちかもしれません。AI副業ならではの経費や外貨収入とあわせて、制度の仕組みを確認していきます。
1. そもそもAI副業の収入は何所得? 「雑所得」と「事業所得」の違い
国税庁のタックスアンサー「No.1500 雑所得」では、副業で得た原稿料や、シェアリングエコノミーを通じた副業の所得などが、雑所得の例として示されています。
このうち「業務に係るもの」とは、副業の収入のうち、利益を得る目的で継続して得ているものを指すとされています。プロンプトや生成画像を営利目的で継続して販売している場合、事業所得に当たらなければ「業務に係る雑所得」に区分されます。
国税庁は2022年10月7日に所得税基本通達を改正し、事業所得と業務に係る雑所得の区分について考え方を示しました。
事業所得と認められるかどうかは、その活動が社会通念上「事業」と称するに至る程度で行われているかで判定するとされています。また、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得に当たるとされています(収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)。どちらに当たるかは個別の事情で変わるため、迷うときは税務署や税理士に相談するのが確実です。
1.1 雑所得と事業所得では何が違う?
雑所得と事業所得の主な違いは次のとおりです。
- 雑所得の損失(赤字)は、給与所得など他の所得と損益通算できない
- 青色申告ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得のある人で、雑所得は青色申告特別控除などの特典の対象外
- 業務に係る雑所得は、前々年の収入金額が300万円を超えると現金預金取引等関係書類の保存が必要になる
雑所得の場合、AIツールの費用がかさんで赤字になっても、給与の税金と相殺することはできません。
2. 確定申告が必要なのはいくらから? 給与以外の所得「20万円超」が目安
会社員の副業で確定申告が必要になる主な目安1/2
出所:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」、鹿児島市「【個人住民税(市民税・県民税)申告】給与所得以外に収入がある場合、申告は必要ですか。」をもとにLIMO編集部作成
国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在法令等)では、確定申告が必要な人として次のような例が示されています。
- 1年間の給与収入が2000万円を超える
- 勤務先が1か所で給与がすべて源泉徴収されており、給与所得と退職所得以外の所得が合計で20万円を超える
- 勤務先が2か所以上で給与がすべて源泉徴収されており、年末調整を受けていない給与の収入と、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える(一定の場合は申告不要)
判定に使うのは「所得金額」で、売上から必要経費を差し引いた後の金額です。
なお、確定申告によって税金が戻ってくる人は、この一覧には含まれません。
2.1 月10万円売れたら申告は必要?
たとえば、プロンプト販売で月10万円、年間120万円の売上があったとします。
販売手数料が売上の2割で24万円、AIツールの月額利用料が月3000円で年3万6000円かかった場合を考えてみましょう。120万円から24万円と3万6000円を差し引いた92万4000円が所得となり、20万円を超えるため確定申告が必要です。(仕組みを示すための仮の金額です)
- 売上:年120万円(月10万円)
- 販売手数料:24万円(売上の2割)
- AIツール利用料:3万6000円(月3000円)
- 所得:92万4000円
反対に、年間の売上が30万円で経費が12万円なら、所得は18万円となります。
この場合、ほかに申告が必要な事情がなければ、所得税の確定申告は不要とされるケースに当たります。ただし、後述するとおり住民税の申告は別に必要です。
2.2 経費になるものは? AIツールのサブスク代や販売手数料
国税庁のタックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」では、雑所得の必要経費として、総収入金額を得るために直接要した費用や、業務上の費用が挙げられています。
AI副業で経費になり得るものの例は次のとおりです。
- 画像生成AI・文章生成AIなどの有料プランの利用料
- 販売プラットフォームの販売手数料・振込手数料
- 副業のために購入した書籍や講座の費用
- パソコンや通信費のうち、副業に使った部分
パソコンや通信費のように私用と兼ねる費用は「家事関連費」と呼ばれます。必要経費にできるのは、業務のために直接必要だったと明確に分けられる部分だけとされています。私用でも使うAIツールの有料プランも、副業で使った割合を説明できるようにしておくと安心です。