協会けんぽの案内(2026年10月時点)によると、傷病手当金の1日の額は、「支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額」を30で割って3分の2をかけて求めます。支給開始日が令和7年4月1日以降で入社1年未満の場合は、本人の平均と32万円のうち低い方で計算します。

病気で休むことになったとき、いちばん気になるのは「結局いくら入るのか」でしょう。給与明細にある額面でも、手取りでもなく、標準報酬月額で決まる点が、混同しやすいところです

この記事では、前半でこの疑問に、協会けんぽ、厚生労働省、国税庁の公表資料(2026年10月時点)と編集部の試算で答えます。後半では、計算の手順を順に確認します。健康保険組合や共済組合に加入している方は、加入先に確認してください。

1. 入社8か月で休職。傷病手当金の「3分の2」は、手取り?総支給?12か月働いていなくても出る?

「入社して8か月で、病気で休職することになりました。総支給は26万円、手取りは21万円です。傷病手当金は『3分の2』と聞きましたが、どちらの3分の2か分からず、家賃の支払いを考えて、毎晩電卓を叩いています。まだ12か月働いていないのに、出るのでしょうか」

この疑問は、一人の事情に見えますが、同じ仕組みは、傷病手当金を受ける人にも当てはまりえます。答えは、総支給でも手取りでもありません。次の3点です。

  • 計算に使うのは、標準報酬月額です。給与明細の総支給や手取りそのものではなく、ご自身の標準報酬月額は、会社の給与担当や保険者に確認します
  • 入社して12か月に満たない場合は、本人の平均と32万円のうち、低い方で計算します(支給開始日が令和7年4月1日以降の場合)
  • 標準報酬月額が26万円なら、日額は5780円、30日分は17万3400円です(編集部試算)

2. 傷病手当金はいくらもらえる?標準報酬月額や入社1年未満など4つの場合を試算で確認

読者の方が気にしそうな「もし」を、協会けんぽの案内と編集部の試算で確認します。いずれも、ご自身の額を予測するものではありません。

  • もし、標準報酬月額が26万円なら:日額は5780円、30日分は17万3400円です(編集部試算)
  • もし、標準報酬月額が20万円なら:日額は4447円、30日分は13万3410円です(編集部試算)
  • もし、入社して1年たっていないなら:本人の平均と32万円のうち、低い方で計算します(支給開始日が令和7年4月1日以降の場合)
  • もし、休んだ日に給与が一部出ていたら:傷病手当金の日額との差額が支給されます

ここからは、この答えの前提になる計算の手順を順に確認します。支給開始日、12か月の平均、30で割る処理、3分の2をかける処理、端数の順です。

3. 傷病手当金の日額は「直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2」:標準報酬月額の平均が17万円なら1日3780円

協会けんぽの「傷病手当金」のページは、支給額を、次の式で示しています。まず、支給開始日以前の12か月間の各標準報酬月額を平均します。その額を30で割り、10円未満を四捨五入します。さらに3分の2をかけ、1円未満を四捨五入すると、1日あたりの支給額になります。

協会けんぽが挙げている例は、支給開始日が令和8年2月15日の方です。標準報酬月額は、令和7年3月から8月までが16万円、9月から令和8年2月までが18万円です。平均は、(16万円×6+18万円×6)÷12で17万円です。

17万円を30で割ると約5670円で、3分の2をかけた1日あたりの支給額は3780円です。つまり、標準報酬月額の平均が17万円の方は、傷病手当金の1日の額が3780円になります。この額は、標準報酬月額の約3分の2にあたります。

なお、「支給開始日」とは、一番最初に傷病手当金が支給された日です。休み始めた日ではない点が、よく混同しやすいところです。次の見出しで、手順を表に分けて確認します。

齊藤 慧
病気やケガで働けなくなると、体の不安と一緒に、お金の不安も押し寄せてくるものだと思います。そんなとき、計算式が頭に入っているだけでも、気持ちが少し落ち着くことがあるかもしれません。まずは、ご自身の標準報酬月額を、会社の担当の方に聞いてみてください。

4. 計算は5つの手順:支給開始日、12か月の平均、30で割る、3分の2をかける、端数を処理する

手順を、順番に見ていきます。1つ目は、支給開始日を確認することです。2つ目は、支給開始日以前の12か月間の、各月の標準報酬月額を平均することです。3つ目は、その平均を30で割り、10円未満を四捨五入することです。

4つ目は、3つ目の額に3分の2をかけることです。5つ目は、1円未満を四捨五入することです。協会けんぽの例では、17万円→5670円→3780円と進みます。端数の処理が、30で割ったあとと、3分の2をかけたあとの2回ある点に注意が必要です。

この「2回の端数処理」を飛ばして、標準報酬月額に直接3分の2をかけると、数円から十数円の差が出ます。たとえば、標準報酬月額が20万円の場合、直接計算すると約4444円ですが、手順どおりに進めると4447円です。手順を、表にまとめました。

4.1 【傷病手当金の日額の計算(協会けんぽの例)】

前提条件:協会けんぽ「傷病手当金」のページにある例(支給開始日が令和8年2月15日、標準報酬月額が令和7年3月〜8月は16万円、9月〜令和8年2月は18万円)に基づく1/2

前提条件:協会けんぽ「傷病手当金」のページにある例(支給開始日が令和8年2月15日、標準報酬月額が令和7年3月〜8月は16万円、9月〜令和8年2月は18万円)に基づく

出所:協会けんぽ「傷病手当金」を基にLIMO編集部作成

  • 12か月の標準報酬月額の平均:(16万円×6+18万円×6)÷12で、17万円です。
  • 30で割る(10円未満は四捨五入):17万円÷30で、5670円です。
  • 3分の2をかける(1円未満は四捨五入):5670円×2/3で、3780円です。

この例は、標準報酬月額が途中で変わった場合の計算です。12か月ずっと同じ額なら、平均はその額のままになります。昇給や、算定の見直しがあった場合は、その月ごとの標準報酬月額を、12か月分平均する点が違います。

5. 「標準報酬月額」は毎月の給与そのものではない:ご自身の額は会社の担当部署か加入先で確認する

傷病手当金の計算に使うのは、毎月の給与明細の総支給額ではなく、「標準報酬月額」です。標準報酬月額は、健康保険の保険料や給付の計算に使う、区分された月額です。給与の額が、そのまま使われるわけではない点が、よく混同するところです。

ご自身の標準報酬月額は、会社の給与担当や、加入先の案内で確認できます。協会けんぽは、傷病手当金を申請するときに、勤務先が変わった場合などで添付書類が必要になる場合があるとも案内しています。具体的な書類は、協会けんぽのページで確認してください。

ここで大切なのは、休む直前の1か月の給与ではなく、支給開始日以前の12か月の標準報酬月額で決まる点です。たとえば、直近で残業が少なかった月があっても、日額はその月だけでは決まりません。12か月の平均で、ならされる仕組みです。

標準報酬月額の区分(等級)の一覧は、協会けんぽの保険料額表で確認できます。

6. 標準報酬月額別の早見表:20万円なら日額4447円、30日分で13万3410円(編集部試算)

標準報酬月額を、16万円、18万円、20万円、24万円、28万円、32万円として、日額と30日分を試算しました。標準報酬月額が12か月同じ場合を想定しています。日額は、協会けんぽの式にしたがい、30で割って10円未満を四捨五入したあと、3分の2をかけて1円未満を四捨五入した額です。

30日分は、日額に30をかけた額で、1か月に入る額の目安です。また、傷病手当金の支給期間は通算1年6か月ですので、30日×18か月=540日分を、上限の目安として並べました。ただし、実際に支給される日数は、休んだ日数と、給与が支払われた日の有無で決まります。

いずれの標準報酬月額でも、30日分は、標準報酬月額の約3分の2にあたります。たとえば、28万円の場合は、30日分が18万6600円で、標準報酬月額の約66.6%です。早見表を、次に示します。

6.1 【標準報酬月額別の傷病手当金(日額・30日分・540日分、編集部試算)】

前提条件:標準報酬月額が12か月同じ場合の編集部試算。日額は協会けんぽの式(30で割って10円未満を四捨五入→3分の2をかけて1円未満を四捨五入)による。540日分は30日×18か月の上限の目安で、実際の支給日数とは異なる。標準報酬月額は計算の例2/2

前提条件:標準報酬月額が12か月同じ場合の編集部試算。日額は協会けんぽの式(30で割って10円未満を四捨五入→3分の2をかけて1円未満を四捨五入)による。540日分は30日×18か月の上限の目安で、実際の支給日数とは異なる。標準報酬月額は計算の例

出所:協会けんぽ「傷病手当金」の計算式を基にLIMO編集部試算

  • 標準報酬月額16万円:日額3553円、30日分10万6590円、540日分の目安191万8620円です。
  • 標準報酬月額18万円:日額4000円、30日分12万円、540日分の目安216万円です。
  • 標準報酬月額20万円:日額4447円、30日分13万3410円、540日分の目安240万1380円です。
  • 標準報酬月額24万円:日額5333円、30日分15万9990円、540日分の目安287万9820円です。
  • 標準報酬月額28万円:日額6220円、30日分18万6600円、540日分の目安335万8800円です。
  • 標準報酬月額32万円:日額7113円、30日分21万3390円、540日分の目安384万1020円です。

この表の日額は、傷病手当金そのものの額です。実際に手元に入る時期は、申請の流れで決まります。計算の細かい考え方や、条件の確認は、傷病手当金がもらえない?支給条件と支給額の計算方法を解説でも紹介されています。

齊藤 慧
表の数字を見て、「思ったより少ない」と感じた方もいると思います。いつもの給料の約3分の2という水準は、家賃やローンなど、毎月の支払いが決まっている方にとっては、やりくりを考え直すきっかけになるかもしれません。早めに、毎月の支出を見直しておくと、心の余裕が違ってきます。

7. 入社1年未満なら、本人の平均と32万円の「低い方」で計算する:支給開始日が令和7年4月1日以降の場合

支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、計算に使う額が違います。協会けんぽによると、次のいずれか低い額を使って計算します。1つ目は、支給開始日の属する月以前の、継続した各月の標準報酬月額の平均額です。

2つ目は、標準報酬月額の平均額で、当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額です。この額は、支給開始日が令和7年3月31日以前の方は30万円、令和7年4月1日以降の方は32万円です。

たとえば、入社して半年の方で、標準報酬月額が36万円の場合を考えます。本人の平均は36万円ですが、32万円のほうが低いため、32万円で計算します。

反対に、本人の平均が20万円なら、20万円のほうが低いため、20万円で計算し、日額は4447円です。つまり、入社1年未満で標準報酬月額が高い方は、32万円が上限の役割を果たします。3つのケースを、表にまとめました。

7.1 【入社1年未満の場合に使う標準報酬月額と日額(編集部試算)】

  • 本人の平均が20万円:20万円(本人の平均のほうが低い)で計算し、日額は4447円です。
  • 本人の平均が32万円:32万円(同額)で計算し、日額は7113円です。
  • 本人の平均が36万円:32万円(32万円のほうが低い)で計算し、日額は7113円です。

なお、傷病手当金の申請期間の初日の属する月までの12か月間に、勤務先が変わった場合や、定年再雇用などで健康保険の記号番号が変わった場合、退職後に任意継続被保険者になった場合は、添付書類が必要です。ただし、全国健康保険協会に加入していた場合に限ります。

8. 待期の3日間は、連続して3日あって成立する:有給休暇や土日の公休日も数える

傷病手当金は、休み始めた日から連続した3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。協会けんぽによると、待期には、有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。

待期の考え方は、休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。協会けんぽは、連続して2日間会社を休んだあとに、3日目に仕事を行った場合には、「待期3日間」は成立しないと説明しています。この場合、改めて連続3日を数え直す形になると読み取れます。

また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて、仕事に就くことができない状態になった場合は、その日が待期の初日として数えられます。たとえば、勤務中に具合が悪くなって、そのまま早退した日も、待期の初日になりえます。

待期の3日間は、傷病手当金の対象外です。つまり、休み始めてから4日目が、最初に支給される日で、その日が「支給開始日」になる計算です。休んだ日数と、待期の数え方を、カレンダーに書き出して確認する方法があります。

9. 給与が出た日は「差額」だけ支給される:傷病手当金の日額より給与が少ないときの考え方

傷病手当金は、休業している期間の生活を保障する制度のため、給与が支払われている間は支給されません。ただし、協会けんぽは、給与の支払いがあっても傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されると説明しています。

たとえば、傷病手当金の日額が4447円の方に、出勤していない日に対して日額3000円の給与が支払われたとします。この場合の差額は、4447円−3000円で、1447円です。給与が日額4447円以上なら、その日の傷病手当金は支給されません。

出勤していない日に対して支給した報酬には、有給休暇の賃金、出勤の有無にかかわらず支給している手当(通勤手当・扶養手当・住宅手当など)、食事・住居などの現物支給が含まれます。残業手当など、出勤した日に対して支給した報酬や、見舞金など一時的に支給したものは、記入が不要とされています。

協会けんぽは、令和5年10月から導入された社会保険適用促進手当など、標準報酬月額の算定に考慮されない報酬は、傷病手当金の調整対象になる報酬に含まれないとも案内しています。給与の内訳は、会社の担当部署で確認してください。

齊藤 慧
会社に給与のことを相談するのは、少し気が引けると感じる方もいると思います。ただ、傷病手当金の申請には、給与の支払いについて事業主の証明が必要です。遠慮せずに、「いつからいつまで、給与がどう払われるのか」を、早めに確認しておいてください。

10. 【編集者の視点】

傷病手当金の計算は、式そのものは単純ですが、実際に迷うのは、標準報酬月額と、端数の処理と、給与との調整です。どれか1つが違うだけで、日額が数十円から数百円ずれます。

特に、「標準報酬月額」を、毎月の給与の額だと思って計算する方が多いのではないかと感じます。協会けんぽの式で出る額は、給与明細の総支給額から見積もった額とは、少し違う場合があります。必ず、標準報酬月額で確かめてください。

この記事の表は、あくまで計算の目安です。実際の額は、加入先が出した決定を、必ず確認してください。

11. 支給期間は「支給開始日から通算して1年6か月」:途中で就労した期間は、1年6か月に数えない

協会けんぽによると、傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。同一の傷病について、傷病手当金が支給された日を足し合わせて、1年6か月分に達するまでが対象です。

厚生労働省は、令和4年1月1日から、傷病手当金の支給期間が通算化されたと案内しています。支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給できます。

この改正は、令和3年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金が対象です。具体的には、令和2年7月2日以降に支給が始まった傷病手当金が該当します。

早見表の「540日分の目安」は、30日×18か月で出した上限の目安です。実際に支給される日数は、休んだ日と、給与が支払われた日、途中で出勤した期間によって変わります。540日分の額は、受け取れる額を保証するものではありません。

12. 所得税は非課税とされている:ただし国税庁のページは健康保険組合の例で、協会けんぽと住民税の扱いは確認できず

国税庁のタックスアンサーNo.1400は、病気療養中に健康保険組合から支給を受けた「傷病手当金」について、非課税所得であり、所得税は課されないと説明しています。根拠として、健康保険法の第52条、第62条、第99条が挙げられています。

ただし、このページの質問は、健康保険組合から支給を受けた場合を想定したものです。協会けんぽから受ける場合の扱いが書かれているわけではなく、本記事では確認できていません。また、住民税の扱いも、本記事では確認できていません。

税の扱いは、個別の事情で変わる場合があります。所得税や住民税の扱いは、税務署や、お住まいの市区町村の税務担当、加入先に確認してください。この記事では、税についての結論は出さず、確認できた範囲の紹介にとどめます。

13. 申請は1か月単位が目安:事業主と医師の記入が必要で、協会けんぽは受付から10営業日以内に支払うとしている

傷病手当金を申請するには、「健康保険傷病手当金支給申請書」を使います。協会けんぽによると、申請書は、被保険者、事業主、主治医が各項目を記入し、必要書類を添えて、加入している協会けんぽの支部に提出します。

会社を長期間休む場合の申請の目安について、協会けんぽは、給与の支払い有無について事業主の証明が必要になるため、1か月単位で、給与の締切日ごとに申請することを勧めています。

支払いの時期については、審査の結果、支払い可能であれば、受付から10営業日以内に支払うと案内されています。個人の振込状況や、申請の進み具合は、加入している協会けんぽの支部に問い合わせます。問い合わせのときは、資格情報のお知らせが手元にあると進みます。

申請書の書き方や、提出先の詳しい手順は、協会けんぽの案内のページで確認できます。本記事では、金額の計算を中心に扱いました。申請の手続きの細かな点は、お近くの協会けんぽの支部に確認してください。

14. 出産手当金や退職後の継続給付との関係:両方受けられるときは出産手当金が先で、退職後は要件が別にある

傷病手当金と出産手当金の両方を受けられる期間は、出産手当金のみが支給されます。ただし、出産手当金の額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、傷病手当金を請求すると、その差額が支給されます(協会けんぽ)。

退職後も、傷病手当金を受けられる場合があります。協会けんぽによると、資格を喪失した日の前日までに、継続して1年以上の被保険者期間があることと、資格喪失時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていることが必要です。

なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないため、退職日の翌日以降の傷病手当金は支払われません。退職後の傷病手当金の条件は、「傷病手当金」は退職後も受け取れる?資格喪失後の継続給付、押さえておきたい2つの条件でも紹介されています。

退職後に、別の公的な受給が始まる場合は、調整される場合があると、協会けんぽは案内しています。具体的な調整の仕方は、本記事では扱いません。該当しそうな方は、協会けんぽの支部に確認してください。

齊藤 慧
退職を考えながら休んでいると、「辞めたら手当はどうなるのか」と、先が見えず、不安になる方もいると思います。条件は細かく、退職日の過ごし方で結果が変わることもあります。迷ったら、早めに協会けんぽの窓口に、退職の予定を伝えて相談してみてください。※本記事は、編集部が協会けんぽ、厚生労働省、国税庁が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

15. 【編集者の視点】

傷病手当金は、「いくらもらえるか」に目が行きやすい制度ですが、実際に差がつくのは、手続きの早さと、給与との調整、待期の数え方だと感じます。どれも、事前に知っておくと、取りこぼしを防げます。

もう1つ、気になるのは、加入先が違うと、案内が違う点です。この記事は、協会けんぽの案内に基づいています。健康保険組合や共済組合には、独自の決まりがあるかもしれません。ご自身の加入先の案内を、必ず確かめてください。

体調が優れないときに、細かな手続きを調べるのは、負担が大きいと思います。ご家族や、会社の担当の方の力を借りながら、無理のない範囲で進めてください。

16. まとめ

傷病手当金の1日あたりの額は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で割って10円未満を四捨五入し、3分の2をかけて1円未満を四捨五入して求めます。標準報酬月額の平均が17万円なら、日額は3780円です。

編集部の試算では、標準報酬月額が20万円の場合、日額は4447円、30日分は13万3410円です。入社1年未満の場合は、本人の平均と32万円の低い方で計算します。給与が出た日は、傷病手当金の日額との差額が支給されます。

支給期間は通算1年6か月です。税の扱いや、加入先が健康保険組合・共済組合の場合の決まりは、本記事では確認できていません。個別の判断は、協会けんぽの支部や、会社の担当部署に確認してください。

17. よくある質問

17.1 Q. 傷病手当金の1日の額は、どう計算しますか?

支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で割り、10円未満を四捨五入して、3分の2をかけ、1円未満を四捨五入します(協会けんぽ)。

17.2 Q. 標準報酬月額が20万円なら、日額はいくらですか?

編集部の試算では4447円です。20万円÷30=6667円を10円未満四捨五入して6670円とし、3分の2をかけた額です。30日分は13万3410円です(協会けんぽの式による試算)。

17.3 Q. 入社して1年たっていない場合は、どう計算しますか?

本人の標準報酬月額の平均と、全被保険者の平均額(支給開始日が令和7年4月1日以降は32万円)の、低い方で計算します(協会けんぽ)。

17.4 Q. 待期の3日間は、有給休暇でも数えますか?

数えます。待期には、有給休暇、土日・祝日などの公休日も含まれ、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません(協会けんぽ)。

17.5 Q. 給与が一部出た日は、傷病手当金はどうなりますか?

給与が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。給与が日額以上なら、その日は支給されません(協会けんぽ)。

17.6 Q. 傷病手当金は、いつまで受けられますか?

同一の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6か月です。途中で就労して支給されない期間があれば、繰り越して支給されます(協会けんぽ、厚生労働省)。

17.7 Q. 傷病手当金に、所得税はかかりますか?

国税庁は、健康保険組合から支給を受けた傷病手当金を、非課税所得としています。協会けんぽの場合や住民税の扱いは、本記事では確認できていないため、税務署や市区町村に確認してください(国税庁)。

17.8 Q. 申請は、どのくらいの周期でしますか?

協会けんぽは、給与の支払い有無について事業主の証明が必要になるため、1か月単位で給与の締切日ごとに申請することを勧めています(協会けんぽ)。

17.9 Q. 申請してから、いつ支払われますか?

審査の結果、支払い可能であれば、受付から10営業日以内に支払うと案内されています。個別の状況は、加入している協会けんぽの支部に問い合わせてください(協会けんぽ)。

参考資料

齊藤 慧