4. 国民健康保険で3割と判定された70歳から74歳が2割に戻る2つの判定
課税所得145万円以上の人がいて3割と判定されても、それで決まりではありません。国民健康保険には、所得の合計と収入の合計で判定し直すしくみがあります。
4.1 基礎控除43万円を差し引いた所得の合計が210万円以下なら2割
大阪市の案内では、課税所得で3割と判定された場合、同じ世帯の70歳から74歳の加入者の総所得金額等から基礎控除の43万円を差し引き、その合計が210万円以下であれば2割になります。
課税所得は、各種の所得控除を差し引いたあとの額です。一方、この判定では基礎控除だけを差し引くため、ふたつの物差しで結果が分かれることがあります。
4.2 収入が1人で383万円未満、2人以上で合計520万円未満なら2割
所得の合計でも3割となった場合は、収入の額で判定します。大阪市が示す基準は次のとおりです。
- 70歳から74歳の加入者が1人:収入が383万円未満なら2割
- 70歳から74歳の加入者が2人以上:全員の収入の合計が520万円未満なら2割
- 特定同一世帯所属者がいる場合:70歳から74歳の加入者と特定同一世帯所属者の収入の合計が520万円未満なら2割
特定同一世帯所属者とは、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移ったあとも、同じ世帯にいる人を指します。夫が75歳になって後期高齢者医療制度に移り、72歳の妻が国民健康保険に残る世帯なら、夫の収入も合わせて520万円未満かどうかを見ることになります。
計算例として、70歳から74歳の加入者が1人の世帯で、課税所得が150万円、年金と給与を合わせた収入が370万円の人を考えます。課税所得では3割の基準にかかりますが、収入が383万円未満なので、収入による判定で2割になります。
5. 国民健康保険の2割の判定を申請で受けるかどうかは市区町村で異なる
収入による判定を受けるのに申請がいるかどうかは、市区町村によって扱いが違います。届いた書類の割合をそのままにせず、住んでいる市区町村の扱いを確かめておきたいところです。
5.1 大阪市は申請が必要、横浜市は原則として申請なしで2割に変える
大阪市は、収入による判定で2割になる場合は申請が必要としており、申請先は区役所の保険年金業務担当です。
一方、横浜市は、対象と思われる人の条件を確認できる場合、原則として申請なしで2割に変更するとしています。同じ国民健康保険でも、自分から動く必要があるかどうかが分かれるわけです。
5.2 転入した人や所得を申告していない人は手続きが必要
生駒市は、市で収入金額を確認できる場合は申請不要としています。一方、転入してきた人など、申請で2割になる人には、収入金額が確認できる書類を添えて申請するよう案内しており、2割になるのは申請や申告の翌月からです。
同市は、未申告の人がいる場合は3割負担になるとも記しています。収入がなく住民税の申告をしていない家族がいる世帯は、申告を済ませておくことが2割の判定を受ける前提になります。
保険料の計算を担当していた当時も、所得の申告がないために軽減や判定ができない世帯がありました。7月に新しい書類が届いたら、割合とあわせて、世帯の全員が申告を済ませているかを確かめておくと安心です。
5.3 75歳になる前後は、負担割合の判定の物差しが変わる
75歳の誕生日に後期高齢者医療制度へ移ると、窓口負担は1割・2割・3割のいずれかになり、判定の基準も国民健康保険とは別のものに変わります。夫婦の片方だけが先に75歳になる年は、2人の負担割合がそれぞれ別の制度で決まるので、届いた書類を2人分並べて確かめておきたいところです。
6. まとめにかえて
国民健康保険に加入する70歳から74歳の人の窓口負担は原則2割で、同じ世帯の70歳から74歳の加入者に課税所得145万円以上の人がいると3割と判定されます。
3割と判定されても、所得の合計が210万円以下であるか、収入が1人で383万円未満、2人以上で合計520万円未満であれば2割になります。申請が要るかどうかは市区町村で異なるため、毎年7月に届く書類を見て割合に心当たりがなければ、市区町村の国民健康保険の窓口に問い合わせてみてください。
保険料のほうは、介護分のかからない3つの区分で計算され、加入者が65歳以上だけの世帯の上限は年96万円です。保険料と窓口負担はどちらも前年の所得で決まるので、所得が変わった翌年は両方の通知を見比べておくと安心です。
参考資料
- 大阪市「70歳から74歳の方の自己負担割合」
- 大阪市「保険料の決め方」
- 生駒市「70歳から74歳までの方の国民健康保険について」
- 横浜市「今月70歳になりますが、医療費の自己負担割合の変更はあるのですか」
- 山口市「国民健康保険料の賦課限度額・軽減判定基準額の変更」
太田 彩子