国税庁は、令和7年12月に、令和6事務年度(令和6年7月から令和7年6月)の相続税と贈与税の調査等の状況を公表しました。相続税の実地調査は9512件で、追徴税額の合計は824億円です。贈与税の実地調査は2778件で、申告漏れ等の非違のうち、無申告が83.4%を占めました。

子どもの口座に、親がまとまったお金を入れておく。夫が、妻の口座にお金を移しておく。家族の間では、よくあることです。ところが、この入金が贈与税の対象になるのか、相続税で扱われるのかは、名義だけでは決まりません。

この記事では、前半でこの疑問に、民法と国税庁の公表資料(2026年10月時点)と編集部の試算で答えます。後半では、贈与が成立する条件と、名義預金と呼ばれるケースを確認します。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

1. 子どもが生まれたときから、毎月子名義の口座に積み立ててきた。いま申告していないけれど、問題になる?

「子どもが生まれてから、毎月3万円ずつ、子ども名義の口座に積み立ててきました。通帳と印鑑は、私が持っています。子どもには、まだ話していません。年110万円以下だから贈与税はかからないと思っていましたが、ネットで『名義預金』という言葉を見て、急に不安になりました。このまま、何もしなくて大丈夫なのでしょうか」。

この疑問は、一人の事情に見えますが、同じ仕組みは、子や配偶者の名義で貯めてきた人にも当てはまりえます。答えは、次の3点です。

  • 贈与は、あげる側の意思だけでは成立しません。もらう側が受諾して成立します(民法549条)。親が入金しただけで、子が知らない場合は、受諾があったのか、確認が必要です
  • 親が資金を出して、親が管理を続けている口座は、子の名義でも、親の財産と認められる場合があります。その場合は、親が亡くなったときに、相続税の申告に含める必要があります(国税庁)
  • 500万円を、18歳以上の子の口座に一度に入れて贈与が成立すると、贈与税は特例税率で48万5000円です。名義預金とされた場合は、贈与税ではなく、親の相続税の課税価格に500万円を含めます(編集部試算)

2. 子供名義の口座に入金すると贈与税はかかる?贈与が成立する場合と名義預金の4つの場合を試算で確認

読者の方が気にしそうな「もし」を、民法と国税庁の資料、編集部の試算で確認します。いずれも、ご自身の入金が贈与になるかを確定するものではありません。

  • もし、子が入金を知らず、通帳と印鑑を親が持っているなら:贈与が成立したか、確認が必要です。親が管理を続けている口座は、名義預金として、相続税の対象になる場合があります
  • もし、年110万円以下の入金を続けたなら:その年の贈与税は0円で、申告も不要です。ただし、贈与として成立しているかは別の話です
  • もし、学費の名目で、まとまったお金を子の口座に入れ、預金のまま残っているなら:贈与税の対象になる可能性があります
  • もし、妻名義の口座に、夫が稼いだお金を貯めていたなら:資金の出どころと管理の実態によって、夫の財産と認められる場合があります

ここからは、この答えの前提になる制度を順に確認します。贈与が成立する条件、生活費と教育費の扱い、500万円の試算、名義預金の考え方、夫婦の口座、税務調査の状況の順です。

3. 口座に入金すれば贈与になる?贈与が成立する条件

民法549条は、贈与について、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる、と定めています。

つまり、贈与は、あげる側の意思だけでは成立しません。もらう側が「受け取ります」と受諾して、はじめて贈与になります。親が子の口座に入金しただけで、子が知らない場合は、この条文の「受諾」があったのか、確認が必要になります。

贈与が成立すると、贈与税の話になります。国税庁のNo.4402によると、暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から、基礎控除額110万円を引いた残りに、税率をかけて計算します。

申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間です。暦年課税で、その年の贈与の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も必要ありません。

ここで注意したいのは、贈与税がかかるかどうかと、贈与として成立しているかどうかは、別の話だという点です。贈与として成立していないと判断されれば、入金された財産は、入金した人のものとして扱われる場合があります。

4. 生活費や教育費の援助は?贈与税がかからない場合と、かかる場合

国税庁のNo.4405によると、夫婦、親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために取得した財産のうち、通常必要と認められるものには、贈与税がかかりません。

ただし、この取扱いには条件があります。国税庁は、生活費や教育費として必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られると説明しています。贈与を受けた財産を預金したり、株式や不動産の買入資金に充てたりした場合は、贈与税がかかることになります。

たとえば、親が、子の学費をその都度、学校に支払うのは、教育費に当たります。一方、親が、学費の名目で子の口座にまとまったお金を入れ、そのまま預金として残っている場合は、贈与税の対象になる可能性があります。

4.1 【生活費・教育費の援助:贈与税がかからない場合と、かかる場合】

前提条件:国税庁タックスアンサーNo.4405(令和8年4月1日現在法令等)の記載による整理。個別の判断は、税務署に確認する1/2

前提条件:国税庁タックスアンサーNo.4405(令和8年4月1日現在法令等)の記載による整理。個別の判断は、税務署に確認する

出所:国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」

  • 贈与税がかからない場合:扶養義務者から、生活費・教育費として、必要な都度直接充てるために取得した、通常必要と認められるものです。生活費は日常生活に必要な費用、教育費は学費・教材費・文具費などが対象です。
  • 贈与税がかかる場合:取得した財産を、預金したり、株式や不動産の買入資金に充てたりした場合です。通常必要と認められる範囲でも、直接充てていなければ課税の対象になります。
齊藤 慧
お子さんやご家族のために、少しずつお金を貯めておきたいという気持ちは、自然なものだと思います。ただ、善意の積み立てが、制度の上では別の扱いになることもあります。ご自身のケースがどちらに近いかは、税務署や税理士に確認しながら、落ち着いて整理してみてください。

5. 親から子の口座へ500万円:贈与税と名義預金の違いを編集部が試算

具体的な数字で、考え方の違いを見てみます。編集部の仮定として、贈与を受けた年の1月1日で18歳以上の子の口座に、親が一度に500万円を入金したとします。ほかに、その年の贈与はないものとします。

この入金が、贈与として成立した場合の贈与税は、国税庁のNo.4408の計算例で確認できます。500万円から基礎控除額110万円を引いた390万円に、特例税率の15%をかけて、控除額10万円を引くと、48万5000円です。

特例税率は、18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に使います。直系尊属以外からの贈与や、18歳未満の人への贈与は、一般税率の53万円(390万円に20%をかけて、控除額25万円を引いた額)になります。

一方、同じ500万円でも、年110万円以下ずつの入金であれば、その年の贈与税は0円です。ただし、国税庁は、贈与と認められない場合の名義預金について、別の説明をしています。

親が資金を出して、親が管理を続けている口座は、子の名義であっても、親の財産と認められる場合があります。その場合は、親が亡くなったときに、相続税の申告に含める必要があります。

5.1 【親から子の口座へ500万円を入金した場合(編集部試算)】

前提条件:贈与を受けた年の1月1日で18歳以上の子の口座に、親が一度に500万円を入金し、その年のほかの贈与はないと仮定した編集部試算。贈与税は国税庁No.4408の速算表と計算例による。名義預金は、国税庁の「誤りやすい事例⑥」の考え方による整理2/2

前提条件:贈与を受けた年の1月1日で18歳以上の子の口座に、親が一度に500万円を入金し、その年のほかの贈与はないと仮定した編集部試算。贈与税は国税庁No.4408の速算表と計算例による。名義預金は、国税庁の「誤りやすい事例⑥」の考え方による整理

出所:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」、同「誤りやすい事例⑥ 被相続人以外の名義の財産(預貯金)」を基にLIMO編集部試算

  • 贈与として成立(特例税率):(500万円−110万円)×15%−10万円で、贈与税は48万5000円です。
  • 贈与として成立(一般税率):(500万円−110万円)×20%−25万円で、贈与税は53万円です。
  • 名義預金とされた場合:親の財産として扱います。贈与税ではなく、親の相続税の課税価格に500万円を含めます。

この試算では、同じ500万円の入金でも、贈与税が48万5000円かかる場合と、贈与税はかからず相続税の計算に含まれる場合に分かれました。どちらになるかは、入金の事実だけでは決まらず、贈与の意思と受諾、その後の管理の実態などで判断されます。

なお、国税庁の資料には、贈与が成立したと認められるための要件を、一覧で示したものは、本記事で確認した範囲では見つかりませんでした。具体的な判断は、税務署や税理士に確認してください。

6. 名義預金とは:国税庁の「誤りやすい事例」にある考え方

名義預金という言葉は、法律の用語ではありません。一般には、預金の名義が家族でも、実際の所有者は別の人、という預金を指して使われます。

国税庁は、相続税の申告書の書き方を説明する「誤りやすい事例⑥」で、この考え方を取り上げています。事例では、父の自宅の金庫から、子名義の定期預金証書が見つかります。

その定期預金は、父の収入から預け入れたもので、父が管理・運用をしていました。子は、過去に贈与を受けた記憶もありません。国税庁は、名義にかかわらず、被相続人が取得等のための資金を拠出していたことなどから、被相続人の財産と認められるものは、相続税の課税対象になる、と説明しています。

対象は、預貯金だけではありません。国税庁は、被相続人の財産と認められる預貯金、株式、公社債、貸付信託や証券投資信託の受益証券等で、家族の名義や無記名のものも、相続税の申告に含める必要がある、としています。

ここでの「資金を拠出していたこと」は、判断の材料の一つとして示されています。ほかにどのような事情が重視されるかは、本記事で確認した資料では、一覧の形では示されていませんでした。

7. 【編集者の視点】

国税庁の事例を読むと、名義預金の話は、「贈与税がかかるか」ではなく、「亡くなった人の財産として申告すべきか」という問いに置き換わっていることが分かります。贈与税の話と相続税の話が、同じ口座でつながっているわけです。

家族名義の口座に入れたお金を、「贈与したつもり」と考えている場合でも、通帳や印鑑を親が持ち、子が自由に使えない状態であれば、受諾やその後の管理の実態について、確認が必要になります。

贈与は、贈る側とも、受ける側とも、気持ちを確かめ合う行為です。形だけを整えるのではなく、贈与の事実や、受け取った人が自由に使えることを、ご家族で確かめておくことが大切です。

8. 妻や夫の口座も同じ?夫婦の間のお金の考え方

夫婦の間でも、考え方は同じです。夫が稼いだお金を、妻名義の口座に貯めていた場合、その預金は、資金の出どころと管理の実態によって、夫の財産と認められる場合があります。

国税庁の「誤りやすい事例⑥」は、被相続人以外の名義として、家族の名義を例に挙げています。妻名義の口座も、この説明の「家族の名義」に含まれます。

一方、夫婦の間の生活費は、扶養義務者からの生活費に当たり、通常必要と認められるものは、贈与税がかかりません。ただし、前の章で見たとおり、生活費として渡したお金を、預金や株式、不動産の買入資金に充てた場合は、贈与税がかかります。

夫婦で話し合って、毎月の生活費の範囲を決め、それを超えて貯めた分を、誰の財産として扱うかを整理しておくと、あとの手続きが楽になります。判断に迷うときは、税務署や税理士に相談してください。

齊藤 慧
夫婦の財布は一つ、というご家庭も多いと思います。家計の中の、誰のお金かという問いは、普段は意識しないかもしれません。ただ、将来の相続のときに、あわてなくて済むように、折を見て、ご夫婦で一度、お金の整理をしてみてはいかがでしょうか。

9. 税務署は口座の動きをどう見ているか:令和6事務年度の調査の状況

国税庁は、令和7年12月に、令和6事務年度(令和6年7月から令和7年6月)の相続税の調査等の状況を公表しました。相続税の実地調査は9512件で、追徴税額の合計は824億円です。

申告漏れ相続財産の金額の構成比で、現金・預貯金等は29.1%でした。金額では、837億円です。口座に関わる財産は、申告漏れの中でも、大きな割合を占めています。

贈与税についても、国税庁は、相続税の補完税として、資料情報を集め、無申告事案を中心に調査を行っています。令和6事務年度の贈与税の実地調査は2778件で、追徴税額は123億円でした。

申告漏れ等の非違件数は2582件で、このうち、無申告が2154件(83.4%)、有申告が428件(16.6%)です。申告をしていなかった事案が、大半を占めています。

財産別の非違件数(延件数)では、現金・預貯金等が1754件で62.9%、有価証券が397件で14.2%、土地が77件で2.8%、家屋が27件で1.0%、その他が533件で19.1%です。贈与税の調査で見つかる非違は、現金・預貯金等が、最も多くなっています。

9.1 【贈与税の実地調査:財産別の非違件数(令和6事務年度・延件数)】

  • 現金・預貯金等:1754件で、割合は62.9%です。
  • 有価証券:397件で、割合は14.2%です。
  • 土地:77件で、割合は2.8%です。
  • 家屋:27件で、割合は1.0%です。
  • その他:533件で、割合は19.1%です。

国税庁は、相続税の調査の事例も公表しています。事例の一つは、相続開始前に、被相続人の口座の残高が、相続税の基礎控除以下になるように、相続人やその家族名義の口座へ預金を移した事例です。

この事例では、増差課税価格が約7億2千万円、追徴税額が約4億3千万円で、重加算税が課されました。調査では、相続人やその家族の取引金融機関や残高が書かれたノートが見つかったことが、手がかりになったと説明されています。

この事例は、基礎控除以下に見せかけるという、意図的な行為の事例です。善意で家族名義の口座にお金を入れていた場合とは、状況が違います。ただ、国税庁が、家族名義の口座への預金の移動を、調査で見ていることは、読み取れます。

10. 【編集者の視点】

調査の統計を読んでいて印象的なのは、贈与税の調査では、申告をしていなかった事案が約8割を占め、財産別では現金・預貯金等が6割強に上る点です。「申告が必要だと知らなかった」という声が、背景にあるのかもしれませんが、資料からは、理由までは読み取れません。

年110万円を超える入金があったのに、申告をしていなかった場合は、期限後でも、早めに税務署に相談することが大切です。自主的に申告した場合は、加算税の扱いが軽くなる場合があります。詳しくは、税務署に確認してください。

「ばれるか、ばれないか」ではなく、「贈与の実態があるか」「必要な申告をしているか」を基準に、ご家族のお金の動きを整理しておくと、安心につながります。

齊藤 慧
調査件数や追徴税額の数字を見ると、少し身構えてしまうかもしれません。ただ、家族のためにお金を動かすこと自体は、悪いことではありません。大切なのは、贈与の事実と、申告の要否を、きちんと確かめることだと思います。ご自身の場合は、必ず税務署や税理士に確認してください。※本記事は、編集部が国税庁や法務省が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

11. 引き出した現金も調査の対象に:国税庁の調査事例から

口座のお金は、名義の問題だけでなく、引き出した現金の行き先も、調査では確認されます。国税庁が公表した調査事例の一つは、相続開始前に、被相続人の口座から多額の現金が引き出されていた事例です。

調査では、被相続人の自宅で、引き出した現金の使い道を相続人に聞きました。相続人は、「寄付しており、残っていない」と答える一方で、寄付先は答えませんでした。そこで、相続人宅の現況調査をしたところ、自宅の金庫の中から、多額の現金が見つかりました。

相続人は、被相続人の生前に、一緒に現金を引き出して、自宅の金庫に保管していたこと、申告が必要だと認識しながら、税理士にも伝えず、申告から除外していたことを認めました。この事例の増差課税価格は約2億5千万円、追徴税額は約1億2千万円で、重加算税が課されました。

この事例も、意図的に隠した行為です。ただ、国税庁が、口座から引き出された現金の使途や、保管場所まで調べる場合があることが分かります。家族が預かっている現金がある場合は、申告の要否を、早めに確認しておくと安心です。

なお、これらの事例は、国税庁が調査の取組を紹介するために公表したものです。個別の贈与や相続が、同じように扱われるわけではありません。ご自身のケースは、税務署や税理士に確認してください。

12. 贈与の事実を残すには:確認しておきたいこと

贈与が成立しているかどうかは、最終的には、事実に基づいて判断されます。国税庁の資料には、贈与の証拠として何を残すべきかを、一覧で示したものは、本記事で確認した範囲では見つかりませんでした。

そのうえで、民法549条の条文から、確認しておきたいことを整理できます。1つ目は、あげる人に、財産を無償で与える意思があったかどうかです。2つ目は、もらう人が、その贈与を知り、受諾したかどうかです。

3つ目は、もらった財産を、もらった人が自由に使える状態になっているかです。通帳や印鑑を、あげた人が持ち続けている場合は、この点が問われる可能性があります。以上は、条文から読み取れる一般的な視点で、個別の判断を示すものではありません。

贈与の内容や日付、金額を、書面に残しておくという方法もよく紹介されています。ただ、書面があれば必ず贈与と認められる、という趣旨の説明は、国税庁の資料では確認できませんでした。書面の作り方は、税理士に相談してください。

13. 贈与税の申告と納税:期限に遅れたときの加算税の考え方

贈与税の申告が必要な場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、申告と納税をします。国税庁のNo.4402によると、納税は、金銭で一度に納めるのが原則です。

贈与税額が10万円を超え、金銭で納めることが難しい場合は、延納の制度があります。ただし、延納の条件や手続きは、個別の事情で変わるため、税務署に確認してください。

申告期限に遅れた場合の加算税の考え方も、押さえておきたいところです。国税庁のNo.2024(確定申告を忘れたとき)は、国税通則法に基づく無申告加算税の率を説明しています。贈与税の具体的な扱いは、税務署に確認してください。

No.2024によると、調査の事前通知前に自主的に期限後申告した場合は5%です。調査の事前通知後で、調査による決定を予知する前は10%(50万円超300万円以下の部分は15%、300万円超の部分は25%)です。

調査を受けた後や、決定があった場合は15%(同じく20%、30%)です。この率は、令和5年分以降、法定申告期限が令和6年1月1日以後のものに適用されると説明されています。

つまり、申告が必要だと気づいた時点で、調査を待たずに、自主的に期限後申告をするほうが、加算税の率が低くなる仕組みです。ただし、これは所得税の説明をもとにした一般的な枠組みで、贈与税に当てはめた金額は、税務署や税理士に確認してください。

名義預金や贈与の記録に関する基本は、「あなたの知らない贈与の世界」贈与の基本知識3選!ただあげるだけでは贈与不成立!どんなことが必要? 《名義預金》とは?相続税の追徴課税になることもでも整理されています。

贈与額が500万円の場合の、特例税率と一般税率の計算については、贈与額500万円の場合《特例・一般贈与》で贈与税を計算!知らないと怖い「名義預金」を回避する2つの対策 2027年「こどもNISA」で広がる次世代への投資でも紹介されています。本記事は、国税庁の令和6事務年度の調査状況と、夫婦間の考え方に重点を置いています。

14. まとめ

贈与は、財産を無償で与える意思の表示と、相手方の受諾で成立します(民法549条)。口座に入金しただけでは、贈与が成立したと言えない場合があります。

贈与として成立した場合、暦年課税では、1年間の贈与の合計が110万円を超えると、贈与税の申告が必要です。編集部の試算では、18歳以上の子の口座に500万円を一度に入れた場合、特例税率で贈与税は48万5000円です。

名義が子や妻でも、資金を拠出して管理していた人の財産と認められるものは、相続税の課税対象になります(国税庁)。令和6事務年度の贈与税の調査では、無申告が83.4%、現金・預貯金等の非違が62.9%でした。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

15. よくある質問

15.1 Q. 子ども名義の口座に入金すると、贈与税がかかりますか?

贈与として成立し、その年の贈与の合計が基礎控除額110万円を超える場合は、贈与税がかかります。贈与として成立していないと判断される場合は、贈与税ではなく、相続税の話になる場合があります。

15.2 Q. 年110万円以内なら、必ず非課税ですか?

暦年課税で、その年の贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も必要ありません(国税庁No.4402)。ただし、贈与として成立しているかどうかは、別に判断されます。

15.3 Q. 名義預金は、どのように扱われますか?

国税庁は、名義にかかわらず、被相続人が資金を拠出していたことなどから、被相続人の財産と認められるものは、相続税の課税対象になると説明しています。

15.4 Q. 妻名義の口座も、名義預金になりますか?

国税庁の説明では、被相続人以外の名義として、家族の名義も例に挙がっています。妻名義の口座も、資金の出どころや管理の実態によっては、夫の財産と認められる場合があります。

15.5 Q. 生活費として渡したお金は、贈与税がかかりますか?

扶養義務者から、生活費に充てるために取得した、通常必要と認められるものは、贈与税がかかりません。ただし、預金や、株式、不動産の買入資金に充てた場合は、かかります(国税庁No.4405)。

15.6 Q. 500万円を子の口座に入れたら、贈与税はいくらですか?

編集部の試算では、18歳以上の子が直系尊属から贈与を受けた場合は、特例税率で48万5000円です。直系尊属以外や、18歳未満の場合は、一般税率で53万円です(国税庁No.4408)。

15.7 Q. 贈与税の申告は、いつまでですか?

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間です(国税庁No.4402)。

15.8 Q. 税務署は、口座の入出金を調べますか?

国税庁は、相続税の調査の事例として、被相続人の口座から相続人の家族名義の口座へ、預金が移動していることを把握して、調査に着手した事例を公表しています。調査の具体的な手法は、個別の事案によります。

15.9 Q. 仕送りや夫婦間の生活費に、贈与税はかかりますか?

扶養義務者からの生活費・教育費で、通常必要と認められるものを、必要な都度直接充てる場合は、贈与税がかかりません。仕送りを預金などに回した場合は、かかります(国税庁No.4405)。

15.10 Q. 申告を忘れていた場合は、どうすればよいですか?

期限後でも、早めに税務署へ相談してください。加算税などの扱いは、個別の事情で変わります。

参考資料

齊藤 慧