協会けんぽによると、傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること、仕事に就くことができないこと、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと、休業した期間について給与の支払いがないこと、の4つをすべて満たす場合に、支給されます(2026年10月時点)。

申請したのに、不支給の通知が届いたとき、何が足りなかったのかが分からず、不安になる方は少なくないと考えられます。もらえないケースを整理したうえで、不支給の通知を受けたあとに、まだできる手続きと、その期限を確認します。

この記事では、前半でこの疑問に、協会けんぽの公表資料と、健康保険法などの条文、編集部の試算で答えます。後半では、もらえない7つのケースと、不支給のあとの審査請求を整理します。個別の判断は、加入している健康保険の審査で決まります。

1. よくある疑問:傷病手当金を申請したが「不支給」の通知が届いた。もらえないケースに当たったのか、通知のあとに動ける期限はあるのか

「病院で診断書をもらい、会社を休んで、傷病手当金を申請しました。ところが、不支給という通知が届きました。何が足りなかったのか、はっきり書いていません。これで、もう受け取れないのでしょうか。通知を受け取ったあとに、できることはありますか」。

同じ迷いは、申請したあとに不支給の通知を受けた人に、当てはまりえます。答えは、次の3点です。

  • もらえないケースは、協会けんぽの4要件のどれかが欠けるときと、任意継続被保険者の期間中に発生した病気・ケガ、退職後の継続給付の条件を満たさないとき、通算1年6か月や請求期限の2年を過ぎたときです。協会けんぽが挙げる条件を、7つのケースに整理できます
  • 不支給などの保険給付に関する処分に不服があるときは、社会保険審査官に審査請求ができます。期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月です。審査官の決定にも不服なら、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に、社会保険審査会へ再審査請求ができます(健康保険法第189条、社会保険審査官及び社会保険審査会法)
  • 不支給の処分を令和8年10月16日に知った場合、審査請求の期限は令和9年1月16日です(編集部試算)。通知の日付と、知った日がいつかは、よく確認してください

2. 通知が届いたあとの3つの「もし」を、条文で確認

読者の方が気にしそうな「もし」を、健康保険法などの条文と、編集部の試算で確認します。いずれも、ご自身の期限を確定するものではありません。

  • もし、不支給の処分を令和8年10月16日に知ったら:審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月を経過するとできません。民法の期間の計算にならうと、令和9年1月16日が期限の目安です(編集部試算)。ただし、正当な事由で期間内にできなかったことを疎明したときは、この限りではありません
  • もし、審査請求をしたあと、2か月たっても決定がなかったら:審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、再審査請求ができます(健康保険法第189条第2項)
  • もし、裁判で争いたいと思ったら:不支給などの処分の取消しの訴えは、その処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経たあとでなければ、提起できません(健康保険法第192条)。取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から6か月を経過すると提起できません(行政事件訴訟法第14条第1項)。

ここからは、この答えの前提になる仕組みを順に確認します。もらえない7つのケースを整理し、不支給のあとの手続きと、日付の試算の順に見ていきます。

3. もらえないケースは7つ:4要件のどれが欠けるか、加入先、期間と期限で整理

協会けんぽのページによると、傷病手当金は、4つの要件を満たす場合にのみ、健康保険の給付の対象になります。この4要件に、加入している保険の種類、退職後の継続給付、期間と期限を加えると、もらえないケースは7つに整理できます。

民間の解説でも、同じような整理が多く見られます。この記事では、協会けんぽのページとFAQの原文、健康保険法の条文を確認できる範囲に絞って、7つのケースを並べます。

3.1 【傷病手当金がもらえない7つのケースと、確認した根拠】

前提条件:協会けんぽの「傷病手当金」のページと、「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」のFAQ、健康保険法第99条・第193条の記載を、編集部が表に整理したもの。判断は、加入している健康保険の審査で決まる1/2

前提条件:協会けんぽの「傷病手当金」のページと、「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」のFAQ、健康保険法第99条・第193条の記載を、編集部が表に整理したもの。判断は、加入している健康保険の審査で決まる

出所:協会けんぽ「傷病手当金」、協会けんぽ「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、e-Gov法令検索「健康保険法」を基にLIMO編集部作成

  • 1 任意継続被保険者の期間中に発生した病気・ケガ:支給の対象になりません(協会けんぽ、健康保険法第99条第1項)。
  • 2 業務上・通勤災害、病気と見なされないもの:業務外の事由による病気やケガではないため、対象外です(協会けんぽ)。
  • 3 仕事に就けない状態と認められない:療養担当者の意見等と仕事の内容を考慮した判断で、仕事に就けないと言えないときです(協会けんぽ)。
  • 4 連続する3日間の待期がない、4日以上休んでいない:連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことが要件です(協会けんぽ、健康保険法第99条第1項)。
  • 5 休業した期間に給与が全額支払われている:給与の支払いがないことが要件です。傷病手当金より少なければ、差額が支給されます(協会けんぽ)。
  • 6 退職後の継続給付の条件を満たさない:退職日までに継続して1年以上の被保険者期間がない、退職日に出勤した場合などです(協会けんぽ)。
  • 7 支給期間と請求期限を過ぎた:支給開始日から通算して1年6か月、請求は2年で時効です(協会けんぽ、健康保険法第99条第4項・第193条)。

表を見ると、7つのケースのうち、多くは、申請の前に自分で確認できるものです。一方で、3の「仕事に就けない状態」は、医師や保険者の判断が絡むため、自分だけでは決められません。次の章から、順に確認します。

4. ケース1と2:任意継続の期間中に発生した病気・ケガ、業務上・通勤災害は対象外

協会けんぽのページによると、任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。健康保険法第99条第1項も、傷病手当金の対象を「被保険者(任意継続被保険者を除く。)」としています。

退職後に、健康保険を任意継続にしたあとで病気になった場合は、傷病手当金がもらえない、ということです。退職後の継続給付は、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があるなどの別の条件があり、任意継続とは別の仕組みです(協会けんぽ)。

業務外の事由による病気やケガの療養が要件のため、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や、病気と見なされないもの(美容整形など)は、対象外です(協会けんぽ)。

仕事中のケガのときは「会社に「傷病手当金で休んで」と言われたが、仕事中のケガなら労災のほうが多い?30日休むと労災21万600円、傷病手当金16万2000円で、重ねては受け取れない。迷っている方へ解説 休業4日目から労災は給付基礎日額の80%、傷病手当金は3分の2。労災の認定を待つ間も申請でき、認定されると返納になる」で、整理しています。

なお、協会けんぽのページによると、健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは、支給対象です。自宅療養の期間も、支給対象です。

5. ケース3:「仕事に就けない状態」は、病名ではなく、療養担当者の意見と仕事の内容で判断される

協会けんぽのページによると、仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。FAQでは、労務不能とは、被保険者が今まで従事している業務ができない状態のことで、医師の意見と、被保険者の業務内容、その他の諸条件を考慮して判断する、と書かれています。

ここで、見落としやすい点があります。診断書に病名が書かれていれば、もらえる、という制度ではありません。同じ病名でも、デスクワークと力仕事では、仕事に就けるかどうかの判断が変わりうると考えられます。

うつ病や適応障害で休むときも、同じです。確認した協会けんぽの資料に、病名の種類で対象を分ける記載はありません。見ているのは、今まで従事している仕事ができるかどうかです。傷病手当金の4つの条件は、「【2026年10月】106万円の壁撤廃へ。社会保険の最大のメリット「傷病手当金」がもらえる4つの条件 1日あたりの支給額と「通算1年6か月」の期間」にまとまっています。

したがって、診断書を出したのに不支給になった場合は、診断書の病名ではなく、仕事の内容と、仕事に就けない状態の記載が十分だったかが、争点になる場合があります。どう書かれていたかは、診断書や申請書の控えを、あとから見直してみてください。

6. 【編集者の視点】

今回、確認していていちばん意外だったのは、「労務不能」の線引きが、病名ではなく、仕事の内容で決まる点です。「医師が労務不能と認めたかどうか」だけで決まると思われがちですが、協会けんぽの原文は、医師の意見に加えて、仕事の内容その他の諸条件を考慮する、と書いています。

そのため、不支給の通知を受けたときは、診断書の内容だけでなく、自分の仕事の内容が、申請書や診断書で十分に伝わっていたかも、見直す余地があります。ただし、不支給の理由は、通知に書かれた内容が基本です。通知の理由が読み取れないときは、加入先の窓口に確認してみてください。

この記事は、特定の申請の結果を予想するものではありません。個別の判断は、保険者がします。加入している協会けんぽの支部や、健康保険組合の窓口に、必ず確認してください。

「もらえないケース」と聞くと、自分が当てはまっていないかと、身構えてしまいます。ただ、7つのケースの多くは、申請の前に、条件と日付を確かめておけば、避けられるものです。今、病気やケガで休んでいる方は、ひとつずつ確認してみてください。迷ったときは、加入先の窓口に聞くことをおすすめします。

心の不調で休んでいると、診断書に書かれた病名の重さを、必要以上に気にしてしまうことがあります。制度が見ているのは、病名の種類よりも、今の仕事ができる状態かどうかです。自分の仕事の中身を、主治医に具体的に伝えておくことが、のちのち役に立つかもしれません。

退職の話が出ているとき、最後の出勤日をどうするかは、気持ちの面でも、迷いやすいところです。お世話になった職場に、あいさつをしたい気持ちも、自然なものです。ただ、退職日の出勤が、制度の面で影響することもあります。迷ったら、退職日を決める前に、加入先の窓口に聞いてみてください。

不支給の通知を受け取ると、「もう終わりだ」と、気持ちが沈んでしまう方も多いと思います。体調が悪いなかで、書類のことを考えるのは、本当に負担です。ただ、制度の上では、通知のあとにも、道が用意されています。期限の日付だけ、先に控えておいてください。一人で抱え込まず、窓口に聞いてみてください。

7. ケース4:連続する3日間の待期と、4日以上の休業が要る

協会けんぽによると、待期とは、業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間のことです。4日目以降の、仕事に就けなかった日に対して、傷病手当金が支給されます。健康保険法第99条第1項も、労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、支給すると定めています。

待期には、有給休暇や、土日・祝日などの公休日も含まれます。給与の支払いがあったかどうかは、関係がありません。就労時間中に、業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就けない状態になったときは、その日が、待期の初日として数えられます(協会けんぽ)。

つまり、休んだ日が連続して3日に満たない場合や、そのあとの4日目以降に、仕事に就けなかった日がない場合は、もらえません。2日だけ休んで復帰したような短い休みは、対象にならないことになります。

待期の数え方は、休んだ日の並びによっては迷いやすいところです。自分の休んだ日が、待期にどう数えられるかは、申請書を出す前に、加入先の窓口に確認しておくと安心です。

8. ケース5:休業した期間に給与が全額支払われていると、傷病手当金は支給されない

協会けんぽによると、給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。FAQでは、出勤していない日に対して支給した報酬等として、有給休暇の賃金や、通勤手当・扶養手当・住宅手当などの手当が挙げられています。

残業手当など、出勤した日に対して支給した報酬や、見舞金など、一時的に支給したものは、記入が不要とされています(協会けんぽ)。有給休暇を使うと、その日は傷病手当金の対象にならない場合があります。ただし、有給の日給が、傷病手当金の日額より少なければ、差額が支給されます。

たとえば、協会けんぽのページの支給額例では、1日あたりの支給額は3780円です。有給の日給が1万円なら、その日は、傷病手当金の額より多いため、支給されないことになります。有給と傷病手当金の調整の詳しい考え方は、協会けんぽ北海道支部の令和8年3月13日付の資料の計算例にあります。

9. ケース6:退職後の継続給付は、1年以上の被保険者期間と、退職日の出勤が条件

協会けんぽのページによると、資格喪失の日の前日(退職日等)までに被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けられます。ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合は、その後さらに仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

FAQには、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないため、資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金は支払えない、と書かれています。FAQの文言は「退職日に出勤したとき」で、出勤の程度による区別は書かれていません。短い時間の出勤でも扱いが変わるかは、事前に加入先へ確認してください。

退職後の継続給付は、「「傷病手当金」は退職後も受け取れる?資格喪失後の継続給付、押さえておきたい2つの条件」でも整理されています。退職を考えている方は、退職日と出勤の有無を、会社の担当者や加入先に、前もって確認してください。

10. ケース7:支給期間は通算1年6か月、請求できるのは日ごとに2年

健康保険法第99条第4項によると、傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷とこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6か月です。協会けんぽのページにも、同じ内容が書かれています。

請求の期限は、健康保険法第193条で、保険給付を受ける権利は、行使することができる時から2年を経過したときに、時効によって消滅する、と定められています。傷病手当金の請求の期限は、労務不能であった日ごとに、その翌日から2年と案内されています(協会けんぽ)。

長く休んでいて、申請をためらっているうちに、古い日の分から、2年の期限を過ぎてしまうことがあります。協会けんぽは、給与の支払い有無について事業主の証明が必要になるため、1か月単位で、給与の締切日ごとに申請することをすすめています。

1年6か月の数え方は、途中で出勤した期間の繰り越しなど、少し複雑です。詳しい数え方は、自社の記事のほか、協会けんぽの案内を確認してください。

11. 不支給のあとの手続き:審査請求は3か月以内、決定に不服なら再審査請求は2か月以内

健康保険法第189条によると、被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができます。

社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条によると、審査請求は、保険給付に関する処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときは、することができません。ただし、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りではありません。

再審査請求は、審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月を経過したときは、することができません(同法)。また、審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、審査請求人は、審査官が審査請求を棄却したものとみなして、再審査請求ができます(健康保険法第189条第2項)。

11.1 【不支給のあとの手続きと期限】

前提条件:健康保険法第189条・第192条と、社会保険審査官及び社会保険審査会法の期間の記載を、編集部が表に整理したもの。期間の起算日や、末日の扱いは、審査官や保険者に確認する2/2

前提条件:健康保険法第189条・第192条と、社会保険審査官及び社会保険審査会法の期間の記載を、編集部が表に整理したもの。期間の起算日や、末日の扱いは、審査官や保険者に確認する

出所:e-Gov法令検索「健康保険法」、e-Gov法令検索「社会保険審査官及び社会保険審査会法」を基にLIMO編集部作成

  • 審査請求:申立先は社会保険審査官です。処分があったことを知った日の翌日から3か月が期限です(正当な事由があれば例外)。
  • 決定がないとき:審査請求から2か月以内に決定がないときは、審査請求を棄却したものとみなして、再審査請求ができます(第189条第2項)。
  • 再審査請求:申立先は社会保険審査会です。審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月が期限です。
  • 訴え:処分の取消しの訴えは、社会保険審査官の決定を経たあとでなければ、提起できません(第192条)。取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から6か月を経過すると提起できません(行政事件訴訟法第14条第1項)。

表を見ると、不支給の処分を受けたあとの手続きには、審査官、審査会、訴えの順に、段階があることが分かります。最初の審査請求の期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月です。通知を受け取ったら、早めに動けるように、日付を控えておくと安心です。

12. 日付で試算:不支給の処分を令和8年10月16日に知ったら、審査請求の期限は令和9年1月16日

編集部が、日付を置いて試算しました。不支給の処分を、令和8年10月16日に知ったとします。知った日の翌日は、令和8年10月17日で、ここから数える3か月の期間は、応当日の令和9年1月17日の前日、令和9年1月16日に満了します。民法の期間の計算にならった試算で、期限の目安は令和9年1月16日です。

次に、審査請求をしたあと、審査官の決定書の謄本が、令和9年2月10日に送付されたとします。翌日の令和9年2月11日から数える2か月の期間は、応当日の令和9年4月11日の前日、令和9年4月10日に満了します。期限の目安は令和9年4月10日です。

令和9年1月16日と令和9年4月10日は、どちらも土曜日です。行政機関の休日に関する法律第2条は、国の行政庁への申請などの期限が行政機関の休日に当たるときは、その翌日を期限とみなすと定めています(別段の定めがある場合を除く)。この試算では、期限は令和9年1月18日(月)と令和9年4月12日(月)になる可能性があります。個別の扱いは、社会保険審査官に確認してください。

12.1 【不服申立ての期限の試算:通知を令和8年10月16日に知った場合】

  • 審査請求(3か月):令和8年10月17日から起算して、期限の目安は令和9年1月16日です。
  • 再審査請求(2か月):審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日の令和9年2月11日から起算して、期限の目安は令和9年4月10日です。

表を見ると、通知を知った日から、審査請求の期限までは、約3か月あります。ただし、この試算は、あくまで目安です。郵送した場合の扱いなどは、社会保険審査官及び社会保険審査会法に別の規定があります。末日の扱いも含めて審査官に確認し、期限の直前になって動くのは避けてください。

13. 審査請求は、請求期限の時効にも関わる:時効の完成猶予及び更新は、裁判上の請求とみなされる

健康保険法第189条第3項は、審査請求と再審査請求について、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす、と定めています。傷病手当金の請求には、日ごとに2年の時効があるため、古い日の分の期限が近づいている方には、関わりがありえる規定です。

ただし、どの日の分が、どのように時効の扱いになるかは、個別の事情で変わります。この記事では、条文の内容の紹介にとどめます。実際に審査請求をするかどうかや、時効への影響は、社会保険審査官や、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

14. 【編集者の視点】

今回、条文を読み比べて、いちばん意外だったのは、不支給のあとの手続きが、「審査請求ができる」とだけ知られがちな点です。実際には、審査請求の期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月で、決定に不服なら、さらに2か月以内の再審査請求があります。

通知を受け取った日と、処分を知った日は、同じとは限りません。期限の起算日がいつになるかは、通知の内容や、受け取った状況で変わりえます。日付の扱いに迷うときは、社会保険審査官や、加入している保険者の窓口に、早めに確認してください。

この記事は、特定の手続きを勧めるものではありません。審査請求をするかどうか、どのように書くかは、個別の事情で違います。必ず、加入している協会けんぽの支部や、健康保険組合の窓口、必要に応じて社会保険労務士などの専門家に相談してください。

病気やケガで休んでいる間は、収入のことも、手続きのことも、考えれば考えるほど不安が膨らむ時期です。制度の条件と期限を知っておくだけで、見通しが少し立ち、心が落ち着くことがあります。この記事が、窓口に相談するときのひとつの目安になれば幸いです。分からない点は、遠慮なく、窓口に聞いてみてください。

※本記事は、編集部が協会けんぽと、健康保険法などの公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

15. まとめ

傷病手当金がもらえないケースは、協会けんぽの4要件のどれかが欠けるとき、任意継続被保険者の期間中に発生した病気・ケガ、退職後の継続給付の条件を満たさないとき、通算1年6か月や請求期限の2年を過ぎたとき、の7つに整理できます。

仕事に就けない状態は、病名ではなく、療養担当者の意見等を基に、仕事の内容を考慮して判断されます。不支給の処分に不服があるときは、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、社会保険審査官へ審査請求ができます。

処分を令和8年10月16日に知った場合の期限の目安は、令和9年1月16日です(編集部試算)。個別の判断や期限は、加入している健康保険の窓口や、社会保険審査官に確認してください。

16. よくある質問

16.1 Q. 傷病手当金がもらえないのは、どんなケースですか?

4要件のどれかが欠けるとき、任意継続被保険者の期間中に発生した病気・ケガ、退職後の継続給付の条件を満たさないとき、支給期間や請求期限を過ぎたときです(協会けんぽ、健康保険法)。

16.2 Q. うつ病や適応障害は、もらえないケースですか?

確認した協会けんぽの資料に、病名の種類で対象を分ける記載はありません。仕事に就けない状態かどうかが、療養担当者の意見等と仕事の内容を基に判断されます(協会けんぽ)。

16.3 Q. 2日だけ休んだ場合は、もらえますか?

連続する3日間の待期のあと、4日目以降に仕事に就けなかった日が要ります。短い休みで、4日以上に満たない場合は、対象になりません(協会けんぽ)。

16.4 Q. 有給休暇を使った日は、もらえませんか?

給与が全額支払われている日は、支給されません。傷病手当金の額より少ない場合は、差額が支給されます(協会けんぽ)。なお、待期には、有給休暇の日も含まれます。

16.5 Q. 退職日に出勤すると、どうなりますか?

退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないため、退職日の翌日以降の傷病手当金は支払われません(協会けんぽのFAQ)。

16.6 Q. 不支給の通知を受けたら、どこに不服を申し立てますか?

社会保険審査官に、審査請求をします。期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月です(健康保険法第189条、社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条)。

16.7 Q. 審査官の決定にも不服な場合は、どうなりますか?

社会保険審査会に、再審査請求ができます。審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月が期限です(社会保険審査官及び社会保険審査会法)。

16.8 Q. 請求できる期限は、いつまでですか?

労務不能であった日ごとに、その翌日から2年です(協会けんぽ)。保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効になります(健康保険法第193条)。

参考資料

齊藤 慧