5. 奨学金の減額返還は、適用を始めたい月の前々月末までにスカラネット・パーソナルから願い出る
減額返還の願出は、原則としてJASSOの「スカラネット・パーソナル」から行います。インターネットで願い出られない場合は、願出用紙に証明書類を添えて猶予減額受付窓口へ郵送します。
5.1 減額返還の願出は、開始希望月の前々月末までに出す
減額返還を始めたい月、または継続したい月の前々月末までに願い出る必要があります。たとえば12月から適用したいなら、10月末までが目安です。希望月の4か月以上前に出すと返送されます。
当月の開始に間に合わなかった場合は翌月以降の開始として扱われ、その月はもとの返還月額で引き落とされます。継続するときも同じ期限で、いまの適用期間が終わった翌月以降を開始希望月にします。
5.2 経済困難を理由にするなら所得証明書などが必要、マイナンバーを出せば省略できる
経済困難を理由に書面で願い出る場合は、市区町村が発行する住民税非課税証明書、所得証明書、市・県民税(所得・課税)証明書のいずれか1つの原本を出します。市・県民税の証明書は、収入金額か所得金額が書かれているものに限られ、課税額だけのものは使えません。
マイナンバーを提出すれば、これらの証明書は省略できます。扶養している子どもの人数も、所得証明書かマイナンバーで確認されます。
5.3 減額返還の承認通知は、開始希望月の中旬ごろに届く
返還中の人の場合、書類に不備がなく、開始希望月の前月27日の引き落としが確認されたあと、開始希望月の中旬ごろに「奨学金減額返還承認通知」が届きます。通知には適用期間と減額後の返還額が書かれているので、届いたら確かめておきます。
6. 奨学金の減額返還を使えない人と、適用が取り消される場合
減額返還には、収入の目安とは別に、願い出るための条件があります。願い出る前に、自分が当てはまらないかを確かめておく必要があります。
6.1 延滞している人と口座振替(リレー口座)に入っていない人は願い出られない
願い出るときと審査のときに延滞していないことが条件です。延滞している場合は、先に延滞を解消してから願い出ます。また、口座振替(リレー口座)に加入し、口座振替で返還していることも条件です。
年賦や半年賦、月賦・半年賦併用で返還している人は、減額返還の適用にあたって月賦に変わり、減額の期間が終わったあとも月賦のままです。月賦・半年賦併用から変わる場合は月々の割賦金がおよそ2倍になるため、3分の2を選ぶと適用前より毎月の引き落とし額が多くなることがあります。
6.2 所得連動返還方式を選んだ第一種奨学金は、減額返還の対象外
2017年度以降に採用された第一種奨学金で「所得連動返還方式」を選んでいる人は、減額返還を願い出ることができません。所得連動返還方式は、前年の所得に応じて返還月額が決まる仕組みです。
6.3 減額中に2回続けて引き落とせないと、減額の適用が取り消される
減額返還の適用中に、2回続けて口座から引き落とせなかった場合は、延滞が始まった時点にさかのぼって減額の適用が取り消されます。その場合は、減額前の返還月額をもとに計算した延滞金を加えて返還することになります。
毎月の返還額を減らしたあとも、引き落とし日の27日の前に口座の残高を確かめておくことが欠かせません。
7. 奨学金の減額返還と返還期限猶予は、返還を「減らす」か「止める」かで使い分ける
JASSOには、減額返還のほかに、返還そのものを一定期間止める「返還期限猶予制度」があります。少額でも返還を続けられるなら減額返還、いまは返還が難しいなら返還期限猶予、という分け方です。
7.1 返還期限猶予は通算10年まで、第二種奨学金は猶予中に新たな利子が付かない
返還期限猶予の適用期間は通算10年が限度です。ただし、傷病、災害、生活保護受給中、産休・育休などの事由には制限年数がありません。第二種奨学金の場合、猶予されている期間には新たな利子は付きません。
減額返還の継続も難しくなった場合は、返還期限猶予に切り替えられないかを確かめる、という順番で考えておくと、延滞を避けやすくなります。
8. まとめ
奨学金の減額返還は、返還月額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1に減らし、その分返還期間を延ばす制度です。2024年4月から、給与所得者の収入の目安は400万円以下になり、扶養する子どもが2人なら500万円以下、3人以上なら600万円以下になりました。
承認件数は令和5年度の4万1829件から、令和7年度は5万6156件に増えています。返還予定総額は変わらず、延滞している人や所得連動返還方式を選んだ人は使えません。
返還が苦しくなってきたと感じたら、所得証明書の年間収入と扶養している人数を確かめ、適用を始めたい月の前々月末までにスカラネット・パーソナルから願い出てみてください。
参考資料
- 日本学生支援機構「月々の返還額を少なくする(減額返還制度)」
- 日本学生支援機構「減額返還制度の概要」
- 日本学生支援機構「減額返還制度の収入・所得金額の目安」
- 日本学生支援機構「令和6年4月より減額返還がさらに利用しやすくなりました」
- 日本学生支援機構「奨学金減額返還願等の提出」
- 日本学生支援機構「経済困難(減額返還制度の申請事由)」
- 日本学生支援機構「債券内容説明書」
- 日本学生支援機構「奨学金事業に関するデータ集(令和8年1月)」
和田 直子