国民健康保険の加入者のうち、70歳から74歳の人は医療機関の窓口で払う割合が70歳未満と異なり、原則2割になります。
この割合は毎年8月1日に前年の所得で判定し直され、7月中に新しい負担割合を記した書類が届きます。例えば大阪市では、2026年6月に掲載した案内で、同じ世帯の70歳から74歳の加入者に課税所得145万円以上の人がいると3割になると説明しています。
この記事では、70歳から74歳の国民健康保険料の決まり方と、窓口負担が2割か3割かを分ける基準を確認します。
1. 国民健康保険には70歳から74歳の人も加入
はじめに、国民健康保険に70歳から74歳の人がどのような形で加入しているのかを見ておきます。
1.1 国民健康保険の加入対象は勤め先の健康保険などに入っていない人
国民健康保険には、勤め先の健康保険や後期高齢者医療制度に加入していない人が入ります。自営業の人や、退職して勤め先の健康保険を離れた人が多く加入しています。
1.2 75歳の誕生日からは後期高齢者医療制度に加入する
国民健康保険に加入できるのは74歳までです。75歳の誕生日を迎えると、都道府県ごとの広域連合が運営する後期高齢者医療制度に移ります。
70歳から74歳の5年間は、窓口負担の割合が70歳未満と異なる期間にあたります。
2. 70歳から74歳の国民健康保険料は介護分を除く3つの区分で決まる
国民健康保険料は、令和8年度から4つの区分の合計で計算されています。70歳から74歳の人にかかるのは、そのうち3つです。
2.1 令和8年度から「子ども・子育て支援金分」が加わり4区分になった
国民健康保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、介護分の3区分で計算されてきました。令和8年度からは子ども・子育て支援金分が加わり、4区分になっています。
このうち介護分がかかるのは、40歳から64歳の加入者だけです。65歳以上の人は、介護保険料を国民健康保険料とは別に納めます。
令和8年度の国民健康保険料の上限は4区分の合計で113万円。介護分がかからない65歳以上だけの世帯は96万円になります1/2
出所:山口市「国民健康保険料の賦課限度額・軽減判定基準額の変更」を参考にLIMO編集部作成
【令和8年度の賦課限度額(1世帯あたりの年間の上限)】
- 医療分:67万円(令和7年度は66万円)
- 後期高齢者支援金分:26万円
- 子ども・子育て支援金分:3万円(令和8年度に新設)
- 介護分(40歳から64歳の加入者):17万円
- 4区分の合計:113万円
- 加入者が65歳以上だけの世帯(介護分なし):96万円
2.2 国民健康保険料は前年の所得と加入者の人数で計算する
各区分の保険料は、前年の所得に応じてかかる所得割と、加入者の人数に応じてかかる均等割などを合計して計算します。所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除の43万円(合計所得金額が2400万円以下の場合)を差し引いた額をもとにします。
料率は市区町村ごとに異なります。同じ所得でも、住んでいる市区町村によって保険料は変わります。
3. 70歳から74歳の国民健康保険の窓口負担は原則2割
70歳から74歳の国民健康保険の加入者が医療機関の窓口で払う割合と、その判定の基準を見ていきます。
3.1 70歳の誕生日の翌月から2割になる
小学校に入ってから69歳までの窓口負担は3割です。横浜市の案内によると、70歳の誕生日が属する月の翌月から2割または3割の負担で受診することになり、1日生まれの人はその月から切り替わります。
横浜市では、誕生月の下旬に負担割合を記した書類を郵送しています。マイナ保険証の利用登録をしている人には「資格情報のお知らせ」、登録していない人には「資格確認書」が届きます。
3.2 3割になるのはどんなケースか
大阪市の案内では、同じ国民健康保険の世帯の70歳から74歳の加入者が全員、課税所得145万円未満であれば全員が2割です。1人でも145万円以上の人がいれば、全員が3割と判定されます。
ただし、3割と判定されても、所得や収入の合計が一定の額を下回れば2割になります。判定には、前年(1月から7月は前々年)の所得が使われます。
70歳から74歳の国民健康保険の窓口負担は原則2割で、3割になるかどうかは課税所得145万円が最初の分かれ目です。国民健康保険料のほうは、介護分のかからない3つの区分で計算され、65歳以上だけの世帯の上限は年96万円です。
自分の負担割合は、70歳の誕生月や毎年7月に市区町村から届く「資格情報のお知らせ」や資格確認書で確かめられます。
ここからは、元自治体職員として国民健康保険の窓口に立っていた経験から、3割と判定されたあとに2割へ戻る道筋と、届いた書類で見ておきたい点を紹介します。
国民健康保険の保険料の計算を担当していた頃、70歳を過ぎた方から「自分の収入は増えていないのに3割になった」という相談を受けたことがありました。判定は本人だけでなく、同じ世帯の70歳から74歳の加入者の所得で決まるため、まず世帯の全員の所得を確認するようにしていました。
