4. 30万円を超える金のアクセサリーを売ったときの譲渡所得の計算

1個または1組の価額が30万円を超える金のアクセサリーを売ったときは、譲渡所得として総合課税の対象になります。計算の流れは、国税庁が金地金について案内しているものと同じ形です。

4.1 譲渡所得は「売った金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除50万円」

売った金額から、買ったときの代金などの取得費と、売るためにかかった譲渡費用を差し引きます。そこから特別控除の50万円を差し引いた額が譲渡所得の金額です。

所有期間が5年を超えると長期譲渡所得になり、計算した金額の2分の1が総合課税の対象になります。

4.2 取得費が分からなければ、売った金額の5%を取得費にできる

国税庁の所得税基本通達では、土地建物等以外の資産について、売った金額の5%を取得費として計算することを認めています。相続や贈与で受け継いだアクセサリーで購入時の代金が分からない場合も、この5%を使えます。また、相続や贈与で受け継いだものは、亡くなった人や贈与した人の取得時期をそのまま引き継ぐため、所有期間はその人が取得したときから数えます。

4.3 K18のネックレス30グラムを売っても、特別控除50万円の範囲なら課税される所得は出ない

K18のネックレス30グラムを10月13日のリサイクル価格で売ると46万4370円です。取得費が分からず5%の2万3218円を使うと、差し引きは44万1152円で、特別控除の50万円を下回ります。

同じ条件でK18のネックレスが50グラムなら、売った金額は77万3950円です。5%の取得費3万8697円と特別控除50万円を差し引くと23万5253円で、所有期間が5年を超えていれば2分の1の11万7626円が総合課税の対象になります。

  • 30グラム:46万4370円-2万3218円-50万円=0円(マイナスのため課税される所得なし)
  • 50グラム:77万3950円-3万8697円-50万円=23万5253円、長期なら2分の1で11万7626円

いずれも譲渡費用はないものとし、ほかに売ったものがない場合の計算例です。実際の税額は、給与や年金などほかの所得と合わせて決まります。なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくはお住まいの市区町村に確認しましょう。

5. 譲渡所得の特別控除50万円は、その年に売った金地金などと合わせて1回

国税庁は、譲渡所得の特別控除の額について、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円と案内しています。同じ年に金地金と30万円を超えるアクセサリーを売れば、50万円は両方の利益を合わせた額から1回だけ差し引きます。

5.1 30万円を超える貴金属で損が出ても、給与などとの損益通算はできない

1個または1組の価額が30万円を超える貴金属は、所得税では「生活に通常必要でない資産」にあたります。国税庁は、この資産の所得の計算で生じた損失は、ほかの所得の金額と損益通算できないと案内しています。

買ったときより安くしか売れなかったアクセサリーがあっても、その損失を給与所得などから差し引くことはできません。

6. 金のアクセサリーを売る前に、品位の刻印と1点ごとの買取明細を確かめる

金のアクセサリーを売る前に確かめておきたいことは2つあります。

6.1 品位の刻印と重さで、売却額の目安を先に計算する

金のアクセサリーには、留め具や内側に「K18」「K24」などの品位が刻印されていることが一般的です。品位と重さが分かれば、その日の公表価格をかけて売却額の目安を出せます。

目安を知っておくと、査定の金額が妥当か判断しやすくなります。30万円を超えそうな品物があるかどうかも、この段階で見当がつきます。

6.2 複数のアクセサリーを売るときは、1点ごとの金額が分かる明細を受け取る

いくつかのアクセサリーを同時に売る場合、買取の明細に1点ごとの重さと金額が書かれているかを確かめておくと安心です。30万円を超えるかどうかは1個または1組で判断するため、確定申告が必要かを考える材料になります。

購入時の明細書や保証書が残っていれば、取得費の計算にも使えます。判断に迷うときは、確定申告の前に税務署の相談窓口や税理士に確かめておくとよいでしょう。

7. まとめ

田中貴金属工業が2026年10月13日に公表した金の店頭買取価格は1グラム2万3130円で、同日17時発表のK18のリサイクル価格は1グラム1万5479円でした。金のネックレスや指輪は生活用動産にあたり、1個または1組の価額が30万円以下なら売っても所得税はかかりません。

30万円を超えると譲渡所得として総合課税の対象になりますが、特別控除50万円の範囲に収まれば課税される所得は出ません。売る前に、品位の刻印と重さから売却額の目安を計算しておきましょう。

参考資料

和田 直子