2026年10月から各地で最低賃金が改定されるなど、賃上げの動きが続いています。民間企業の給与が上がるなか、公務員の給与はどのように決まっているのでしょうか。
筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計相談に携わってきましたが、「公務員の給料はどうやって決まるの?」と聞かれることがあります。国家公務員の給与は、民間企業の給与水準に合わせることを基本に、人事院の勧告をもとに決まります。
人事院は2026年8月7日、国家公務員の月給を平均1万5056円(3.51%)、ボーナスを0.05月分引き上げるよう勧告しました。この記事では、2026年の人事院勧告のポイントと初任給、役職・年齢別のモデル給与例、これまでの勧告の推移を確認します。
1. 【公務員の給料】月給は平均1万5056円(3.51%)引き上げ、ボーナスは年4.70月分に
まずは、人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」から、2026年の勧告のポイントを確認します。
1.1 民間との差1万5056円を埋める改定
人事院は、2026年4月分の国家公務員と民間企業の給与を調べて比べた結果、民間が国家公務員を1万5056円(3.51%)上回っていたとして、この差を解消するよう月給の引き上げを勧告しました。
俸給(基本給)の平均改定率は、一般の行政事務を行う職員に適用される行政職俸給表(一)全体で3.3%です。1級は4.0%、5〜10級は3.0%で、業務の中心となる中堅層以上の職員についても、2025年を上回る改定としています。人事院は、モデル試算した定期昇給分を加えると、月収で約4.9%の給与改善になるとしています。
1.2 ボーナスは0.05月分引き上げ
ボーナス(期末手当・勤勉手当)は、民間の支給状況に合わせて、年4.65月分から4.70月分に0.05月分引き上げます。引き上げ分は、期末手当と勤勉手当に0.025月分ずつ配分されます。
1.3 役職・地域・学歴・年齢をそろえて民間と比べる
人事院の勧告の対象は、給与法が適用される一般職の国家公務員約28.6万人です。比べる相手は、企業規模100人以上の事業所で事務・技術関係の仕事をする常勤の従業員です。
単純に平均を比べると、年齢や役職の構成の違いに影響されてしまいます。そのため、役職段階、勤務地域、学歴、年齢が同じ人同士で給与を比べる「ラスパイレス方式」がとられています。2026年は、民間の1人あたり給与額が44万3507円、国家公務員が42万8451円で、この差が1万5056円でした。
2. 【公務員の給料】初任給は一律9500円アップ。一般職(大卒)は24万1500円に
民間の動向や人材確保の重要性をふまえ、初任給は一律9500円引き上げられます。
2.1 高卒は4.7%、大卒は約4%の引き上げ
総合職試験(大卒)で採用された職員の初任給は25万1500円(3.9%増)、一般職試験(大卒)は24万1500円(4.1%増)、一般職試験(高卒)は20万9800円(4.7%増)になります。
引き上げ額が同じため、初任給が低い高卒ほど引き上げ率が高くなっています。
3. 【公務員の給料】モデル給与例、行政職全体の平均は年間739万円に
人事院は、勧告どおりに改定された場合の役職・年齢別のモデル給与例も示しています。
3.1 地方機関の係長(35歳)は年525万9000円
地方機関に勤める職員の例では、係長(35歳)の年間給与が506万6000円から525万9000円に、19万3000円増えます。課長(50歳)は708万5000円から730万6000円に、22万1000円の増加です。
3.2 行政職全体の平均は、年間給与が26万7000円増える
本府省に勤める職員の例では、課長補佐(35歳)が年861万円、課長(50歳)が年1488万3000円になります。本府省の月額には、地域手当(20%)や本府省業務調整手当などが含まれます。
行政職俸給表(一)が適用される職員全体の平均では、月額が42万8451円から44万3507円に、年間給与が712万3000円から739万円に、26万7000円増える計算です。
モデル給与例は、俸給、地域手当(地方機関は非支給、本府省は20%)、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当をもとに計算されたもので、扶養手当や住居手当などは含みません。