同じ二人以上の世帯でも、家計を支える人の働き方によって、手元の貯蓄の額は変わります。
国税庁が2026年9月29日に公表した「令和7年分民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、正社員(正職員)が559万円、正社員(正職員)以外が210万円で、349万円の開きがありました。
一方、総務省統計局が2026年8月28日に公表した「令和6年全国家計構造調査」では、世帯主が正規の職員・従業員の二人以上の世帯の金融資産残高は1317.9万円、パート・アルバイトの世帯は1312.5万円と、ほぼ同じ水準です。
この記事では、二人以上の世帯の貯蓄の平均と中央値を確かめたうえで、世帯主が正規の職員・従業員、パート・アルバイト、自営業主などの世帯の金融資産と負債を見ていきます。
なお、貯蓄の平均と中央値に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 家計調査で見る二人以上の世帯の貯蓄、平均2059万円と中央値1264万円の差は795万円
はじめに、毎年公表される家計調査(貯蓄・負債編)で、二人以上の世帯の貯蓄の水準を確かめます。総務省統計局が2026年5月19日に公表した2025年平均の結果です。
1.1 二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2059万円で、7年連続の増加
二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2059万円で、前年から75万円増えました。預貯金や生命保険、有価証券などを合わせた額で、貯蓄が「0」の世帯も含めた平均値です。
1.2 平均を下回る世帯が66.1%、貯蓄保有世帯の中央値は1264万円
貯蓄の額が平均の2059万円を下回る世帯は66.1%で、約3分の2を占めます。貯蓄が「0」の世帯を除いて少ない順に並べたとき、真ん中にあたる貯蓄保有世帯の中央値は1264万円で、平均との差は795万円です。
貯蓄の多い一部の世帯が平均を引き上げるため、平均値は多くの世帯の実感より高く出やすくなります。平均と中央値の開きについて、LIMOの記事「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」では、70歳代のおひとりさまの例を次のように説明しています。
平均は1000万円を超えているものの、中央値はその3分の1程度にとどまります。平均値だけを見ると資産に余裕があるように感じられますが、実際には高額資産層が全体を押し上げている構図です。
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
2. 世帯主の従業上の地位別の金融資産残高、正規の職員・従業員の二人以上の世帯は1317.9万円
5年ごとに行われる全国家計構造調査では、世帯主の従業上の地位別に、二人以上の世帯の金融資産と負債が集計されています。令和6年調査の金融資産残高は2024年10月末日時点の値で、手持ちの現金やいわゆるタンス預金は含みません。
ここでいう世帯主は、名目上の世帯主ではなく、一緒に住んでいて家計上の主たる収入を得ている人です。二人以上の世帯全体の金融資産残高は平均1723.2万円、金融負債残高は671.5万円でした。調査の方法や時点が違うため、家計調査の2059万円とは一致しません。
世帯主の従業上の地位別に見た二人以上の世帯の金融資産残高と金融負債残高(2024年10月末)1/2
出所:総務省統計局「令和6年全国家計構造調査 家計資産・負債に関する結果」第4-5表をもとにLIMO編集部作成
主な区分の金額は次のとおりです。第4-5表には、このほかに勤労者のうち「その他」や、就業者・勤労者・非勤労者の合計の区分もあります。
【金融資産残高(貯蓄現在高)】
- 正規の職員・従業員:1317.9万円
- パート・アルバイト:1312.5万円
- 労働者派遣事業所の派遣社員:913.9万円
- 会社などの役員:3444.9万円
- 自営業主:1920.2万円
- 無職:2180.3万円
- 二人以上の世帯の平均:1723.2万円
【金融負債残高】
- 正規の職員・従業員:1070.4万円
- パート・アルバイト:196.6万円
- 労働者派遣事業所の派遣社員:216.5万円
- 会社などの役員:954万円
- 自営業主:747.1万円
- 無職:107.8万円
- 二人以上の世帯の平均:671.5万円
2.1 雇われて働く世帯主、正規の職員・従業員とパート・アルバイトはどちらも1300万円台
世帯主が正規の職員・従業員の世帯の金融資産残高は1317.9万円、パート・アルバイトの世帯は1312.5万円で、差は5.4万円でした。労働者派遣事業所の派遣社員の世帯は913.9万円です。
世帯主の平均年齢は、正規の職員・従業員の世帯が47.4歳、パート・アルバイトの世帯が61.7歳で、14.3歳の開きがあります。
2.2 会社などの役員の世帯は3444.9万円、自営業主の世帯は1920.2万円
世帯主が会社などの役員の世帯は3444.9万円で、二人以上の世帯の平均1723.2万円の約2倍でした。自営業主の世帯は1920.2万円です。
世帯主が無職の世帯は2180.3万円で、世帯主の平均年齢は75.3歳でした。
全国家計構造調査では、世帯主が正規の職員・従業員の二人以上の世帯の金融資産残高は1317.9万円で、パート・アルバイトの世帯の1312.5万円とほぼ同じでした。会社などの役員の世帯は3444.9万円と、二人以上の世帯の平均の約2倍です。
自分の家の金融資産は、通帳、証券会社の取引残高報告書、生命保険の契約内容のお知らせを並べると、調査と同じ範囲で合計できます。
ここからは、負債を差し引いた純金融資産と、金融資産に占める有価証券の割合を、世帯主の働き方別に見ていきます。
