4. 10月開始【保険料調整制度】対象になるのはどんな人?

保険料調整制度の対象となる被保険者の2要件3/4

保険料調整制度の対象となる被保険者の2要件

出所:日本年金機構「保険料調整制度の対象となる被保険者」をもとにLIMO編集部作成

日本年金機構によると、次の2つにどちらも当てはまる被保険者が対象です。

第1に、短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入していること。第2に、標準報酬月額が12万6000円以下であること。短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満で、週の所定労働時間が20時間以上かつ学生ではない方を指します。

なお、最低賃金の減額特例の許可を受け、所定内賃金が月額8万8000円未満の方は、原則として社会保険の加入対象外ですが、本人の申出により加入できます。

この制度は事業所単位で適用が決まるため、対象の被保険者全員に適用されます。希望した一部の人だけが利用することはできません。

熊谷 良子

社会保険に入ると手取りが減るからと、働く時間を調整する方は少なくありません。

保険料調整制度は、そうした就業調整を減らすために設けられた仕組みです。

軽減されるのは本人が負担する保険料であり、将来の年金額が減るわけではない点は、押さえておきたい基本です。

ただし、この制度は勤務先が対象事業所に当たり、事業主が申出を行って初めて使えるものです。

制度が始まったからといって、すべてのパートの方の保険料がすぐに軽くなるわけではありません。軽減の幅も標準報酬月額によって大きく変わり、月に数百円にとどまる区分もあります。

期待だけが先行しないよう、まずは勤務先の状況とご自身の標準報酬月額を確かめるところから始めてみてください。

5. 見落としがちな4つの注意点

保険料調整制度を活用するうえで、あらかじめ押さえておきたい注意点が4つあります。

5.1 注意点1:勤務先が対象事業所とは限らない

対象となるのは、2026年10月1日から2035年9月30日までに任意特定適用事業所となった事業所や、2027年10月以降の適用拡大で新たに特定適用事業所となった事業所などです。

一方、2026年10月1日時点ですでに特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)となっている事業所は対象外です。

5.2 注意点2:利用するかどうかは事業主の申出次第

制度を使うには、事業主が申出期限内に日本年金機構へ保険料調整開始申出書を提出する必要があります。申出期限は、任意特定適用事業所や特定適用事業所となった日から2年を経過した日が属する月の前月までです。本人が個人で申請する仕組みではありません。

5.3 注意点3:「通算3年間」は事業所が申し出た月からカウント

軽減される期間は、事業所が制度の利用を申し出た月から通算3年間です。個人の入社時から数えるわけではないため、制度の途中で入社した方は、その分だけ軽減される期間が短くなります。

5.4 注意点4:対象外となる被保険者がいる

次に当てはまる方は対象外です。複数の事業所で健康保険・厚生年金保険に加入している方、産前産後休業や育児休業等の期間中で保険料が免除されている方、70歳以上で任意に厚生年金保険へ加入している方です。なお、70歳以上の被保険者は健康保険料のみが制度の対象となります。

軽減の幅は標準報酬月額によって大きく異なります。事業主の負担割合が最大の75%になるのは、標準報酬月額8万8000円以下の最低区分です。最高区分の12万6000円では本人負担割合が48%となり、厚生年金保険料の軽減額は制度利用1〜2年目で月461円、3年目は月231円にとどまります。軽減額の目安は、事前に確かめておきましょう。

6. 自分のパート先はいつから対象になる?

保険料調整制度の対象事業所が広がる時期4/4

保険料調整制度の対象事業所が広がる時期

出所:日本年金機構「保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限」をもとにLIMO編集部作成

2026年10月1日から2035年9月30日までに勤務先が任意特定適用事業所となった場合は、制度の対象になります。さらに、社会保険の適用拡大によって新たに特定適用事業所となる事業所も、段階的に対象に加わります。

日本年金機構が示す時期と事業所の規模(厚生年金保険の被保険者数)は次のとおりです。

  • 2027年10月から:被保険者数36人から50人の事業所
  • 2029年10月から:被保険者数21人から35人の事業所
  • 2032年10月から:被保険者数11人から20人の事業所
  • 2035年10月1日から:被保険者数10人以下の事業所

企業規模要件の撤廃により、2035年10月1日に短時間労働者が社会保険の加入対象となった事業所も制度を利用できます。勤務先の規模によって使える時期が異なるため、勤務先に任意特定適用事業所となる予定や制度の利用予定があるかを、直接尋ねてみるのも一つの方法です。

7. まとめにかえて|勤務先の対象と自分の標準報酬月額を確かめよう

2026年10月に始まった保険料調整制度を活用するために、手元でできる3つの準備を整理します。

  • 勤務先の適用状況を確認する:勤務先が対象事業所に当たるか、事業主が申出を行う予定があるかを問い合わせましょう。
  • ご自身の標準報酬月額を把握する:給与明細や社会保険の通知書で確認し、どの区分に当たるかを確かめておきます。
  • 公的窓口へ相談する:具体的な軽減額や不明な点は、年金事務所や加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)へ相談してください。

制度の条件を正しく把握することが、手取りと保障のバランスを考えて働くための第一歩になります。

熊谷 良子

今回の制度は、社会保険への加入と就業調整のどちらを選ぶかを考え直すきっかけになります。

軽減が受けられるのは通算3年間で、3年目には軽減の割合が半分になります。目先の手取りだけでなく、軽減期間が終わったあとの負担まで見据えて検討することが大切です。

軽減額は人によって異なるため、ご自身の標準報酬月額で試算してみてください。

社会保険に加入すると、要件を満たせば傷病手当金や出産手当金といった給付の対象にもなります。また、制度の利用は事業主の判断で途中でやめることができず、条件によっては自動停止となる場合もあるとされています。

細かな取り扱いは勤務先や年金事務所で確かめながら、ご自身に合った働き方を前向きに考えていきましょう。

参考資料