介護保険料の納付書を前に、支払いが厳しいと感じて不安になる人もいるでしょう。
厚生労働省の最新調査では、滞納による給付制限が償還払い化1836人、一時差止45人、減額等9784人でした。
出典は、2026年10月2日に公表された「令和7年度介護保険事務調査の集計結果について」です。調査対象は全国1573保険者で、令和7年4月1日現在(一部の項目を除く)の数字となっています。払えないときの救済策とあわせて確認していきましょう。
1. 介護保険料の対象は65歳以上の約3600万人 納め方は特別徴収と普通徴収
同調査では、65歳以上の第1号被保険者について、保険料の対象者数が示されています。
特別徴収の対象者は約3221万人、普通徴収の対象者は約377万人です。
特別徴収は、年金から保険料が差し引かれる方法です。納付書や口座振替で自分で納める方法が、普通徴収にあたります。
2. 給付制限を受けた人は何人? 償還払い化1836人・一時差止45人・減額等9784人
保険料の滞納が続くと、保険給付が制限される場合があります。
調査では、滞納者に対する保険給付の制限について、次の人数が示されました。
- 保険給付の償還払い化(支払い方法の変更):1836人
- 保険給付の支払の一時差止:45人
- 保険給付の減額等:9784人
最も人数が多いのは、減額等の9784人でした。償還払い化が1836人で続き、一時差止は45人となっています。
2.1 「償還払い化」とは? 費用の支払い方はどう変わる
償還払い化とは、介護サービスの費用をいったん全額支払い、あとから保険給付分が払い戻される仕組みを指します。
たとえば、サービス費用が10万円で自己負担が1割の場合、通常の窓口負担は1万円です。償還払いになると、いったん10万円を支払う形になります。保険給付分の9万円が払い戻され、差し引きの負担は1万円となる計算です。(仕組みを示すため、仮の金額を用いています)
ただし、滞納期間や給付割合といった具体的な内容は、法令や保険者の運用で確認が必要です。お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で確かめてください。
3. 払えないときは減免や軽減がある? 単独減免は430保険者・法人の軽減は1532保険者
- 低所得者への単独減免:430保険者(27.3%)
- うち3原則を全て遵守:354保険者
- 社会福祉法人による軽減措置:1532保険者(97.4%)
3.1 低所得者への単独減免は430保険者(27.3%)
保険料が払えないときの救済策の一つが、保険者による低所得者への単独減免です。
調査では、単独減免を実施している保険者は430保険者(27.3%)でした。このうち、いわゆる3原則を全て守っている保険者は354保険者です。
3原則とは、個別申請により判定する、全額免除は行わない、一般財源の繰入を行わない、という考え方を指します。
3.2 社会福祉法人による利用者負担の軽減は1532保険者(97.4%)
社会福祉法人による軽減措置を実施している保険者は、1532保険者(97.4%)でした。
ほとんどの保険者で実施されている状況です。
4. 介護保険料が払えなくなる前に押さえたい注意点は3つあります
滞納による給付制限について、見落としやすい点を3つにまとめました。
4.1 1つ目:制限の具体的な条件は集計結果に示されていない
調査で公表されたのは、制限を受けた人数です。
どのくらい滞納すると制限されるのか、給付割合がどう変わるのかは、集計結果に記載がありません。制限の具体的な内容は、市区町村の介護保険担当窓口で確認する必要があります。
4.2 2つ目:災害や収入の急減があると償還払い化等は行われない
集計結果の注記には、償還払い化等が行われないケースが示されています。
一つは、災害により著しい損害を受けた場合です。もう一つは、主たる生計維持者の死亡により収入が著しく減少した場合等とされています(介護保険法第66条等)。
滞納があっても、こうした事情があれば制限の対象外となる場合があります。当てはまりそうな事情があれば、早めに窓口へ伝えておきたいところです。
4.3 3つ目:単独減免はすべての保険者で実施されているわけではない
単独減免を実施している保険者は430保険者にとどまります。
調査対象の1573保険者から単純に差し引くと、実施していない保険者は1143保険者という計算です。お住まいの保険者に単独減免があるか、個別の確認が欠かせません。単独減免がなくても、社会福祉法人による軽減など別の仕組みが使える場合があります。
5. 境界層措置の対象は7822人 生活保護を必要としない状態にする仕組み
5.1 境界層措置とは? 対象者の内訳はどうなっている
境界層措置は、負担を軽くすれば生活保護を必要としない状態になる人に適用される仕組みです。
調査では、境界層措置の対象者数は7822人でした。適用の内訳は次のとおりです(複数回答)。
- 保険給付減額措置の解除:1141人
- 居住費(滞在費)の負担限度額の減額:6736人
- 食費の負担限度額の減額:3901人
- 高額介護サービス費の利用者負担上限額の引き下げ:1241人
- 保険料段階の引き下げ:355人
内訳は複数回答のため重複があり、合計は対象者数の7822人と一致しません。人数は足し合わせず、それぞれの措置の人数として見る必要があります。
6. まとめにかえて|「払えない」を放置しないための確認点
令和7年度の調査では、滞納による給付制限が償還払い化1836人、一時差止45人、減額等9784人でした。一方で、払えないときの減免や軽減の仕組みも用意されています。
- 自分の納め方(特別徴収か普通徴収か)と納期限を確認する:納め忘れを防ぐ基本です。
- 支払いが難しくなったら、早めに市区町村の窓口へ相談する:状況を伝える機会になります。
- 減免や軽減が使えるかを窓口で尋ねる:単独減免がない地域でも、ほかの仕組みが使える場合があります。
制度の内容や手続きは、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で最新の案内をご確認ください。
一人で抱え込まず、早めに相談することが、暮らしを立て直す手がかりになるかもしれません。