国民健康保険料の通知書を見て、「これだけ払っていて、医療費はどれくらい使われているのか」と思ったことがある人もいるでしょう。
厚生労働省の国民健康保険事業月報によると、2026年1月の国民健康保険の1人当たり医療費は3万4497円でした。都道府県別に見ると、最も高い佐賀県と最も低い茨城県の間には1万円を超える差があります。
この記事では、令和8年度の国民健康保険料の決まり方と上限額を押さえたうえで、1人当たり医療費の分布を確認していきます。
1. 国民健康保険料は令和8年度から4つの区分で決まる
はじめに、国民健康保険料がどのように計算されているかを確認します。
1.1 国民健康保険に加入するのは職場の健康保険などに入っていない人
国民健康保険の対象者について、LIMOの記事「【2026年度の国民健康保険料】まもなく6月から納期スタート!年間上限は「110万円」に引き上げへ」から要点を引用して確認しておきましょう。
国民健康保険(以下、国保)は、自営業の方やフリーランス、定年退職後に勤務先の健康保険を抜けた方、無職の方など、職場の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)や後期高齢者医療制度に加入していない方を対象とした公的医療保険制度です。
出所:【2026年度の国民健康保険料】まもなく6月から納期スタート!年間上限は「110万円」に引き上げへ
1.2 医療分・後期高齢者支援金分・介護分に子ども・子育て支援金分が加わった
国民健康保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、40歳以上65歳未満の人が負担する介護分の3区分で計算されてきました。令和8年度からは子ども・子育て支援金分が加わり、4区分になっています。
各区分の保険料は、所得に応じた所得割と、加入者1人ごとの均等割などを組み合わせて計算されます。料率は市区町村ごとに決められています。
1.3 令和8年度の賦課限度額は合計113万円
保険料には、区分ごとに年間の上限額(賦課限度額)があります。山口市の案内では、令和8年度は医療分が66万円から67万円に1万円引き上げられ、新設の子ども・子育て支援金分3万円を含めた1世帯あたりの最高額は「113万円」になりました。
それぞれの賦課限度額は次のとおりです。
- 医療分(基礎賦課額):67万円
- 後期高齢者支援金分:26万円
- 介護分(介護納付金分):17万円
- 子ども・子育て支援金分:3万円
- 合計:113万円
2. 【2026年1月分】国民健康保険の1人当たり医療費は月3万4497円
保険料で支えている医療費の水準は、国民健康保険事業月報で毎月公表されています。最新の2026年1月分の数値を見ていきましょう。
2.1 加入者は2396万2749人で、1年前から3.2%減った
2026年1月の国民健康保険の世帯数は1659万571世帯、被保険者数は2396万2749人でした。前年の同じ月と比べると、世帯数は1.9%、被保険者数は3.2%減っています。
1世帯あたりの被保険者は1.44人です。
2.2 市町村国保は3万6275円、国保組合は1万9011円
国民健康保険には、市区町村が運営する市町村国保と、医師や建設業など同じ業種の人でつくる国民健康保険組合(国保組合)があります。
1人当たり医療費は市町村国保が3万6275円、国保組合が1万9011円で、市町村国保が約1.9倍でした。
2.3 都道府県別では佐賀県の4万5098円が最も高い
市町村国保の1人当たり医療費を都道府県別に並べると、最も高いのは佐賀県の4万5098円、最も低いのは茨城県の3万2040円で、差は1万3058円でした。
都道府県の1人当たり医療費は次のとおりです。
【上位5県】
- 佐賀県:4万5098円
- 島根県:4万5037円
- 鹿児島県:4万4911円
- 山口県:4万4894円
- 徳島県:4万3728円
【下位5県】
- 茨城県:3万2040円
- 東京都:3万2114円
- 沖縄県:3万2940円
- 埼玉県:3万3388円
- 千葉県:3万3542円
医療費のうち保険から支払われた割合を示す給付率は、全国で84.3%でした。
地方自治体で国民健康保険料を担当していた頃、「病院にほとんど行かないのに保険料が高い」という声をよく聞きました。保険料は加入者全体の医療費を支えるしくみで、本人の受診の多さでは決まりません。まずは通知書で区分ごとの内訳と軽減の有無を確かめてみましょう。
