私たちは、日常的に様々な資料や文章を作成しています。ところが、一生懸命に作成しても相手に伝わらないことがあります。今回は、伝わる資料、伝わる文章について解説します。
伝わる資料とはどのようなものか
組織人事コンサルタントの稲葉崇志さんは「A4一枚」での資料づくりを推奨しています。メリットとしては、多くの企業で「A4」サイズを定型としていることを挙げています。統一することで、作成者の負担を減らし、読み手の負担を減らす効果があるのです。稲葉さんの近著には『「A4一枚」から始める最速の資料作成術』があります。
(稲葉さん)「いま残業時間の削減が課題となっています。非効率な仕事をしている余裕はありません。読み手側にとっても時間に追われている状況は同じことです。ビジネスの現場では日々膨大な数の資料が作成され続けますが、忙しい上司に複雑な資料をじっくり読み込む余裕はありません」
「紙一枚」を提唱する企業は、有名なトヨタの例をはじめとして少なくありません。紙一枚資料はわかりやすく視認性のよいことから好まれることも間違いないでしょう。
以前、私が所属していたコンサルティングファームでは、「資料の正確さ」「フォーマットの完璧さ」が求められていました。フォントのサイズ、リード文の長さ、図式の位置、ロゴマークの位置が数ミリずれているかどうかでいつも大騒ぎになります。
プレゼンテーションは「プレゼント」と教えられました。企画書は相手にプレゼントをする資料という意味です。企画書は見た目がなによりも優先され手抜かりは許されません。若手社員は上司の指示のもと日夜遅くまで資料作成に励んでいました。
最近、資料作成の本が増えました。プレゼン資料はデザインに時間をかける傾向にあります。本来は、伝えるべき内容を精査することが必要ですが見映えに腐心してしまうのです。しかし、資料が何枚あってもエグゼクティブサマリーは一枚でまとめなくてはいけません。センスのない人は「A4一枚」でまとめることができません。