3. 【管理職の悩みは?】部下とのコミュニケーションに悩む管理職は40.9%

管理職に絞った調査もあります。株式会社シーベースの調査(2026年10月13日公表)では、部下を持つ管理職751人のうち、「部下とのコミュニケーションに困ったり、悩むことがある」に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人は、合わせて40.9%でした。マネジメントの経験が5年未満の人では50.0%、5年以上では約4割です。

年代別では、40代が48.0%、50代が37.5%、60代以上が34.2%でした。管理職になったばかりの時期は、自分で成果を上げる働き方から、部下を通してチームの成果を出す働き方へと切り替える時期でもあります。関わり方の正解が一つではないなかで、戸惑う人がいるのも自然なことでしょう。

同じ調査では、管理職が日頃行っている部下との対話も聞いています。最も多い「期待する役割・成果・行動をすり合わせる」は56.7%で、「部下の意見や違和感を聞き、自分自身の対応も見直す」は55.4%でした。悩みを抱えながらも、部下と期待をすり合わせたり、自分の対応を振り返ったりしている管理職が少なくないことがうかがえます。部下との関係は一方的に伝えるだけでは築きにくく、相手の受け止め方を確かめながら関わり方を整えていくことが大切だと考えられます。

ただし、対象は360度フィードバック(多面評価)を取り入れている企業で働く人で、日本の管理職全体を代表する調査ではありませんので、管理職の一つの姿として受け止めるとよいでしょう。

こうしてみると、管理職は年収の水準が高い一方で、部下との関わり方に悩みながら仕事をしている人も一定程度いると考えられます。年収の高さだけでなく、求められる役割や関わり方の変化もあわせて理解しておくことが大切です。

ここまでをまとめると、令和7年の調査で推定年収は部長級で1020万1000円、課長級で872万1100円でした。働く人の強い悩みの内容では、仕事の量や責任と並んで人との関わりを挙げる人が少なくなく、管理職に絞った民間の調査でも、部下とのコミュニケーションに悩むことがある人が一定程度いました。

管理職になるとプレイヤー時代とは求められるものが異なりますので、それらに対する自身の適性なども考えてみるとよいでしょう。

宮野 茉莉子
管理職の年収は、非役職と比べると高い水準にあります。けれども、その分、部下の育成やチームの成果に向き合う役割も大きくなります。今回の調査からは、役職が上がると求められる役割も変わることがうかがえます。自分で手を動かして成果を出すことに加えて、部下の力を引き出すことが仕事の中心になっていきます。その変化を前もって知っておくと、管理職という働き方を考える手がかりになります。管理職を目指すかどうかを考えるときは、年収の数字とあわせて、どのような役割を担うことになるのかも思い浮かべてみるとよいでしょう。部下との関わり方は、経験とともに身についていく面もあります。年収と役割の両方を知ったうえで、自分の適性に合った働き方を選びたいものです。

 

4. 【管理職として働くなら】年収と役割の両方を確かめ、部下との対話の形を決める

管理職を目指す場合、まずは自分の年収と役割を確かめましょう。給与明細と賞与明細から、月々の給与と年間の賞与を合わせた年収を出し、今回の推定年収と並べてみると、今の位置がつかみやすくなります。推定年収との違いが大きくても、勤め先の規模や業種、地域の違いによることがあります。あわせて、勤め先で管理職にどのような役割が期待されているのかも、評価の基準などで確かめておきたいところです。

次に、部下との対話について考えておきたいところ。今回の調査で多くの管理職が実践していたのは、期待する役割や成果をすり合わせることや、部下の意見を聞いて自分の対応を見直すことでした。対話の時間を決めておくなど、続けやすい形を考えておくとよいでしょう。部下によって、細かく相談したい人もいれば、任せてほしい人もいます。相手に合わせて関わり方を変えることも、対話の質を高める手がかりになります。悩んだら管理職の先輩にはじめに相談しておくとよいでしょう。

そして、これからのキャリアとお金の見通しを立てます。管理職の年収は高い一方で、役職を離れる時期や定年のあとには、収入が変わることもあります。人事院の「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」によると、事務・技術関係職種の従業員がいる企業(従業員100人以上)のうち、役職定年制がある企業は22.3%です。今の年収を前提にしすぎず、教育費や住宅ローン、老後の資金などの計画を、役職が変わる可能性も含めて考えておくことが、これからの家計を守る手がかりになります。

5. まとめにかえて

チームで成果を上げる分、プレイヤーの頃以上に、管理職になるとコミュニケーション能力が求められるもの。一方で、管理職は孤独になりやすいとも言われています。

管理職になりたての頃は以前から管理職であった先輩に相談したり、他部署のマネージャーに相談したりなど、なるべく相談できる人を増やしておくとよいでしょう。

何にしろ経験は必要ですから、すぐに諦めることなく、長い目で見て経験を積んでいくことも大切です。

6. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
管理職になると年収は上がりやすい一方で、部下の状況を見ながらチームをまとめる役割が加わります。今回の調査では、管理職としての経験が短い人のほうが、部下との関わりに悩む割合が高い結果でした。

部下との関係は、すぐに答えが出るものではありません。期待のすり合わせや、相手の意見を聞いて自分の対応を見直すといった、多くの管理職が実践している対話の形は、一つのヒントになりそうです。うまくいかないときは、自分のやり方を一度振り返り、部下の受け止め方を確かめてみることも、関わり方を見直すきっかけになるでしょう。管理職の年収には、こうした役割への期待も含まれていると考えると、数字の見え方も少し変わってくるかもしれません。

年収の高さだけで管理職を目指すかどうかを決めるのではなく、どのような役割を担い、どのように働きたいかもあわせて考えておくことが、この先のキャリアを選ぶ手がかりになるでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子