4. 年1.00%の固定5年を中途換金して10月募集分に替えると、利子の差はいくらか(計算例)

告示で額が最も多かった第171回債(固定5年・年1.00%)を額面100万円持っている場合を計算例に、中途換金して10月募集分の固定5年(年2.39%)に買い替えたときの差を見ていきます。税金は20.315%として計算します。

4.1 額面100万円・年1.00%なら、中途換金調整額は約7968円

年1.00%の固定5年を額面100万円持っていると、半年ごとの利子は税引前で5000円です。中途換金調整額は、直前2回分の利子(税引前)1万円に0.79685を掛けた約7968円になります。

0.79685は、利子から差し引かれる20.315%の税金を除いた割合です。つまり中途換金調整額は、直前2回分の利子の税引後の額にあたります。

4.2 10月募集分の固定5年なら、税引後の利子は年1万1076円多い

財務省の発行条件によると、税引後の利率は第171回債が0.79685%、10月募集分の固定5年が1.9044715%です。額面100万円の1年分の利子を税引後で比べると、約7968円と約1万9044円で、差は年1万1076円になります。

中途換金調整額の約7968円を、この利子の差で取り戻すには、単純計算で9か月弱かかります。なお、10月募集分の初回の利子は、発行日の11月16日から初回の利払日の2027年5月15日までの期間に応じた額になります。

5. 中途換金して買い替える前に確かめたい、個人向け国債の日程

計算上は利子の差で取り戻せる場合でも、お金が動く日程によっては、利子のつかない期間ができます。銀行でご相談を受けていた頃も、日付を書き出してみて初めて空白の期間に気づく方がいらっしゃいました。

5.1 中途換金の支払いはおおむね3営業日後、10月募集分の発行日は11月16日

財務省によると、中途換金の換金金額は、申し込んだ日を含めておおむね3営業日後に支払われます。一方、10月募集分の個人向け国債の発行日は11月16日です。

10月中に中途換金して10月募集分を申し込むと、換金した日から発行日までの間は、そのお金に国債の利子はつきません。経過利子相当額は中途換金のときに受け取れますが、空白の期間の長さは申し込む日で変わります。

5.2 買い替えた個人向け国債も、発行から1年は原則として中途換金できない

買い替えた10月募集分も、第2期利子支払日の前は原則として中途換金できません。10月募集分の利払日は毎年5月15日と11月15日なので、中途換金ができるようになるのは2027年11月15日以後です。

1年以内に使う予定のあるお金まで買い替えに回すと、必要なときに引き出せなくなります。買い替える金額は、当面使う予定のない分にとどめておくと安心です。

5.3 変動10年は半年ごとに利率が見直されるので、固定5年とは比べ方が違う

変動10年の利率は、基準金利に0.66を掛けて半年ごとに見直されます。以前に買った変動10年でも、次の利子計算期間からは見直し後の利率が適用されるため、固定5年のように買ったときの利率のまま続くわけではありません。

告示でも変動10年の買入消却額は1年前より少なく、固定5年とは動きが違いました。手元の個人向け国債がどのタイプかを、取引残高報告書などで先に確かめておくことが大切です。

6. まとめ

個人向け国債の10月募集分は、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%、変動10年が初回年2.05%で、募集は10月30日までです。

2026年10月2日付の財務省告示では、中途換金に係る個人向け国債の買入消却額が1821億3688万円で、1年前の告示の約2.2倍でした。固定5年は約4.7倍に増え、2025年7月と8月に発行された年1.00%・年0.96%の回号が目立ちました。

年1.00%の固定5年を額面100万円中途換金すると、中途換金調整額は約7968円です。10月募集分の固定5年との税引後の利子の差は年1万1076円で、取り戻すには単純計算で9か月弱かかります。発行日までの空白の期間や、買い替えた分が1年間換金できないことも含めて検討することが大切です。

参考資料

中本 智恵