4. 訪問購入(出張買取)の相談は2025年度に7523件、不用品の買取を装って貴金属を求める事例も

店舗での買取とは別に、自宅に来る訪問購入の相談も毎年寄せられています。国民生活センターの訪問購入のページで、件数と事例を確認します。

4.1 訪問購入の相談件数は年度に7000件台から8000件台

PIO-NETに登録された訪問購入の相談件数は、2023年度が8623件、2024年度が7909件、2025年度が7523件でした。2026年度は5月31日時点で826件(前年同期823件)です。

この件数は、貴金属に限らない訪問購入全体の相談件数です。先に見た店舗での貴金属等の買取の相談とは集計の対象が違います。

4.2 「不用品を引き取る」「古本を買い取る」の電話から、貴金属を買い取られた事例

国民生活センターに寄せられた事例には、不用品を引き取るという電話を受けて来訪を承諾したところ、貴金属や宝石があるかをしつこく聞かれ、貴金属を強引に買い取られたというものがあります。

高齢の母が在宅中に、古本を買い取ると電話があり依頼したところ、玄関先に置いていた貴金属を安価で買い取られたという相談や、高齢の母の高額なアクセサリーを、書面もお金も受け取らないまま業者が持ち去ったようだという相談もありました。

店舗での買取と自宅に来る訪問購入では、守られるルールが違う2/2

自宅に来る訪問購入(出張買取)と店舗での買取について、当てはまる決まり、勧誘と査定の扱い、クーリング・オフの可否を比べた表

出所:消費者庁「特定商取引法ガイド 訪問購入」、国民生活センター「店舗でのアクセサリーまたは貴金属等の買取に関する消費者トラブルにご注意!」を参考にLIMO編集部作成

5. 金を売る前に、その日の公表価格で売却額の目安を計算しておく

店舗でも訪問購入でも、提示された金額が妥当かどうかを判断する材料は、自分で用意しておくことができます。金地金の公表価格を使った目安の出し方を見ていきます。

5.1 金地金なら「店頭買取価格×重さ」が目安、10グラムなら22万9540円

金地金を売るときの目安は、その日の店頭買取価格に重さを掛けた金額です。10月9日9時30分公表の店頭買取価格2万2954円で計算すると、10グラムの金地金は22万9540円になります。

実際の受取額は、別途かかる手数料などを差し引いた金額になります。手数料の有無や額は、売る先に確かめておきます。

5.2 アクセサリーは金の含有率で価格が変わり、地金の価格はそのまま当てはまらない

指輪やネックレスなどのアクセサリーは、金の含有率(品位)によって1グラムあたりの価格が変わります。店頭買取価格は純金の地金の価格なので、そのままアクセサリーの重さに掛けても査定額とは一致しません。

国民生活センターは、査定は買取業者が価格を提示するもので、買取契約とは別の行為だと説明しています。査定を受けたからといって、その場で買取に応じる義務はありません。

5.3 疑問があれば持ち帰り、ほかの店でも査定を受けて比べる

国民生活センターは、少しでも疑問がある場合はその場で決めずに持ち帰り、ほかの店舗でも査定を受けて比較検討するよう呼びかけています。

重さの量り方に疑問があるときは、自宅であらかじめ重さを量っておくと、提示された重さと見比べられます。

6. 高齢の家族がいる家庭は、貴金属の保管と買取の相談先を家族で共有しておく

訪問購入の事例には、高齢の家族が1人で対応して貴金属を手放してしまったものが目立ちます。家族で決めておきたいことをまとめます。

6.1 貴金属の有無と保管場所を、家族で把握しておく

どの貴金属をどこに保管しているかを家族が知らないと、手放したことに気づくのが遅れます。購入時の明細書や保証書があれば、一緒にしまっておくと、売るときの判断材料にもなります。

6.2 困ったときは消費者ホットライン「188」に相談する

訪問購入で契約してしまったときや、店舗での買取でトラブルになったときは、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、身近な消費生活センター等を案内してもらえます。

訪問購入のクーリング・オフは、契約書面を受け取った日から8日以内です。期間を過ぎないうちに相談できるよう、家族で番号を共有しておくと安心です。

7. まとめ

金の店頭買取価格は、10月9日9時30分公表で1グラム2万2954円でした。店舗での貴金属等の買取をめぐる相談は2025年度に937件と、5年前の約5.7倍に増えています。

自宅に来る訪問購入は、特定商取引法で飛び込み勧誘が禁止され、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフと品物の引渡しの拒絶ができます。一方、店舗での買取にはクーリング・オフがありません。

金を売るときは、その日の公表価格で売却額の目安を計算し、査定額に納得できなければ持ち帰って比べることができます。

参考資料

和田 直子