株式のように潤沢な資金がないと「分散投資」がしにくい金融商品も存在しますが、投資信託なら複数の金融商品を「詰め合わせた」形で入手することが可能です。

たとえば、国内株であれば、「ソニーの株」「トヨタ自動車の株」「アサヒグループホールディングスの株」「日本電信電話の株」を1つのパックにして詰め合わせるようなイメージです。もし、1つの銘柄が値下がりしても、他の銘柄で利益を出していれば損失をカバーできる可能性があるというわけです。

また、国内株を詰め合わせた「Aファンド」と、海外債券を詰め合わせた「Bファンド」の2つを保有するというように、複数の投資信託を組み合わせて保有することもリスクの低減には効果的です。

長期の積立投資でリスク分散

リスク分散には、積立投資を利用することも検討しましょう。積立投資は、毎月決まった日に決まった金額で自動的に金融商品を買いつけていく方法です。国が推奨するiDeCo(個人型確定拠出年金)も積立投資です。

投資信託の値段は「基準価額(きじゅんかがく)」と呼ばれ、1日に1回公表されます。基準価額は上がったり下がったりしますが、積み立てる金額自体は変わらないため、積立金で購入できる投資信託の口数は毎月変わってきます。

基準価額が下がった月は多くの口数が買える一方で、上がった月は買える口数が少なくなるのです。積立を長く続けるほど買付単価が平準化され、利益が出やすくなると考えられています。

コストカットや損切りも重要

投資信託は短期間で利益が出るタイプの投資ではありません。黒字化の波に乗るまで気長にコツコツと続けていくのがポイントです。ところが、プロに運用を任せる投資信託では、信託報酬というコストが必ず発生します。そのため、「長期間にわたってかかってくるコストをいかに抑えるか」という視点が非常に重要になってきます。

また、最初にがんばり過ぎると長続きしないので、無理のない範囲で長く続けることも意識しましょう。すぐに使う予定のないお金を運用するのが投資の基本です。生活費や大切な老後資金を投資に回して失敗すると、生活が立ち行かなくなる恐れも出てきます。

冒頭で見たように、投資信託は必ずしも成功するとは限りません。利益が出る気配がない場合は解約することも検討しましょう。「もう少し待てば上がるかもしれない」と迷っているうちに損失が膨らんでしまうケースも決して少なくありません。

いつ解約(損切り)するかを決めるのはプロにとっても簡単なことではなく、どのくらいの損失なら許容できるのかも人それぞれです。あらかじめ許容できる損失のラインを決めておき、そのラインに到達したら機械的に損切りするのも1つの方法かもしれません。

失敗の原因を洗い出して次につなげよう

運用をプロに任せられるのは投資信託の良いところですが、完全に任せきりにするのはリスキーです。自ら積極的に関わって、学んでいくことが失敗のリスクを下げることにつながります。仮に投資信託で失敗してしまったとしたら、失敗の原因をしっかり洗い出しましょう。それが、将来の資産形成のためのヒントになるはずです。

LIMO編集部