5. 消防は市町村の責任、消防職員の3割は一部事務組合等に勤める
消防職員の勤め先が市町村や一部事務組合等に分かれているのは、消防が市町村の仕事と法律で決められているためです。
5.1 消防組織法は市町村に消防の責任と費用の負担を求めている
消防組織法第6条は「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する」と定めています。第8条では、市町村の消防に要する費用は、その市町村が負担しなければならないとしています。
消防職の給料や手当は、勤め先の団体ごとに定められています。同じ消防職でも団体区分で月収やボーナスが違うのはこのためです。
5.2 一部事務組合等に勤める消防職は5万2796人、全体の31.9%
一部事務組合は、複数の市町村が事務の一部を共同で処理するためにつくる団体です。消防職16万5253人のうち、一部事務組合等に勤める人は5万2796人で、31.9%を占めます。町村に勤める消防職は2356人にとどまります。
一部事務組合等の消防職の年収の目安は636万2532円で、町村の613万294円を23万2238円上回り、市の665万1051円を28万8519円下回ります。
消防職の月収・ボーナス・年収の目安を団体区分別に並べると、一部事務組合等は町村と市の間に入る2/2
出所:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」第5表 職種別職員の平均給与額を参考にLIMO編集部作成
5.3 都道府県に勤める消防職は1万9274人、年収の目安は816万4144円
消防は市町村の仕事ですが、都道府県に勤める消防職も1万9274人います。消防組織法第26条・第27条は、特別区の存する区域では特別区が連合して消防の責任を持ち、その消防は都知事が管理すると定めています。
都道府県の消防職の年収の目安は816万4144円で、団体区分の中で最も高くなっています。地域手当は月6万8800円で、指定都市の3万6562円のおよそ1.9倍です。
6. 同じ地方公務員の警察職と比べると消防職の年収の目安は97万7471円低い
消防職と同じく、夜間勤務手当や休日勤務手当を受ける職種に警察職があります。警察職は25万8616人で、全員が都道府県の職員です。
6.1 警察職の年収の目安は779万108円、平均年齢は39.4歳
警察職の平均給与月額は49万4513円、期末手当・勤勉手当は185万5952円で、年収の目安は779万108円です。消防職の681万2637円との差は97万7471円になります。
平均年齢は警察職が39.4歳、消防職が38.9歳で、0.5歳しか違いません。平均年齢がほぼ同じ2つの職種で、年収の目安にこれだけの差がある点は押さえておきたいところです。
6.2 消防職の年収を比べるときは団体区分をそろえる
消防職の平均には、年収の目安が816万円台の都道府県から613万円台の町村まで、勤め先の違う職員が混ざっています。特定の地域の消防職と比べるときは、その自治体の数字か、同じ団体区分の平均と比べると、ずれが小さくなります。
時間外勤務手当や夜間勤務手当は、その年の勤務の実態で動きます。1年分の平均だけで決めつけず、数年分を並べて見ると傾向がつかみやすくなります。
7. まとめ
総務省の「令和7年地方公務員給与の実態」によると、地方公務員の消防職16万5253人の年収の目安は681万2637円でした。市町村の中では指定都市が713万2812円で最も高く、町村が613万294円で最も低い水準です。
指定都市と町村の差100万2518円のうち、76万3188円は月収の差で、その月収の差のおよそ4割を地域手当が占めています。消防職の3割は一部事務組合等に勤めており、年収の目安は636万2532円でした。
消防職の給与を調べるときは、勤め先の団体区分をそろえたうえで、自治体が公表している「給与・定員管理等について」の資料もあわせて確かめてみてください。
参考資料
- 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」
- 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」第5表 職種別職員の平均給与額
- 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」第1 調査結果の概要
- e-Gov法令検索「消防組織法」
太田 彩子